表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/21

ドタバタ執務室

「さーて! これから色々仕事をしてもらうわよ!!」


 宰相の執務室の前に集められたのは、コルタス王国第二皇女付きの使用人約二十名。加えて、ミーシャの世話役のハルーシャもいる。

 彼女が一声かけただけで、数分で集合したのだ。哲秀はただただ感服する。


「テーデ、あんたの腕の見せ所よ! ちゃんと働かせなさい!!」


「姫様、かしこまりました」


 哲秀、早速用意したリストを確認する。


「まず、我々がなさねばならないことは次の三つ。『マルギース地方の復興』『城下町の税制度の整備』そして『軍隊の実用化』です。そのために税金帳簿を取りに行く人とマルギースに視察に行ってもらう人、そして将軍に状況を確認しに行く人が必要です。それぞれ三人ずつに割り振ります。残った人は私と一緒に書類の整理をしてもらいます」


「こいつらは皆ちゃんと字を読めるから、安心して仕事を割り振っていいわよ」


「ありがとうございます。では早速......」


 哲秀は瞬時に派遣のメンバーを決定し、その後書類整理の担当も指名する。

 各自がすぐに仕事にとりかかっていく。



 さて、黙々と作業を進めていく宰相。今日はアシスタントも多くはかどりまくっている。


「いやー、作業速度が昨日と比べ物にならないな」


「ふふふ。私は最強なんだから!」


「姫! 聞いておられたのですか!?」


「ま、感謝しなさいよ。借りは仕事で返してもらうから」


「あ、はい。そういえば、何故主席宮廷魔術師様を将軍様のもとに派遣されたのです? 彼女には、こちらを手伝ってもらおうと思ったのですが」


「あー、それ? 簡単なことよ」


 ミーシャ、さっきからずっとご機嫌である。


「ハルーシャと将軍は、兄妹だもん」


「え! あの将軍様がハルーシャ様の兄!?」


 哲秀の驚きは本日一番のレベルである。


「ま、あんたの反応も無理ないわ。あいつ、まったくハルーシャと似てないもの」


「いや、性格どころか顔つきまで正反対なような気がしますけど......」


「当り前よ、あの二人母親が違うんだから」


「はあ、では兄妹の仲は?」


「それがねえ、滅茶苦茶いいのよ! ハルーシャったら、私よりもあいつのほうがずっと大切みたいなのよ!!!」


 書類を机に叩きつけながら総評するミーシャ。突然の機嫌の急降下に哲秀はびくっとする。

 自分の親代わりである彼女を取られたくないと嫉妬しているのだ。


「......ま、兄妹ってそういうものなのでは? 付き合いは長いのでしょうし」


「でもさー、ハルーシャはあたしの部下なのよ!」


「ひ、姫様。もしかして他に頼りにしている方がいらっしゃらないとか......」


「う......」


「......」


 以前のハルーシャの言動から予想はついていたが、実際に確認すると哲秀の頭は痛くなる。

 ハルーシャへの鬱憤が自分に回ってくるのは目に見えているのだ。特に気分の上げ下げ具合については彼の体力まで消耗させられる。

 そして、いきなりの沈黙。これ以上話を進めるのは、両者ともにいい気分がしない。


「宰相! 出しゃばっているようだな!!!」


「兄上、執務室のでお静かにー!」


 と、ここで将軍ヴァルドと宮廷魔術師ハルーシャが入ってくる。


「しょ、将軍!? 何でいらしたのですかー!? な、ナベルー! 助けてくれー!!!」


 書類を放り投げて大慌てする哲秀。

 そう、哲秀はこのヴァルド将軍が苦手なのだ。

はい、また新キャラです。

彼については次回さらに掘り下げていきます。一言でいうなら、典型的な古風の武人ですね。

里見レイ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