グランバルト『衝撃』
何かに包まれるような感覚
フワフワの毛布に包まれているような
そういえば昨日、女神に買われて傷を治してもらったんだその後ご飯を食べて
と、ぼんやりした頭で考える
少し肌寒く毛布を引き上げようと掴む
すると、それはモゾモゾと動いた
驚いて一気に目が覚める
モゾモゾと動いたものの招待はクロエルハの翼だった。この部屋にベットは2つありクロエは隣のベットで寝たはず!なのに今は俺の隣で俺にしがみついて寝ている
翼を退けて飛び起きたいが、変に触って痛めてしまったらと思いそれもできない
寝ているクロエを起こすのも気が引けて、どうしたものかと頭を悩ませる
クロエ程の美人に抱きつかれていて悪い気はしない、むしろ嬉しいが……理性が持たない
そんな葛藤をしていると
「……〜ッん〜。グランくすぐったい」
と言いながらこちらを見ているクロエと目が合う
「お、おはようクロエ」
「おはよう。そろそろ手をやめてもらえると嬉しい」
そう言われて気づく
俺の手は無意識にクロエの翼を撫でていた
「ごめん!」
どうやら翼にもちゃんと感覚はあるようで、触るのはいいけど羽の付け根の方はやめて欲しいと言われた
「ホントゴメン。///」
「いいよ別に気にしてない。
ちょっとくすぐったかっただけだから」
「ウン。……そういえばなんで一緒に寝てたんだ?」
「…………。」
「クロエ?」
「……ちょっと、、人肌恋しくて?」
なんでちょっと疑問形なんだよ
クロエが言うにはこの街に来る途中、商人と一緒でその商人と数日一緒に過ごすうちに人の温もりというのを思い出したらしく無性にくっつきたくなったらしい
「その……その一緒にいた商人ともこんなふうに寝てたのか?」
「寝てないよ?今まで誰かと一緒なんて考えもしなかったから。でも、ジスもグランも不思議な感じ」
クロエは謎が多い
まだ会ったばかりだから当たり前だけど
すごい魔法を使えるのに誰もが使えるような生活魔法とか風呂の使い方は知らなかったり
知識的なことは知っているのに常識や価値観を知らない。この世界を全然知らないと言っていたし
「クロエの家族はどこに住んでるの?」
「いないよ」
「!ごめ、」
「なんでグランが謝るの?
私は生まれた時から1人だから家族と言われてもよく分からないし、グランが気にすることじゃないよ」
「生まれた時から1人?」
「そぉ。私はこことは違う世界で人間に造られたの」
「……え?」
「私はね…………」
そう言って彼女は俺に会うまでの話をしてくれた