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ごわ

「今回はこの素材の買い取りをお願いします」


 そう言ってエミリアさんに素材を確認してもらう。


 今回俺が出したのはサーベルウルフの、魔石、牙、爪、毛皮の4種類だ。


 本当はここに肉も合わせた5種類がサーベルウルフの素材なのだが、肉は食料として取っておいている。


「はい!それでは確認させていただきますね!」


 そう言って俺が出した素材の確認作業に入っていく。

 そして確認を初めてすぐに息をのんだように驚いていた。


「ッ!……あの、クロくん。少しだけお話を聞いてもいいですか?」


 俺は何をそんなに驚いているのだろうと思っていた。

 もしかして登録料に届かなかっただろうか?などと考えてしまう。


「あ、はい。大丈夫ですよ」


 そう言って話を促す。


「では。この素材は何の魔物の素材だかわかりますか?これはどうやって手に入れたのでしょうか?」


 変なことを聞いてくるなと思いながらも、本当のことを話す。


「はい、わかりますよ。サーベルウルフの素材ですね。この街に来る前に出てきたので狩ったんですよ」


 そう言って何でもないというように話すとまた驚きのあまり固まっていた。


「…………え?クロくんが狩った?サーベルウルフを?しかも4匹も?え?それにこの牙…。レアドロップよね?私も初めて見た…?え?」


 などとブツブツと小声でつぶやいていた。





 実際、この反応になるのは仕方がない。

 クロ自身にとってはサーベルウルフは雑魚な魔物だ。


 しかし、普通の人達にとってはサーベルウルフはとても危険な魔物に指定されている。


 冒険者ギルドの討伐ランクはBであり、しかもそれはパーティーで狩った場合である。


 ソロでサーベルウルフを狩れるのはAランクの実力がないと狩れない魔物であった。


 エミリア自身も最初に出された素材をただのウルフのものだと思っていたが、素材鑑定をしたことでそれがサーベルウルフの物だと分かったのだ。


 そしてそれをクロという見た目かわいい男の子が狩ったと言ったことに驚きのあまり固まってしまっていた。


 そんなこととは知らずクロはのんきなものである。

 それもそうだろう。


 何回も転生を繰り返し何千年も生きてきているクロにして見ればウルフもサーベルウルフも、なにも変わらないただの雑魚なのだから。





 俺は何をそんなに驚いているかがわからず、ただ黙って待っているのも暇なのでシロと遊びながら待つことにした。


「シロー、もう少しまっててなー。ギルドで用を済ませたら、ご飯にしようなー」


 そう言いながらシロのほっぺたをツンツンとつっつく。

 あうーと言いながらきゃっきゃと笑い、俺の指を小さな手で握ってくる。


 ヤバい。

 可愛すぎる。

 シロが笑うと自然と自分も笑顔になっている。

 そんなことをしながらエミリアさんが自分の世界から戻ってくるのをまっていた。


「……ッ!?あ、す、すみません。あ、えと、また後で話を聞かせてもらってもいいかな?この素材なら登録料以上のお支払いはできるから、先に登録をすませてもらってもいい?」


 と言いながらエミリアさんは銀貨5枚を渡してくる。


「あ、クロくんは自分で記入できるかな?」


 代筆にお金がかかることを思い出したのだろう、そんなことを聞いてくる。


「はい、大丈夫です。自分で記入することはできます」


「そう…。じゃあ、先に登録をお願い。その間にこの素材のお金の準備しておくから」


 そう言ってエミリアさんは奥へと急いで入っていった。

 それを不思議に思うことはあったが、とにかく登録を済ませてしまおうと思い、先ほどの男性職員の窓口に向かうことにした。


「あのー、すみません。素材を売却してきたので、冒険者登録をお願いします」


「はい、お待ちしておりました。素材は登録料分以上で売ることができたみたいですね。良かったです。では、こちらの記入をお願いします。代筆はご利用ですか?」


 そう言って、記入用紙を渡してくる。

 俺が来るのを待っていたのだろう、準備をしてくれていた。


「自分で記入することができるので代筆は大丈夫です」


 俺は記入用紙を確認する。

 記入するところはあまり多くなかった。

 名前、年齢、種族、戦闘方法、その他の5カ所だ。


「あのー、その他の場所は何を記入すればいいですか?」


「はい、そちらは自分ができることを記入するところになります。例えば斥候ができるとかでもよろしいですし、料理が得意など簡単なものでも構いません。

 冒険者ギルドではパーティーを組むことをお勧めしています。ソロで依頼を受ける方もいますが、パーティーを組んだ方が達成率や安全性が非常に上がります。

 そのパーティーを斡旋する際にこちらに記入した項目が重要になってきます。要は自分を売り込む為の項目ですね。色々と多芸であれば上級パーティーから声がかかるなんて事もあるので、なかなか重要な項目です。

 しかし、できないことを記入はしないようにお願い致します。それを頼りにパーティーを組んだのにできなかったでは危険性が跳ね上がってしまう恐れがありますので」


 ふむふむ、要は自分ができることなら何を書いてもいいってことか。

 その方がパーティーを組みやすいと。


 まぁ、俺は誰かと一緒に依頼を受けるつもりはないのでどうでもいいか。

 そう思い、その他は白紙でそれ以外のところを記入していく。


「書き終わりました。お願いします」


「はい、では確認させていただきます。名前はクロ様ですね。年齢は12歳と。種族は人族。戦闘方法は剣ですね。その他は…あれ、その他は白紙のままですがよろしいのですか?」


「はい、構いません。たぶん誰かとパーティーを組むことはないので」


 そう言うと、男性職員は困った顔をした。


「パーティーを組まないとなると非常に命の危険が大きくなってしまいますよ?確かにソロだと報酬も一人で受け取ることができるメリットがありますが、パーティーを組めばそれ以上に安全性と効率が上がりますので、ソロよりも多くの報酬をもらえる場合もあります。ギルドとしてはぜひパーティーを推奨させていただきたいのですが…」


「いえ、一人のほうが気が楽ですし、僕は妹も一緒なので」


 そう言うと悲しそうな顔をしたが、それ以上言ってはこなかった。


「分かりました。ではこちらで登録させていただきます。では先に登録料をお支払いいただいてもよろしいですか」


 俺は職員に銀貨5枚を渡す。


「確かにいただきました。それでは登録させていただきます。こちらのプレートの上に血を一滴たらしてください」


 男性職員は奥から魔法陣が書かれている銀色の小さなプレートと針を持ってきた。

 針で指に傷をつけて血を一滴プレートの上に落とす。


 血を落とすと魔法陣が薄く光をだしはじめた。

 その魔法陣に先ほどの記入用紙を置いた。


 記入用紙が燃え上がり、プレートに先ほど記入したことが刻まれていた。


「これで登録は終了です。そちらのプレートが冒険者カードになります。裏には自分の記入した情報が、裏には自分のランクが記載されています。普段はただのプレートですが、そこに魔力を流すと自分の情報が刻まれます。自分の以外のプレートに魔力を流しても何も反応しませんので、盗難などにあった際も安心ですが、プレートを無くし再発行する際にまた登録料をいただくことになりますので注意してください」


 男性職員は俺に冒険者カードを渡してくる。


「冒険者カードについては以上になります。何かご質問はありますか?」


 俺は首を横に振って質問がないと言う。


またふつかごかな?

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