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人材発掘

 哲秀が問いかけてから、どのくらいの時間が経っただろうか。


「あんた、何者だ?」


 瓦礫の山のてっぺんから、一人の少年が口を動かす。立ち位置から考えて、この裏路地をまとめるリーダーみたいな存在なのだろう。


「当ててごらん」


 ニヤリと笑みをこぼす哲秀。


「うーん、反逆を企む悪いやつ!」


「ハーズレ!」


「それじゃあ、帝国のスパイ!」


「違う違う!」


「えーと、没落貴族!!」


「......もう少し、普通に考えてくれ」


 哲秀にとって、その回答の数々は予想外だった。なぜろくでもない人間ばかり言われるのか、自分のオーラのせいかもしれないと不安になる。


「お、お気になさらず」


「あ、ああ。えーと、もっとすごい人だよ」


 ナベルの励ましで一応持ちこたえる哲秀。ヒントをつける。


「んー。じゃあ、どっかの勇者様?」


「やっぱそうなるよねー。もう少しお堅い身分だよ」


「んー。鉄壁騎士!」


「ズコー!!」


 哲秀、話にならんとずっこける。少しは骨があると思ったが、ただのもの知らずだった。


「ナベル、他を当たろう」


「かしこまりました」


 秀介の提案は、ずっと様子をうかがっていたナベルも同意見だった。

 こうしてチャレンジ企画はあっけなく終わりを告げる、はずであった......



「あのう、あなたは......大臣様ですか?」


 路地裏を出たところで、哲秀は後ろからそう声を掛けられる。振り向いてみると、ひ弱そうな少年が一人いた。


「......君は誰?」


「えーと、先ほど裏路地に居たんですが......」


「......どのへん?」


「す、隅っこです」


「そ、そうか。で、用件は?」


 哲秀、本題をさっさと聞きに行く。ろくでもないことだったら、いち早く次の場所を探さなければならないからだ。


「ぼ、僕を! 大臣様の助手として雇ってくれませんか!?」


 勇気を振り絞って言った少年からの要望はまさに渡りに船。

 思わずニンマリとする哲秀。ただ、即決してはいけない。少し試す必要がある。


「ほほう、つまり覚悟ができているって事かい?」


「はい! 実は自分で文字の勉強はしていました。体力もありますし、すばしっこさはだれにも負けません!!!」


「嘘、ついてるかい?」


「ついてません! 文字も体力もすばしっこさも僕の自慢です!」


「うーん......」


 哲秀、少し考えてから少年の眼をじっと見る。


「......曇ってはいない。どうやら、本気のようだな。よし、ついてこい! ただし、へばったら置いていくからな!!」


 哲秀、城へと戻りだす。


「はい! 精一杯頑張ります!」


「ナベル、この子の部屋と衣服、それから教育を頼むぞ。三日経って使えないと判断したら躊躇せず城から追い出してもらって構わん。ただ、才能に光るところがあればしっかり教育を続けるんだぞ!」


「厳しいようで、意外とお優しい処遇ですね。かしこまりました」


 こうして、哲秀たちは帰路に着くのだった。


あ、あの子の名前まだ出してませんでしたね。いづれ出します。

里見レイ

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