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1.出会い
〝暦〟。
この国は、他の世界の時間を統治する国である。
国には、立派で大きな時計台がある。
この国での言い伝え。
――時計台の時計が狂ったその日、他の世界の時間も狂う事になる。
ある昔、一度だけそれが起こった事がある。
時間は狂い、嵐に見舞われた。
大きな災害になったにも関わらず、この時計台だけは無事に生き残った。
原因は、太陽と月が離ればなれになってしまった事だった。
他の世界は、災害から復興し、この〝暦〟も同じく復興した。
そして、国のエンブレムはやがて、太陽に寄り添う月のエンブレムになった。
二度と同じ過ちが起こらず、太陽と月が離れないように、と。
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