7話『契約と力』
応接室のような部屋へ案内され待っていると、包帯と服が取り替えられさっきよりは幾分マシになった獣人の彼が従業員2人に支えられながら部屋に入ってきた
「お待たせ致しました」
そう言って店主も入ってきた
「これより奴隷契約の儀をして頂きます」
私と私の隣に座らされている彼の下に"魔法陣"が
広がった。店主がなにかを言い終えると魔法陣は消え、1枚の紙が目の前に現れた
「そちらの用紙にお客様の"血"を垂らしていただけ
れば契約は完了となります」
血を垂らすと用紙は「ボッ」と燃えて消えた
「無事契約完了となりました。
本日は、当店でのお買い上げ誠にありがとうござ
いました。またのご利用をお待ちしております。
…… 失礼ですがお客様、彼は自力では歩けませ
んがどうなさるのですか?」
彼を抱えて連れて行ってもいいけど、それだと傷に触れて痛そうなので能力を使う。ただ、目立つのはよくないと思うので風の魔法と言い張れるように怪しまれない程度に使う(本物の風魔法を見たことはないがどれも似たようなものだろう)
店主に言われた、銀貨5枚を払った後、風の魔法(創造する世界)を使い彼を宙に浮かせると店主と従業員は驚いていたが店の外まで見送ってくれた(それにしても人1人が銀貨5枚(5万円)なんて……。)
店の外に出てからは、ローブを被った怪しい人の隣をボロボロの獣人が宙に浮いているなんて光景はとても目立つので、能力 : 改変する世界 を使い認識阻害をかけ周囲からは彼を見えないようにした
奴隷商を出る前に店主に聞いた宿屋に行き、そこで2人部屋をとりあえず3日分借りた。(朝と夜の食事付きで銀貨1枚(1万円))当然、亭主には私は1人にしか見えないので頭に?が浮かんでいたが気にしない
部屋の鍵を貰い、今日の夕食と明日の朝食はいらないと言って部屋に向かう
部屋に入り認識阻害を部屋全体にかけ直し、彼をベットに寝かせる
この世界に来て能力が少し不安定だが蘇生などのように生命に働きかける訳では無いので問題ない
彼の包帯を取り状態を再度、詳しく診て把握する
右手と左足の切断による欠損、切断された後に焼いて止血されている。全身の打撲に肋骨が数箇所折れてる
声帯が潰されていて、目もほとんど見えてないみたいね、頭部にある耳は引きちぎられているみたい……酷い状態だ
彼の状態を詳しく把握した
そこから能力 : 改変する世界 を展開し彼の肉体に干渉
残っている部分の治療を行い全身の打撲や視力、潰れた喉と、骨折を治していく。