↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/37

最後の戦い(2)

 斬は、ゆっくりと地面に落ちた。磨夏ちゃんをはじめ、皆が斬に駆け寄っていく。私もすぐに行きたいが、その前にちょっと里亥さんにお願いをしにいく。

「里亥さん、お願いがあります。」

「なんだぁ、リーダーさんよぉ?」

「斬が放った弾丸で、超大型機械兵の喉仏は破壊されました。早いうちに戦いは終わらせたいです。なんとか内部に突っ込んでもらえませんか?」

「それは車でってことかぁ?」

「はい。あなた方も空を飛べるなら別ですが。」

「今すぐに、てのは無理だな。残念ながら機械兵の破片でタイヤがいっちまってらぁ。交換してからすぐに突っ込んでやらぁ。それでいいか?」

「ありがとうございます。」

すぐに私はきびすを返して、斬のところへ急いだ。

 斬の周りに全員が集まった。斬の顔は傷だらけで、服も破けている。けど、脈はだいぶ安定していた。

「斬は無事だ。強大な力でちょっと気絶しているだけだ。安心して。」

全員の顔に安堵の表情が浮かぶ。私はこれからの計画を話す。

「斬のおかげで、塔の内部への道が開けた。何人かに、里亥さんと一緒に内部に突っ込んでもらう。誰か、行かないか?」

「俺が行くっす!」

「俺も!」

大夢くんと海督くんが立候補する。

「もう2人。」

「私が行きます。」

すずみちゃんが立候補する。すずみちゃんが誘って、磨夏ちゃんも行くことになった。

「うん。じゃあ他の人は斬を見守ろう。斬が回復し次第、私達は外から周囲を警戒する。外部で何が起きるかわからないからね。」

全員がこの計画に賛同する。

 すずみちゃんが、不安そうにしている磨夏ちゃんに声をかける。

「大丈夫。気絶してるだけだって言ってたでしょ?」

「うん…。そうだね。」

「斬さんのためだよ?せっかく斬さんが道筋つけてくれたんだから、私達でちゃんとケリつけないと。」

「うん…!よし、頑張ろっ!!」

 

 俺、こんな格好いい車見たの初めてだ…。ホンダでこんなの作ってるのか…。

「お前も中に突っ込むのか。」

里亥さんが聞いてくる。

「そうっす!」

「全員乗ってけ。タイヤは直った。」

俺はその一言にテンションが上がった。

「ありがとうございます!!」

 俺は狭い後部座席の運転席側に座った。スピードメーターは300km/hまであった。

「リミッター切ってあるんすね…。」

「そこまでわかるのかぁ、お前?どうりで初対面から話合いそうだと思ったらよぉ。」

「ところで、ここで加速足りるっすか?」

「いや、足りん。だから、ニトロでも使うさ。」

「えっ!?現実にニトロって存在するんすか!?」

「おう、あるぜ。さ、行くぜぇぇぇ!!!」

里亥さんがアクセルを叩くように踏む。体がシートに叩きつけられる。一瞬見えたが、メーターは既に200km/hより上を指していた。

「もう一本行くぜぇぇ!!」

もう一度シートに叩きつけられる。メーターの針は300km/hで止まってガタガタ震えていた。マジか!?300km/h!?このこと、斬さん目が覚めたらちゃんと伝えないと。

「こ、これ300km/h以上出てるっすよ!?」

「あったりめぇだぁぁ!!」

視界の端に赤い何かが見えた。直後、衝撃が襲う。そして、車体は宙に舞った。

「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!??」」」」

 

 「ったく、まぁたバンパーとボンネット直さないといけないじゃないかい。」

行贄さんがだるそうに言う。

「いっつも使われるんですか?」

近くにいた湖が聞く。

「車で空飛ぶときはいっつも。車高が低いからジャンプ台にはピッタリなんだってよ。これで何回目だか。」

「車のことはよくわかりませんけど、確かに他の車に比べて格段に小さくて背が低いですね。」

「だろ?いい加減ジャンプ台にならないような新しい車買おうかしら。」

 

 キィィィィ。車は止まった。

「こっからさらに中の方に繋がってるんだな。」

「行こうぜ、海督。」

「おう。」

「私達も行くよ?」

「うん。」

「さーて、俺もついてくかぁ。」

 こうして、俺達は内部の調査に取りかかった。


 「派手に飛んだね…。」

来実が感嘆のこもった目で空飛ぶ黒い車を見つめる。

「しかも、火噴いてるし。」

鳴実も驚きのこもった目で見上げている。

「あれって確か、ニトロとかいう機能だよ。」

葵衣さんが補足する。

「そうなんですか。」

私は、とにかく皆無事で出てくることを祈っていた。斬はまだ目覚めない。もうこれ以上怪我人が出るのは望まない。

「斬さん、目覚めませんね。」

結菜ちゃんが不安そうに斬の側にしゃがみこむ。

「実は目覚めてたりして…」

朱魅ちゃんが斬を揺さぶる。

「うぅ…。」

「「うそ!?」」

斬が声をあげた。2人の驚きの声が重なる。

「目が覚めたか!!」

私も駆け寄った。

「ふぅぅ…。おぉ、生きてるな僕。今どうなってる?」

私は頭の中で状況を整理しながら説明する。

 

 そうか…。とりあえず、僕の放った弾丸は当たったのか。そして、今は大夢、海督、すずみ、磨夏、里亥さんの5人が内部に入ったのか。僕達の役割は外部の警戒。よし、状況はわかった。

「うん、わかった。じゃあ、とりあえず待機だね。」

「まぁ、そういうことだ。それより、怪我…。」

「傷がかなり多いですよ。ザ・傷だらけって感じです。」

杏も言う。

「あぁ、うん、大丈夫。血が出てるだけだから。」

あれ、脇の辺りが痛い。もしかしてまたあばら折れた?ま、いいか。


 斬の意識が戻ったのは露知らず、大夢達は内部の最深部の辺りまで進んでいた。

「さて、こいつをぶっ壊せばいいのかな?」

海督が手を伸ばした途端…。


 なんだ?

「なんで外観が縮み始めてるんだ?」

大可士が心底不思議そうにしている。メリメリ、という音がする。

「おい、中の人達ヤバいんじゃないか?」

僕は南町さんのその一言で体中に衝撃が走るような錯覚を覚えた。中の人達が危ない。それだけで、僕は傷だらけの体を動かすことが出来た。

「斬さん、どこに行くんですか!?傷が…。」

杏が聞いてくる。

「助けにいかないと。せっかく助けた仲間を、失いたくないし。」

 そして、僕は振り返らずに一直線に塔の中に突っ込んでいった。

 「まったくもう…。ま、斬らしいっちゃ斬らしいか。」

杏は独り言を呟いてから、斬の後を追った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。