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姫の進言

「とりあえず、今日はあの子の世話だけでいいから。俺は仕事場に戻るよ」


「はい、しっかり彼の能力と才能を確かめさせていただきます」


「大臣様の期待に応えられるように頑張ります!!!」


 こう言葉を交わした後、二人と別れて一人執務室へと向かう哲秀。少年の名前は、正式に雇うと決めてから聞けばいい。

 少年のことを一度頭の隅に払いつつ、まだ昨日の疲れが残っているから一人でのんびり作業をしようと考える。

 しかし、この世界は彼をのんびりさせてくれなかった。



「テーデ! 今までどこ行ってたのよー? もう夕方じゃない! 姫様を何時間も待たせるなんて、あんたいい度胸しているじゃないの!!」


 執務室に入った瞬間ミーシャの激流文句が哲秀を襲う。


「ひ、姫様!? 何故ここに?」


「あんたの特別監視員だからに決まっているでしょう! 昼食も食べずにどこいっていたのかしら?」


「じ、人材を探していました」


 正直に哲秀は言う。下手なことを言うと後が怖いからである。


「ふーん、そう。いい人は見つかったの?」


「はい、一人」


「そ、ならいいわ。後で紹介してもらうわよ」


「......承知いたしました」


 彼女の怒りは、それほどでないようで安心する哲秀。


「じゃ、ビシバシ作業を進めなさい! ただでさえ、二人じゃ書類整理にも時間がかかるんだから」


「そうですね......って二人!?」


 ミーシャの発言には哲秀も驚きを見せる。昨日のように、ただ邪魔しに来たのかと考えていたのだ。


「私だって、国のために仕事するわよ。どーせ暇だしね」


「あ、ありがとうございます」


「で、あとどのくらい書類とにらめっこする気なのかしら? 仕事はこなさなきゃ意味ないわよ」


 ミーシャ、意外にも的を射た発言をする。


「一応全体を把握しておきたいので、残りすべてを片付けてからですかね。このペースなら、一か月以内に整理が終わるでしょうし」


「甘ーい!!!」


 哲秀の発言に真っ向から反対し、彼を拍子抜けさせるミーシャ。


「現状把握に気を取られてたら緊急の要件に対応できなくなるわよ! 整理をしながらテキパキ仕事を片付けていかないと」


「は、はい!」


 気を付けしてかしこまる哲秀。王族は、勉強しなくても政治の要領を分かっているようだ。


「ざっとあんたが整理した分を見せてもらったけど、今すぐやらなければならないのはこの三つね」


「拝見します......そうですね。私もこれらは最優先事項だと思います。ただ、人手が足りますでしょうか?」


「ふふふ、私に任せて! あんたとの格の違いを思い知らせてやるわ!!!」


 自信に満ちた笑顔を見せるミーシャ。

 宰相としての哲秀の仕事は、これからが山場である。

ミーシャが本領発揮し始めます。内政分野も、ここから大いに出てきます。

里見レイ

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