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ロック・ザ・稲荷  作者: ひざ小僧
第2章 日常の非常識
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万引きの理由


スーパー丸●で万引き犯に間違われた日から、2週間以上経った。


「レフティちゃん、どこ行っちゃったのかしら・・・。 もう2週間も帰ってこない。」


右「・・・ふぁあああ。大丈夫だよ。おいらたち、死ぬことはないんだし。」


「そうはいってもねえ・・・。」


今日も帰ってこないかな、とあきらめかけたとき・・・


年の頃は5、6歳の今時珍しいおかっぱ頭の女の子が鳥居をくぐりぬけた。


「ただいまー! 」


「え? あなた誰? どこの子? 」


あ、変身解くの、まだだった。どろんどろん


そこには、みなれた白い狐が佇んでいた。


「レフティーちゃん! 」


左「ただいま。あぁ、疲れた。」


「どこ行ってたのよ! 心配するじゃない! 」


左「どこって、万引き婆さんのところよ。あの婆さん、もう万引きしないと思うわよ。」


そう言って、レフティが語りだした。





あたしね、あの婆さんの後、ついて行ったの。そしたらなんと、大きなお屋敷に住んでるのよ。婆さん、大きなお屋敷で、一人で暮らしてんの。


婆さんの心の中、読んじゃった。旦那さんは実業家で、結構稼いでいたけど、10年ほど前に亡くなってるわ。子供は、娘さんがいたんだけど、小さい頃に病気で亡くなっちゃってるの。そんなんで、一人暮らししてる、さびしーい婆さんなのよ。


そこで、あたし、その娘さんそっくりに化けて、婆さんが屋敷の外に出たときに、声をかけてみたの。


婆さん、目をまんまるくして、「そ、園子かい?」って。園子ちゃんていうのね、娘さん。わたし、わからない振りして首をかしげたら、安心したようで、「・・・お嬢ちゃん、なんの用?」って聞くから、「スーパー丸●ってどこ?」って聞いたの。婆さんも買い物に行くつもりだったみたいで、ついておいでって私を連れてってくれたわ。


その日は婆さん、万引きしなかった。


それから毎日、婆さんが買い物に行くのを見計らって、婆さんの前に娘さんの姿で現れてあげたの。「おばあちゃん、今日もスーパーに行こう?」って。


もともと、そんなに悪い人じゃないのよ。道すがら、いろんな話を聞かせてくれたわ。旦那さんと旅行に行った話とか、戦争の話とか。


スーパーに入ると、あたしはすっと姿を消すわけ。婆さん、最初のうちはきょろきょろあたしを探してたみたいだけど、そのうちあきらめちゃうの。どこの子かわからないしね。


そして、今日。




いつものように、婆さんのお屋敷前で待ってて、婆さんと一緒にスーパー丸●に行った。今日の婆さんの話は、園子ちゃんのことだったわ。生まれてからうんと可愛がってたんだけど、体が弱くて・・・ ガンが見つかってからはあっという間だったらしいわ。


婆さんがスーパーに入るのを見届けて、姿を消したの。


婆さん、ずっと万引きできなくてストレス溜まってたんでしょうね。


油揚げの袋とって・・・ 自分の手提げ袋に入れたの。


あたし、その瞬間、娘さんの姿で現れて「おばあちゃん、なにやってるの?」って声をかけたの。


婆さん、最初に会った時みたいに、目をまんまるくしてあたしを見たわ。




そして・・・ 「園子、そんなおばあちゃん嫌いよ。」って言ってやったわ。




婆さん、まんまるくした目から涙をぼろぼろこぼして、「園子、ごめんよ、ごめんよ」って泣きだしたわ。


わんわん泣くもんだから、店員さんが寄ってきたの。それで、店を飛びだして今帰ってきたってわけ。



「・・・。一番見られたくない人に見られたってことね。しばらくしたら、また園子ちゃんになって、会ってあげなよ。そうしないと、また悪さするかもよ。原因は寂しさみたいだし。」


右「・・・婆さんのことはいいから、油揚げとってきておくれよ! 」


左「とってきちゃだめでしょ。


そうだ! 今度婆さんに、ここに油揚げをお供えしなさいって言ってあげるわ。そのぐらいの仕事はしたでしょ、あたし。」





それからしばらく経ったある日。例のお婆さんがやってきて、お賽銭箱の横に、油揚げの袋を二つ、置いて行きました。


「神様、ありがとうございます。園子に会わせてくれて、ありがとうございます。」




左「ライトの分も頼んどいたのよ。えらいでしょ、私。」


右「わーい、ありがとう! レフティちゃん! 」


あのぉ、私の分は・・・?


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