まるでホテル
「 うわぁ……なにこれ。ホテルですか?ここは 」
ホテルに来てしまったのかと思うくらい、階段も共有スペースも、部屋までもが完璧過ぎるくらい綺麗だった。
「 あ、言ってなかったね。ここは、家具家電付きで、自分の好きな物は置けないんだ 」
「 そんな……自分の物なんて。いらないくらいです 」
なんなの……?ここは。こんなに凄い場所、タダで住めるはずがない。もしかして借金とか背負わされたりしないよね?
怖くなってしまうくらい凄い。
「 そして、ヒカリちゃん!ここは、アボカドの部屋だからね 」
「 え?アボカドですか?アボカドでも何でもいいです!こんなの私には、立派すぎます 」
「 それじゃ、僕はもう行くね!何か困ったりしたら何でも言ってね 」
「 あ!ありがとうございます!こんな素敵な場所へ連れてきてくれて! 」
リョウさんは、爽やか過ぎるくらいの笑顔で私を見ていた。
「 ヒカリちゃん、面白いね!じゃ、ドア閉めるね 」
そして、私は、リョウさんがいなくなった瞬間、ベッドへと飛び込んだ。
ベッドまで何でこんなにフカフカなの!?
ここは、天国だ。さっきまでの暗い気持ちはどこかにいってしまっている。
あの謎のシャッターに貼られていた矢印を辿って来たら、こんな天国みたいな場所へと来てしまった。
ここには、一体どんな人が住んでいるのだろう。個性的な人達が住んでいるって言っていたけれど、私もその一人なのかな。
さっき、共有スペースで見かけた子、若くて物凄く可愛い子だった。顔も小さくてスタイルも良くて、オーラがある様な子だった。
そして、なぜ私が選ばれたのかは、いまだにわからない。
リョウさんは、どういう基準で選んでいるのか気になって仕方がなかった。
今度聞いてみよう。
コンコン……。誰かがドアをノックする音が聞こえた。