パーティー結成
次の日。学校に行って、まずはクラスメートの人達に僕が手に入れた力の話をした。小学校時代からの親友である新道大可士が真っ先に話に乗ってくる。
「俺、力持ってても1人じゃ行きづらくてよぉ…。なんなら、パーティー組まねぇか?」
「そうだね。お前、釣師だったよね?」
「うん。」
大可士は、地元の有名な黒鯛釣り大会で5連覇している、有名な少年である。大会記録と同時に全国記録も更新する78.1cmの黒鯛を去年釣り上げ、その際に釣師の才能を開化できるようになった。釣りをしている時は寡黙になり、ほとんどしゃべらなくなる。主にウキ釣りをたしなみ、和のテイストを取り入れた渋い柄の磯竿を愛用する。
「え?パーティー組むならウチも参加していい?」
今話してきたのが藤咲来実。小4の時、料理コンテストで斬新な切り方のサラダで優秀賞を獲った時に切断師の才能を開化できるようになった。今はほとんどその力を起動していない。
「もちろん。なんなら妹の方も呼べば?」
「そうだね、聞いてみる。」
来実には、双子の妹の鳴実がいる。鳴実は、小5の時に作った、木や金属を組み合わせて作ったアートが全国展にも出品された。本人曰く「適当にガツガツくっつけまくったらいいのができた。」という話で、相当ワイルドな人間らしい。その結果、合体師の才能を開化できるようになった。
「4人か…。パーティーにしてはちょっと少ないなぁ…。」
杏含めても5人。ちょっとなぁ…。
「鳴実連れてきたよー!」
「パーティー何人?もしよかったらアタシの友達も連れてくるよ?」
「そうだね。じゃあ連れてきてよ。」
「わかった連れてくるね!」
なんかこのパーティーすげぇ楽しくなりそう。
つか、予想できたけど連れてきた人全員女子…。男子2人に女子5人…。杏含めたら女子6人…。まぁ、なんとかなるか。
眼鏡をかけた、天才っぽい雰囲気がもろに出てるツインテールの人が、2年1組の委員長である垣竹陽響。背が高く、ポニーテールで健康的に日焼けしている人が井藤湖。色白でショートカットの背が低い人が鷹川那深。陽響は委員長、湖は自転車ライダー、那深は生物使いの才能をそれぞれ開化させられる。
「パーティーリーダーは私で問題無いよね?」
陽響の眼鏡越しでも力強い眼が全員を見回す。
「いいんじゃないの?」
僕も一応委員長なんだけど、陽響には頭が上がらないんだよな…。さすが起動した才能が『委員長』なだけあるな。
「パーティーチャットはこのアドレスでいい?」
「ここのチャットサービスは使いやすいからね!ウチら、隣にいるのにここのチャットサービスで話してるし。」
「アタシ達アホみたい。」
妹の冷静な一言でシュンとへこむ姉。いかにもな女子の双子だな…。つうか、いつの間にか勝手に色々仕切られてるし。僕含む男子ほとんど口挟んでねぇ。
「よし、じゃあこの続きの話し合いはチャットで。私達は自分の教室に戻るよ。」
「じゃ、チャットでまた会おうね!」
「それじゃ、チャットで。」
部活に行って、器具庫(男女卓球部の部室のような扱い)の中でも僕が起動した話を一応しておいた。
「ほう、そうか。俺最近は参加してなかったけど、次は行ってみるか。」
南町さんが言う。南町さんは父親が結構有名なミュージシャンで、南町さん自身もロックンローラーの才能を開化させられる。
「パーティーはもう別のに参加しちゃったんで、一緒に戦える可能性低いんですけどね…。」
「まぁ、パーティー一緒じゃなかったら一緒に戦っちゃダメってルールは無いから、問題ないでしょ。」
その時、葵衣さんが駆け込んできた。
「南町!パーティー相当減っちゃうよ…。」
「は?」
「2年男子の参加者全員抜けるって…。」
「マジで?」
「あと、私以外の3年女子も抜ける…。」
「マジ…か。」
「これでパーティー参加者は全部で8人…。ちょっと少ないよね…。」
「斬、お前だけでもこっちに来れないか?」
「いや、ちょっと難しいですね…。」
「斬くんも起動したんだ。うーん………。どうしよほんと…。」
ん?僕のパーティーも8人…てことは少ない方なんだから、こっちと合併しちゃっても問題ない!!これは名案!!
「あの!なんなら僕の参加してるパーティーと合併しませんか?こっちも全員で8人なので、足して16。ちょうど良くないですか!?」
「それもありか。どうだ、葵衣?」
「大賛成!!そうしようよ!」
「それじゃ、今夜パーティーの皆に話通しとくんで、リーダーからOK出るまでちょっと待ってください。」
とりあえず、凸中卓球団からの許可は全員一致で出た。後輩の皆も、僕が起動できるようになったと知った途端にすごい喜んでいた。今夜、パーティー合併の話をする約束をして、僕は家路についた。




