よんわ
よんでもらえてるかすらわからないw
冒険者は荒くれ者が多い。
なぜかと言うと戦闘が多い職業だからである。
なんの依頼を受けようがどこかしらに戦闘が絡んでくる。
街のお手伝い的な依頼もない事もないが、それもほとんど無い。
そんな冒険者が集まるギルドに入る。
入った瞬間、中に集まっている冒険者が一斉にこちらに視線を向けてくる。
それもそうだろう、自分で言うのはなんだが、今の俺の見た目はかわいい子供だ。
そんな子供が赤子を抱っこしてこんなとこに入ってきたら誰でも見るだろう。
取り敢えず周りは無視をして、窓口に向かう。
窓口は何個かあり、そこにそれぞれにギルドの職員であろう女性が座っていた。
その中に一つだけ男性の職員が座っている窓口がある。
女性の窓口には順番待ちしている冒険者がいたが、男性の窓口には誰も並んでいなかった。
誰もいないのでそこに向かうことにする。
「すみませんが冒険者登録をお願いします」
「ッ!は、はい、ようこそお越しくださいました!本日はどのようなご利用ですか?」
多分男の冒険者は女性の方ばかりに並ぶので、自分には誰もこないと思いボケっとしていたのだろう、声をかけるとビクッと驚き焦っていた。
話も聞いていなかったらしい。
「冒険者登録をお願いしたいのですが」
もう一度言うと男性職員は俺のことを見た後にシロのことを見る、その後また俺の顔をみてきた。
「えっ?君が冒険者登録をするのかい?」
間の抜けた顔でそんなことを尋ねてくる。
ここには俺とシロしかいない。
この男はシロが冒険者登録をするとでも思っているのだろうか?
「僕以外登録をする人はいないと思いますよ?妹はまだ赤子なので登録できませんよね?」
皮肉をいってやる。
仕事をサボってたくせに文句とは何事か。
俺がちょっと怒ったのが分かったのだろう、男性職員は若干の苦笑いをしている。
「いえ、そういう訳では無いのですが…わかりました。ではこちらの記入用紙に記入をお願い致します。登録時に銀貨5枚の登録料が必要になります。代筆が必要であるならば銅貨5枚でやらせていただいております」
そこでまだお金を持っていないことを思い出した。
この世界には6種類の硬貨がある。
石貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒金貨の6種類だ。
したから順に、十、百、千、万、十万、百万という単位になっている。
銅貨一枚100Rという感じだ。
本来この世界の通貨は5種類で白金貨までだったのだが、俺が最初に勇者をして邪神を倒して死んだ後に黒金貨ができたという。
なぜかと言うと、その勇者は黒髪黒目だったことから黒を象徴とした硬貨が作られたらしい。
黒金貨はアダマンタイトでできているので価値があるのも頷けるものだ。
「あの。いま持ち合わせが無いので先に魔物の素材を買い取していただきたいんですが、冒険者登録をしなければ買い取ってもらえませんか?」
「いえ、買い取り自体はすることができます。しかし冒険者登録をしてない方の買い取りとなると、買い取り費用として10%の手数料がかかってしまいます。それでもよろしければ買い取りは可能となります」
10%なんてどうでもいい。
身分証を発行してもらうにはギルド登録が必要である。
とにかく今は手持ちを増やさなければならない。
「はい。大丈夫です。買い取りをお願いします。素材はここで出せばいいですか?」
「買い取りの場合はあちらの買い取りカウンターの方でよろしくお願いいたします」
職員の男性に促される方を見る。
「わかりました。ではあちらで買い取りをして貰ってからまた登録に来ますのでその時はよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げて買い取りカウンターにむかう。
カウンターについたがそこには誰もいなかった。
ベルのようなものが置いてあるので多分これを鳴らすのだろう。
ベルを押し鳴らす。
少しすると女性の職員がやってきた。
「お待たせしましたー!本日は買い取りを希望でしょうかー?」
元気な職員さんだ。
ニコニコと笑顔で話しかけてきた。
「あらら、かわいい坊ちゃんだこと。そっちの赤ちゃんもとってもかわいい!」
ふむ。
さすがだな。
シロの可愛さに気付くとわ。
俺もかわいいと言われたがそんなことはどうでもいい。
しかし、シロが褒められるとすごく嬉しくなった。
「あぁ!可愛さのあまり仕事を忘れてた!ごめんね!えっと、私はギルド職員のエミリアです!今は主に買い取りカウンターを担当してるんだ!よろしくね!今日はどんな御用かな?素材を売りに来たの?」
うむうむ!
