クロエルハのこれまでの話
気づいたら真っ白い部屋にいた"私"
名前はない。
ここの人達は私を"Ø"と読んでいた
毎日変な器械を私に取り付けてなにかしている
ここの人達は皆、同じ白い服を着ている
真っ白い部屋と真っ白い人達
私はその人たちとは少し違って"翼"があった
どうして自分がここにいるのか分からない
いつからここにいるのかも、どこから来たのかも分からない
白い人達に聞いたけどそんなことは知らなくていいって言われた
毎日同じことの繰り返し
たまに痛いこともされるけどこれが私の"普通"
毎日同じ時間に2回ゼリーのような飲み物が出される
味は特にない、生命維持には問題ないから気にしない
私は自分のことは知らないけど"翼"があれば飛べることも、生きるためには"食事"が必要なことも知っている
白い人達は私と話してはくれない用事が済んだら部屋から出ていってしまう
ある日、白い人達がいつもの様にやってた
でも、いつもと違って私についてくるように言って部屋から出ていった
初めて部屋の外に出た
ついて行った先には大きな器械がいくつもあって
そこには台に縛り付けられた"ツノ"の生えた人がいた
私はその人の隣に横になるように言われ白い人達に、同じく台に縛り付けられた
いつの間に眠っていたのか激痛で目が覚める
そこはいつもの真っ白い部屋
ズキンズキンと頭が痛い
手で頭を抑えようとすると違和感があった
額から"ツノ"が生えていたのだ
どういう訳か台に縛り付けられ人と同じになってしまった
その日も白い人達がやってきた
どうして自分にもツノが生えたのか聞いたけれども
教えてはくれなかった
その日の夜はツノが生えたところが痛くて眠れなかった
それからも私は変わらず真っ白い部屋の中
そんな時、ふと以前部屋の外に出た時に見た"花"を
思い出した
この真っ白い部屋にあったら綺麗だなと思った
なので真っ白い部屋いっぱいに広がる"花"を想像した
すると目の前に一瞬にして思い描いた部屋いっぱいの花が広がった
随分とリアルな想像だなと思いながら花に手をのばすと触ることが出来た、なぜかは分からないがどうやら本物の花みたいだ
花を観察しているといつもなら来ない時間に慌てた様子で白い人が勢いよく部屋に入ってきた
白い人はどうやら私がこの部屋を花でいっぱいにしたと思っているらしい
確かに頭の中で想像はしたけどそれだけで本物を出せるわけがないとこの時の私は思っていた