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破壊神の剣が装備できません  作者: にゃろん
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 6系統の能力強化魔法を覚えたリュカたちは、聖戦士の試練に挑んでいた。


「やーやー、音にこそ聞け、近くば寄って目にも見よ。我こそは未来の聖騎士、イネスなりー!」


 毎度のことだが、敵の姿を見かけるたびに、大声で名乗りを上げ、イネスは剣と盾を構え突撃していく。大声で周囲の敵も呼び寄せてしまい、いつも大乱戦だ。


「はっはっはっは!守護者たちが紙屑のようにバラバラになるぞ!私は強い!強い!」


 今回の敵は、半透明で光り輝く剣と盾を持った騎士たち、守護者と呼ばれる精霊のような存在だ。イネスが振り回す剣に、叩きつける盾に、守護者は盾ごと粉砕されている。飛び散った光の粒子が周囲を覆う。


 剣を振り回すイネスの体と、守護者から逃げ回るリュカの体が絶え間なく輝いていた。赤、青、白、茶、黄、黒。リュカが能力強化魔法を唱えているのだ。能力強化魔法は、効果は少ないが消費魔力が小さく、リュカ自身の魔力も上がるため、魔力の回復力も上がり、絶えず能力強化魔法を唱えることができる。能力強化魔法のレベルは各系統とも3レベルまで上がった。


 イネスの剣の腕は確かだった。多少、腕力に頼った強引な戦い方だが、強化された筋力により、ほとんどの守護者を一撃で倒していく。しかも、強化された体力により疲れ知らずだ。

 フロア内のモンスターを一層したイネスは「笑止!」とか「片腹痛いわー!」など叫びながら、次のフロアに進んでいく。リュカも慌てて後を追った。



 静かなフロアだった。今までのフロアのように守護者が、わらわらと現れることもなく静まり返っている。フロアの中央で2人は合流した。周囲を見回してもない部屋だ。


「やーやー、音にこそ聞け、近くば寄って目にも見よ。我こそは未来の聖騎士、イネスなりー!」


しーん・・・・・・


 しばらくの間、静寂が続いたが。イネスの名乗りに答えるようにフロア全体が光輝いた。そして、無機質な声が響き渡った。


『あなたが聖騎士を目指すものと認識しました。あなたに聖騎士の試練に、挑む資格があることを認識しました。これより、聖騎士の試練を始めます』


 周囲の光がフロア中央に集まり、半透明で光り輝く剣と盾を持った騎士の姿になった。今までのフロアで、バラバラにしてきた守護者達とあまり変わらない姿で、威圧感は無いが少し色が濃い。


「やーやー、音にこそ聞け、近くば寄って目にも見よ。我こそは未来の聖騎士、イネスなりー!」


『我こそは、この試練の主、剣の守護者なり・・・いざ、参る・・・』


 イネスは、大上段に構えた剣を守護者に目掛けて振り下ろした。


 ガキン!と大きな金属音が響き、守護者は剣で受け止めた。今までのザコ守護者であれば、剣ごと盾ごと粉砕していたのにさすがは試練の主だ。イネスが能力強化魔法でブーストされた筋力を使い、押しつぶそうとするが、守護者の力はさらに強く弾き飛ばされる。


 バランスを崩したイネスに守護者は追い打ちの斬撃を浴びせる。ガキン!ガキン!ガキン!と3連撃をイネスは何とか盾で防いだ。能力強化がなければ、防げなかっただろう。力では勝てないと判断したイネスはバックステップで距離を取った。今度は強化されたスピードを使い、周囲をステップしながら隙を伺う。


「イネス、頑張れ!」


 リュカは苦戦しているイネスを励ますように、連続で能力強化魔法を使い続ける。同系統の能力強化魔法は、重ね掛けをしても意味はないがリュカは使い続けた。何度も、何度も。


 守護者の大振りの斬撃を、イネスはステップで避けた。強化されたスピードがなければ、ステップでは避けられなかっただろう。守護者の大振りよって、生まれた小さな隙。その小さな隙を見逃さず、イネスは必殺の突きを放った。

 全体重を乗せた突きが、守護者の胸を貫いたと思った刹那、眩く輝いた守護者が、振り下ろした剣を垂直に切り上げた。切り上げた剣はイネスの突きの起動と重なり、


ギン!


 と、甲高い金属音が鳴り響き、イネスの剣が高々と宙をまった。守護者が見せた小さな隙は、イネスを誘うための罠だった。剣を失ったイネスに、守護者は3連撃を容赦なく放つ。盾で辛うじて防ぐが、3連撃目を受けると同時に盾が砕けた。剣を失い、盾を失ったイネスを、守護者の大上段の斬撃が襲う。


 いくつかの奇跡が重なった。

 1つは守護者の攻撃は正確無比で攻撃の起動が読みやすいこと。

 もう1つは、あきらめずに魔法を掛け続けていた、リュカの火の能力強化魔法レベルが、この瞬間に4レベルに上昇したこと。


 ほんの少しだけ能力アップしたイネスは、守護者の振り下ろされた斬撃を、の上でパシッと両手の掌で受け止めた。イネスは両手で受け止めた剣を奪うと、守護者を袈裟切りに切り裂いた。守護者も光の粒子になって消えていった。はあはあと肩で息をしているイネスに、語り掛ける声が響いた。


『あなたは剣の試練を見事に乗り越えました。あなたが手にしている聖剣、聖騎士の剣を授けましょう』


 イネスは手にした聖騎士の剣を改めて眺めた。薄く光り輝く剣は、聖騎士が使用したと語り継がれている伝説通りのものだった。


「少年、ありがとう。お主の魔法が1%でも欠けていたら、死んでいたのは私だったであろう・・・」


「おめでとう、イネス。これで聖騎士になれたね」


 うん?とイネスは首を傾げて、


「聖騎士の試練はこれで終わりではないぞ。剣の試練は乗り越えたが、残り3つの試練、盾の試練、鎧の試練、兜の試練が、私たちの挑戦を待っているぞ!早速、次の試練に向かおう!」


「・・・言いにくいけど、僕はそろそろ、剣の村に帰らないといけない。帰りが遅いとレイナが怒り狂うかもしれないし・・・」


「よーし、次は盾の試練に挑もう!私たちのチームワークがあれば、どんな試練も乗り越えられる。早速、出発だ!」


「イネスは、やっぱり話を聞かないタイプだね・・・」


 剣の試練をクリアした2人は、残り3つの試練も乗り越えていった。4つの試練をクリアし、聖騎士の剣、盾、鎧、兜を手に入れたイネスは、ついに念願の聖騎士になった。目的を達成したリュカとイネスは、パーティーを解散し、それぞれの故郷に戻ることにした。リュカが剣の村に戻ったのは、村から出発してから半年の月日が流れていた。

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