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2.漆黒と純白の平凡な日々
次の日。
自宅を知ったヘリオスは、セレーネに会いに来た。
ヘリオス自身、自分が気に入ったものは必ず手に入れる、という性分で、必ずセレーネを自分のものにしようと、その日から彼女が振り向いて受け入れてくれるまで、会いに来ようと決意していた。
呼び鈴を鳴らして出て来たのは、セレーネ本人だった。
「こんにちは、ヘリオスさん。何か御用ですか?」
おっとりとした、昨日と変わらない口調でセレーネが問いかける。
「お前に会いに来た」
「私にですか?」
「ああ。昨日言ったろ。俺のモンになれ、って。お前が俺のモンになるまで、毎日会いに来る事に決めた」
きっぱりそう言ったヘリオスに、少し困ったような表情をした。
自分のモノにしたいとはどういう意味なんだろう、自分はモノではないのに。
やっぱり、言葉の意味には気づいていない。
ただただ優しく、来るもの拒まずなセレーネは、柔らかく笑んで、ヘリオスに言った。
「どうぞ。お茶、出しますね」
そして、家の中に、再びいとも簡単にヘリオスを招き入れた。
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