グランバルト『神の御業?』
俺の体を覆った暖かな光が収まると全身を襲っていた痛みとボヤけていた視界、圧迫されているような喉の痛み、全身の裂傷が治っていた
何度も身体を確かめ彼女の方に向き直り必死にお礼を言ったが、しばらく喋れなかったせいか全く声にならなかった。
彼女は、何か考え込んでいるようで顔は見えないがこちらをじっとみていた
「…ねぇ…貴方はなんの獣人なの?」
と聞かれた。耳がないので分かりようもないだろう
「……ッと…ら。」
上手く言葉に出来ずもどかしい
「虎?」
彼女にはちゃんと伝わっていたみたいだ
彼女は再び深く考え込んでいるようだった
虎の獣人だと問題があったのだろうか?
「(´,,-ㅿ-,,`)フゥ-」
と、少し残念そうにため息を吐いた彼女が再び俺に手をかざすと先程とは違った光に包まれているような感覚になった
さっきと違い視力が戻っているため少し眩しくて目を瞑る。包まれたような感覚がなくなり目を開けるとそこには、無くなったはずの手足と耳が戻っていた!
信じられない光景だった。欠損した部位を戻す魔法は存在するがこんなに綺麗にそれも一度に戻せるものなのだろうか?!
俺はそんな神の御業のようなことを奴隷である自分なんかに使ってくれた彼女に、奴隷商で死を覚悟していた自分を見つけてくれた彼女に、自分を選んでくれた彼女に何度言っても言い足りないくらいの感謝をひたすらに伝えた
彼女は俺が落ち着くまで待っていてくれたみたいで
その後、俺をまじまじ見てお風呂に入ろうと言った
確かに傷は綺麗になったがとてもこのまま彼女といられるような状態では無い