シロの可愛さに仕事を忘れるのも仕方が無いな!
そんな親バカみたいな感想を思いながらも話を進めていく。
「エミリアさんですね。僕はクロと言います。この子はシロと言います。こちらこそよろしくお願いします。今回は魔物の素材の買い取りをお願いします」
ペコリと頭を下げ挨拶をする。
「はいはーい。買い取りねー。じゃあ冒険者カード提示をお願いしまーす」
「えっと、まだ冒険者登録していないので持ってないです」
「ありゃ、それだと手数料で10%取られちゃうよ?大丈夫?」
「はい、大丈夫です。買い取って貰ってからじゃないと登録するお金がないので」
「そうなの!?もったいないなぁ…そうだ!取り敢えず売る素材出して!」
なぜか悲しそうな表情をした後に何かを閃いた顔になる。
そして素材を出すように促してくる。
もともと売るつもりだったので出すのだが、一体何を思いついたのだろうか?
「今思いついたことなんだけど、君が持ってきた素材が登録料以上になるのであれば、先に登録料だけ渡すからそれで登録を済ませます。そしてまたこっちに来てもらって冒険者カードを提示してくれれば手数料を払わなくて済むことになります!どお?すごくない?」
たしかに、そうなれば俺にメリットしかない。
しかし、それは違反ではないだろうか?
「たしかにそれができるのであれば凄いし僕はメリットしかありません。ですがエミリアさんに迷惑がかかるんじゃ…」
「迷惑なんてないない!でも内緒だよ?」
笑顔でそんなことを言ってくる。
初めて会った俺に対してこんなに親切にしてくれるとは…
俺はこの人に好感をもった。
この人が困っていたら何をしてでも助けてあげよう。
俺は今回の転生をしてからこの街に来るまでの魔物の素材を少しだけ出すことにした。
あまり多く出してしまうと面倒なことになってしまうからだ。
過去に狩ったドラゴンなどの、強力な魔物の素材などもあるにはあるが…
この世界の素材入手の方法は簡単である。
倒した魔物は約2分経つと消えて素材をドロップするからだ。
必ず一つ以上はドロップする。
何がドロップするかは運次第だ。
例えば今回売るのはサーベルウルフと言う魔物の素材だ。
このサーベルウルフが、ドロップするものは、肉、魔石、牙、爪、毛皮のどれかである。
このサーベルウルフは牙がレアドロップになる。
魔物によって当たり外れの部分がある。
ドロップしにくいものはその分価値が高くなる。
ほとんどは一つしかドロップしないが、極々たまに二つ三つ一緒に落ちることがある。
本当に滅多にあることではないが。
しかし、俺の場合は話が違くなってくる。
この世界に解体と言う概念はない。
だが、俺は解体をおこなって素材を入手している。
俺は狩った魔物はそのまま異空間に収納する。
そうすると収納された魔物が俺のスキルにより勝手に解体されていく。
解体された魔物はすべての素材をドロップしたことになっている。
そのため普通のドロップでは0.01%しか出ない素材なども俺の異空間の中にはゴロゴロしているのだ。
サーベルウルフはどこにでもいる雑魚な魔物だ。
ここに来るまでにサーベルウルフを10体以上狩ったが、今回は1体だけの素材を出すことにした。
それだけでも多分登録料位にはなると思われる。
ならなければもう少し出せばいいだけだ。
俺はサーベルウルフの素材一式を袋の中から取り出すふりをして異空間から出し、買い取りカウンターの上に並べた。
「今回はこの素材の買い取りをお願いします」
あとにさんわあげてもよんでもらえてなさそうならもうやめようとおもいます。
またふつかご。