コント「新アトラクション」
ツッコミ「やっぱり遊園地は楽しいなぁ!」
ボケ 「新アトラクションでーす! いかがですかー?」
ツッコミ「ん? 『童話ロード』? お兄さん、どんなアトラクションなの?」
ボケ 「各童話の世界観を体感できるアトラクションとなります~」
ツッコミ「へぇ~、面白そうだな」
ボケ 「基本無料なのでぜひ!」
ツッコミ「アプリゲームの謳い文句みたいだな。まあ、いいや。入ってみるよ」
ボケとツッコミ、建物内に入る。
ボケ 「迷子1名様入りまーす!」
ツッコミ「誰が迷子だ!」
ボケ、受付に立つ。
ボケ 「はいはい、いらっしゃいませー」
ツッコミ「え、君が受付やるの?」
ボケ 「そうですよ~。ここではまずウェルカムドリンクをお飲みいただけます」
ツッコミ「サービスがいいじゃないか」
ボケ 「1杯1万円となっておりまーす」
ツッコミ「たっか! 1万円!? 基本無料ってそういうこと!?」
ボケ 「課金されますか?」
ツッコミ「しないよ! するわけないだろ」
ボケ 「え~? しないんですか~? この先では飲めませんよ?」
ツッコミ「いいって」
ボケ 「体が縮む薬ですよ?」
ツッコミ「なおいらないわ! あれでしょ? 不思議の国のアリスに出てくるやつだよね?」
ボケ 「はい! その薬を基に作りました」
ツッコミ「イメージドリンクってわけね」
ボケ 「いえ、本物です。まだ治験前です」
ツッコミ「ダメだよね! まだ世に出しちゃいけないやつ!」
ボケ 「ぜひ試していただけませんか?」
ツッコミ「誰が金払って危ない薬飲むかよ!」
ボケ 「……どうしても?」
ツッコミ「どうしても!」
ボケ 「今ならもう1杯サービスしときますよ?」
ツッコミ「余計にリスク高まるね! いらないよ!」
ボケ 「……素晴らしい!」
ボケ、拍手する。
ツッコミ「は? え、なに?」
ボケ 「アリスゾーンクリアです!」
ツッコミ「クリアって……」
ボケ 「このアトラクションでは各世界をクリアしないと次に進めないようになっております」
ツッコミ「それ入場前に説明するやつだよね。あー、まあクリアならいいけど」
ボケ 「見事、誘惑に打ち勝ちましたね!」
ツッコミ「いや、誘惑って言うならもっと魅力的なの用意しろよ」
ボケ 「では、次の世界に参りましょう!」
ツッコミ「聞いてねぇし」
ーー移動ーー
ボケ 「では、この中で少しお待ちくださーい」
ボケ、ツッコミを小屋に入れて、袖からリンゴが入った籠を持って出てくる。
ツッコミ「狭いところだな。椅子もちっちゃいし……」
ボケ、扉をノックする。
ツッコミ「はーい」
ボケ 「(しわがれた声で)リンゴを売りに来ました」
ツッコミ「なるほど、白雪姫の世界ってわけだな」
ツッコミ「はーい」
ツッコミ、扉を開ける。
ボケ 「美味しいリンゴじゃよ。おひとついかが? 1つなんと1万円」
ツッコミ「また課金!? だから高いんだって! しかも、1つ明らかに色が違うし」
ボケ 「ああ、お目が高いね。それが一番おすすめさ」
ツッコミ「でしょうね! 紫色だもん!」
ボケ 「最近品種改良されて出来たリンゴじゃよ。“ポイズン”っていう品種でね」
ツッコミ「まんま毒じゃねぇか! 食えるか!」
ツッコミ、リンゴを床に叩きつける。
ボケ 「素晴らしい!」
ボケ、拍手する。
ボケ 「白雪姫ゾーンもクリアですね!」
ツッコミ「罠が見え見えなんだよ。もういいよ、次行こう、次」
ーー移動ーー
ボケ 「ここが最後の世界となります」
ツッコミ「もうなんでもいいから早く出たい」
ボケ 「じゃあ、これ持って」
ツッコミ「箒?」
ボケ 「準備してくる間暇ですよね? 掃除しててください」
ツッコミ「はあ!? って、おい!」
ボケ、袖に捌ける。
ツッコミ「ったく、客に掃除させるってどういうことだよ」
ツッコミ、掃除を始める。
ツッコミ「にしても、本当にあの人しかいないんだな。人員不足過ぎだろ」
ボケ、ステッキを持って袖から顔を出す。
ボケ 「シンデレラ、シンデレラ」
ツッコミ「まさか、頭のてっぺんからつま先まで課金させるつもりじゃないよな?」
ボケ 「(手招きしながら)こっちこっち。ほら、かぼちゃの馬車に乗って」
ツッコミ「どうせまた1万なんだろ?」
ボケ 「何言ってるの? ほら、安全ベルト締めて」
ボケ、ツッコミを無理やり乗せる。
ツッコミ「は? なんだよ、安全ベルトって。アトラクションみたいじゃないか」
ボケ、改まったように咳払いして姿勢を正す。
ボケ 「さあ、大変お待たせしました! これから皆さんを童話の世界へとご案内致します!」
ツッコミ「え、何? どういうこと?」
ツッコミ、状況が掴めず、周囲を見渡す。
ボケ 「余興は楽しんでいただけましたか? 本番はこれからですよ! 行ってらっしゃ~い!」
ツッコミ「まだ始まってなかったんかーい!」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。