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ロック・ザ・稲荷  作者: ひざ小僧
第9章 それはセンセイ
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嫌悪


「わーい♪ わーい♪ は・じ・め・て・の給食♪ おなかすいた~♪ ごはんおかわりしよっかなぁ~♪」



上機嫌のライト君。レフティは、といえば・・・



「・・・」



つーんとおすましして、自分の席に座っている。



そんなレフティに、女子のある一人が、声をかける。



「あの・・・ よかったら、こっちで一緒に給食食べない? 」



「・・・ もちろん、よくってよっ」とレフティ。心なしか、ほっぺが赤くなってる。



レフティ、机を抱えて、女子軍団の机の島に合流する。



「ライト、だっけ? 君もこっちおいでよ! 」



男子グループから声がかかる。



「アイあいサー!! もちろんさー!! みんなで食べれば、もっとおいしーQ--ショーック!! 」



・・・ ライトの言うことについて、いちいちコメントするのはやめておきましょう。



給食当番から給食を受取り、レフティもライトも、それぞれ女子の島、男子の島に漂着したところ、事件は起こった。



は、は、はくしょーーーーん!!!



男子の1人が、盛大にくしゃみした。くしゃみした男子の前に座っていた男子は、給食を咀嚼した食物とよだれの飛沫を顔に浴び、硬直している。



「ご、ごめん!! おれ、花粉症とかになっちゃって、吉岡、ホントにごめん!! 」



「・・・ きったねえなあ、もう・・・ とりあえず、ハンカチ貸してよ」



吉岡君、ハンカチで顔を拭くと、席をたって流し場に顔を洗いに行った。



その様子を見ていた先生、やおら吉岡君の席に近づくと・・・



「あー、衛生上問題あるし、吉岡の給食は片付けるね」



先生、吉岡君の給食のプレートをさも汚なそうに運んで、片付けてしまった。しばらくして、吉岡君が教室に戻ってきた。



「あれ、俺の給食は? 」



「先生が汚いって、片付けちゃったよ? 」



「えぇー、じゃ、新しいのもらえるんですか、先生? 」



「そんなわけないだろ・・・ あー、コンビニでもいって、なんか買ってきてもいいぞ」



「そんなぁ、お昼のためにおこずかい持っているわけないじゃないですか。先生、くれるんですか? 」



「ふざけんなよ、俺の問題じゃないだろ。じゃあ、我慢しろ、一食くらいなんだ」



くしゃみをした男子が、吉岡君に申し出る。



「ごめんな、吉岡、おれがくしゃみしただけなのに・・・ 俺の分、やるよ」



周りの男子が応援する。



「ほら、ごはん、半分とっていいぞ。」



「おれ、にんじん苦手だから、たべてくんない? 」



「ぼくは牛乳がにがてだから、のんでいいぞ」



「ちょっと待った、お前ら。だめだ、だめだ。給食はちゃんとひとりひとりの栄養を考えてできてんだ。それをわけちゃったら、足りなくなるだろ。食べかけを食べさせるのも衛生的じゃないし。これは吉岡と加藤の問題だ、分けちゃダメだ」



えええええええ!!!!! おい、先生よ、ナニ言ってんだ? 友達の助けあいをそんなことで否定するのか。



「先生、僕、お腹空いてるんだけど・・・ 」



「くしゃみした、加藤に言えよ」



ぽかーん・・・



開いた口がふさがらないとは、このことだ。一体、この教師何を考えているのか? 給食を分け与えて、何か健康上の問題が生じるのを恐れているのか? 結局、被害者である吉岡君は、給食を食べることなく、この日一日を終えることになった。


次の日のこと。



「レフティちゃん、どうよ、あの先生? 」



「どうもこうも、ありゃ駄目ね。一体どういうつもりかしら? 」



「おいら、あの先生嫌い! ヨッシー、お昼のあとずっとお腹空かしてたよ」



そんなことを言いながら、あたいらは今日も学校に向かった。そして、また事件が起こった。



「はい、みなさん、コンパスを出して下さい」



「あれ? あれ? ない! 」



「コンパスの足の片方が針になってます。そっちの足をノートに・・・ おい、吉岡、何してんだ。早くコンパス出せ」



「先生、僕のコンパスなくなってます」



「なに~? お前、家から持ってくるの忘れただけだろ」



「違います! 僕、ちゃんと確認して、机の中に入れました」



「あ~、もういい、お前は隣を見とけ」



そういって、算数の授業は進んでしまった。先生、どうして吉岡君の言うことはハナから取り合わないんだろう。信じていないのだろうか。それとも・・・



そして、吉岡君のコンパスは、意外なところから出てきた。



授業が終わり、教室の掃除をしているときだった。レフティ、ライトもお掃除当番で、吉岡君たちと教室の片付けをしている。吉岡君が机を教室の後ろに運んでいるとき、ライトが吉岡君と軽くぶつかってしまった。



「悪い! ごめんなりよ~ 」



「いいよ、大丈夫・・・ あれ? これって・・・ 」



「あ、コンパス落ちちゃった・・・ ってこれ、吉岡って名前が貼ってある」



「うん、僕のだ」



「この机、誰の? 」



「斎藤んじゃん。斎藤! お前なんで、僕のコンパス持ってるんだよ! 」



「え、いや、その・・・ さっき拾って・・・ 」



「さっきって、いつのことよ。拾ったなら、すぐ吉岡君に言いなさいよ」とレフティ。



「レフティ、いいよ、コンパス戻ってくればいいから」と吉岡君。



掃除当番の間でごたごたしていたところ、先生が教室に入ってきた。



「おい、なにやってんだ、早く片付けろ」



「先生! 吉岡君のコンパス盗ったの、斎藤君なんです」とレフティ。



「え? 本当か? ・・・斎藤、ちょっと来い」



そういって、先生は斎藤君を教室の外に連れ出した。なにかごちょごちょ話していたかと思うと、斎藤君を先に帰して、先生が教室に戻ってきた。



「吉岡、コンパス戻ったらそれでいいんだろ? じゃ、掃除終わったら帰りなさい」



「先生、それひどくないですか? 算数のときに、僕の言ったことウソじゃなかったでしょ? 」



「先生、お前にウソだなんて言ったか? もうどうでもいいじゃないか、帰れ帰れ」



吉岡君、しょぼんとして帰って行った。神様修行中のあたいとしては甚だ不穏当ながら、この先公、プチっと殺しちゃっていいですか? と思わざるを得なかった。

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