↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/37

釣り仲間(2)

 夏休みに入った。

 今週、海水浴に行った時の夢を何度も見た。おかげで朝からシャキンとしている。ほんと、一生忘れられないだろうな。


 「斬さん、本当ですか?」

エイかサメかの話をすると、釣り仲間達はものすごい食いついてきた。

「この辺でエイやらサメやらが釣れたっていう話は、基本投げ釣りの外道だな。」

「んじゃ、今回は全員投げ釣りで行くの?」

「専門に狙うなら、な。基本待ちの釣りだから、俺は横で渚釣りをする。」

「俺も投げタックル一式ともう1セット別のタックル持ってきますよ。」

「そうか。んじゃ、今週中に仕掛けとか調べとくよ。」


 次の日。

「とりあえずエイの方調べてきた。仕掛けはワイヤー使うね。だいぶヘビータックルだった。エサはドジョウ。」

「ドジョウですか。魚食べるんだったら、ルアーでも行けそうですね。」

「俺のタックルだったら余裕だな。ギャフとナイフ忘れるなよ。」

「そうですね。尻尾には毒あるので釣ったら切らないといけませんし。」

「ギャフか…。ツルツル爺さんに借りるか。元漁師だし持ってるだろ。」

「ツルツル爺…?」

「誰ですか?」

「あぁ、僕の親戚だよ。元漁師の。」

「そうなのか。」

「んじゃ、日曜日だな。」

「楽しみにしてるよ。」

「絶対釣りたいですね!」


 そして日曜日。先週海水浴に行った狭い砂浜に3人と大夢という、いつものメンバーが集まった。

 砂浜の端の方に大夢と海督、小さめの堤防の砂浜側に僕、磯に面している側に大可士がスタンバイして、釣りを始めた。

 3人思い思いの場所にエイ釣り用の仕掛けをぶっ込み、もう1本の竿で釣りをする。

 お、来た。最初に魚がかかったのは僕だった。クイクイと竿を引っ張るような引き。

「お、案外引いてる…。」

期待しながら仕掛けを上げると…

「ふ、フグーー!?」

間抜けな顔がそこにあった。しかも無駄に大きい。ツルツル爺さんの奥さんはフグ捌けるはずだし、持って帰ろ。

 海督がルアーで釣り上げたのはヒラメだった。

「だいぶ大きくないかー?」

「87cmでーす!!」

すげぇな。この浜には化け物サイズの魚しかいないのか?

 「むっ…!!」

巧みな竿さばきで大可士が釣り上げたのは、メジナだった。

「へー。この辺にこのサイズのメジナいるのか。」

「俺もこの辺では手のひらサイズしか見たことないな。」

測ってみたら32cmあった。

 浜に来て2時間が過ぎた。皆それなりにいい釣果を上げていたが、エイ釣り用の投げ竿に反応があった人はまだいない。

「昼ちょっと前か…。そろそろあの時間だな。」

そう呟いた途端、僕の投げ竿が海中に引きずり込まれかけた。

「おおぉぉ!?」

ドラグが鳴るどころの話ではない。叫んでいる。

「来たか。」

大可士が振り向いて声をかける。海督と大夢もこっちを見ている。

「前のよりデカイかも…?」

竿が手からすっぽ抜けていきそうだ。少しずつ糸を巻く。竿が上がらない。

「悪い。手伝って。」

「あいよ。」

2人がかりで竿を持つ。何とか魚が逃げるのと逆方向に引っ張る。リールを頑張って巻く。

「斬さーん!」

「なんだー?」

ギャフを抱えた海督が声をあげる。

「浜で上げた方安全じゃないですかー?」

「そうだな。うおぉっ!?」

また引きずり込まれそうになった。

「ごめーん、海督も手伝ってー!!」

「わかりました!」

3人がかりで、少しずつ浜に魚を誘導する。

 格闘すること20分。腕から汗が吹き出ている。こんなに汗をかいたのは久しぶりだ。

「そろそろ上がるぞ!」

「大夢!ギャフ頼む!」

「わかってるって。」

ギャフを大振りに構える。寄せ波で波打ち際に近づいてくる魚影を、3人はしっかりと見た。

「…デカイ。これがエイか?」

「水族館でもこんなのは見たことないな。」

「とっとと仕留めよう!!」

「おう!」

 次の寄せ波で、更に近づいたエイにギャフをかけた。

「おらぁぁぁぁぁ!!!」

ギャフにかかった魚体を、大夢が力づくで引っ張り上げる。

「「「よっしゃあ!!」」」

 魚体を見て、しばし呆然。それだけ大きかった。

「尻尾切るぞ。」

僕が尻尾を切ると、少し小さく見えた。だが、やはり大きかった。よく竿がもったものだ。

 ここで、大夢が現実を知らせる。

「あの…これ、チャリで持ってけなくないっすか?」

「「…あ。」」

海督と僕の声が重なる。

「俺は、計画を立てた時点で疑問に思っていたが…。」

「大可士、どうする…?」

「お前、里亥さんのメールアドレス持ってるんじゃないのか?」

「あ、迎えに来てもらうの?」

「そうするほかないだろ。」

 というわけで、里亥さんが来るまで少し待機。

 「お、来た。」

「何釣ったんだぁ?おぉ、すげぇ…。これ中学生が釣る魚じゃねぇだろぉ?」

「いや、釣れちゃったんで…とりあえず家までこの魚持ってきたいんです。」

「運び屋ってわけかぁ?ま、乗ってけ。」

 こうして家に魚を降ろした後、歩いて浜にチャリを取りに行く。

 そして戻ってきた。

「あー、なんなら時間あるし今食ってくか?」

僕は料理が好きなので、エイを皆に食べさせることにした。

「これ、捌けんの?」

「…頑張れば。」

 …そして1時間後。斬は諦めかけていた。この化け物エイめ…。仕方なく、大可士のメジナと海督のヒラメを刺身にして出した。

「あれっ、エイは?」

「諦めた。親戚に頼む。」

「うおっ、メジナうまいっす!」

「本当か?」

大可士も食いつく。

「うまい。」

 

 楽しく食事を終えて、全員が帰った後。台所はエイによって7割が占領されていた。ツルツル爺さんの家に電話かけて、奥さんに色々捌いてもらうか。

 なんだか今年の夏休み、すごく楽しくなりそうだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。