家探し
新幹線が止まったと同時に、私は目を覚ました。
「 あ……。着いた。」
そして、新幹線を降りた私は、目の前の人の多さに目を奪われてしまう。
「 何。この人の数は 」
私が住んでいた街とは、人の多さは勿論の事。空気すらも全く違っていた。
ここでやっていくしかない!と覚悟を決めてきた私は、一歩一歩前へと歩き始めた。
「 まずは、住む場所をどうにかしないと 」
駅を降りた私は、目に付いた不動産屋に次々と飛び込んだ。
「 こんにちは!家を探しに……来ました 」
優しそうな表情をした女性が私に声をかけてきた。
「 どういった物件をお探しでしょうか? 」
私はその女性に理由を話始めた……。
「 そうですか。とりあえず見てみますか? 」
「 はい。お願いします! 」
その女性は、私にそう言い、物件の書かれているファイルを私に見せてくれる。
私は一軒一軒、慎重に目を通したが、これと言って住んでみたいと思う物件は、ひとつもなかった。
「 うぅ……。そしてやっぱり高い。思っていたのと全然違います 」
さすが都会だ。これじゃ生活すらも出来なくなってしまう。
「 以上になります 」
「 ありがとうございました 」
私は少し暗い声で、不動産屋から外に出た。
この後も何軒か行ってみても、どれも同じものだった。
歩く足取りもどんどん重く感じてきてしまっている。
「 どうしよう…… 」
気づいたら私は、公園のベンチに座ってしまっていた。もう今更、家に帰ることも出来ない。私はとんでもない場所へと来てしまったんだ。
バイトで貯めたお金を持って出てきたが、そんなには多くはなかった。
ここまで見つからないとは、思っても見なかった。簡単な気持ちで、家を飛び出しできてしまったのかもしれない。
不安と後悔のなか、ゆっくりと歩き始める。
ここは、商店街?なのかな。
ほとんどのお店がシャッターを閉めてしまっている。私の気持ちもどんどん暗くなってきてしまう。
こんな場所に、商店街なんてあるんだ……。
もう駄目だと思った矢先、シャッターに何枚も貼られている張り紙を見つけた。