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ロック・ザ・稲荷  作者: ひざ小僧
第8章 初恋
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潜入


「えっと・・・ なんて言いましたっけ、ホック何とか・・・ 」


「フォクシー・イワーノフ大公国ですわ」


あたいとレフティ、ライトはKO学園の校長室にいた。


「そうでした、そうでした。そこから帰国されたわけですね。御主人様が外交官でらして・・・ 」


「ええ、そうざます」


「ははぁ、こちらがKO大学学長の推薦状・・・ 確かに、学長の筆跡ですね」


「ええ、ちょろい・・・ いえ、事情をお話申し上げたら、学長さん、喜んで推薦状を書くとおっしゃってくださって・・・ 」


もちろん、あたいとレフティちゃんのマインド・コントロール下でね。学長の心をすこーし『プッシュ』して、あたいらの出まかせを信じさせ、KO学園小学部の推薦状を書かせたのだ。


「お子さんに受けて頂いた編入試験も問題ないし」


これもマインド・コントロールで、零点近いのを満点近いと思わせてる。狐の思考をテストしたって、人間の望む答えなんぞでないのだ。実際、文字すらまともに書けてないし。


「では、入学を許可させていただきます。双子さんということでしたね。うちは個性を重んじますので、双子さんだと一緒にすると同じ行動をとる傾向がありますことから、お二人を分けてばらばらの教室に・・・ 」


「いえ、二人とも6年3組でお願いします。でないと、意味がありませんから」


「そうですね、ええ、ええ、もちろんです。では、お二人一緒に、6年3組にしましょう」


栄勝君と惠梨香ちゃんをくっつけようプロジェクトのためにやってんだから、二人がいる6年3組じゃなきゃだめです。6年3組に送り込もうとしているレフティとライトがバラバラにされちゃ困るのです。てわけで、ここで校長さんの心を『プッシュ』しました。


「じゃ、担任の先生をご紹介しましょう。秋山先生! 」


紹介された秋山先生は、かなりふくよかな、中年女性の先生だ。


「えっと・・・ あたしが秋山です。あなたが、レフティさん・・・ そしてこちらが、ライト君。じゃ、教室に行きましょうか」


「秋山先生、よろしくお願いします」と、あたいは丁寧に頭を下げた。


「・・・ ずいぶん無駄に肥ってるわね」


こ、こら! レフティ、なんてこと言うの! 秋山先生が怒らないよう、『プッシュ』した。


「レフティさん、無駄なことなんて、ありませんよ。宅の主人は、ぽっちゃりが好きなんです」


「あははは、デブ専! 」


あいたっ! ライトよ、お前もか。怒らないで、秋山先生! また『プッシュ』した。やばい、もうあたいの精神エネルギー持たないぞ。


「世間ではそういう趣味のように言う人もいるわね・・・ あ、もう授業が始まるから、早速行きましょう」


「「はーい! 」」


よし! レフティ、ライト、うまくやっておくれよ!


「じゃ、校長センセ、後はよろしくお願いします」





「はぁ~い、みなさん、席についてくださ~い。今日からね、転校生がいまーす。えっと・・・ 田宮レフティさん、田宮ライト君です。ごあいさつなさい」


「田宮です。当面、レフティさんと呼んでも怒りません。節度を守って、あたくしに近寄るように」


「ライトだよおおおん♪ みんな、仲良くちてねええぇぇええん♪ ブィ、ブィ♪ 」


「ず、ずいぶんと温度差がある双子みたいだけど、みなさん、仲良くしてあげてね・・・ さて、レフティちゃん、山本惠梨香(えりか)さんの隣に・・・ えっと、ライト君、後ろの池田栄勝(えいしょう)君の前の席に」


幽体化しているあたいは、ここでほくそ笑んだ。ぴったりの布陣だわね。なんか、神が味方してるみたいっ・・・ って、あたいが仕組んだことか。


「あたし、レフティ。よろしくね・・・ 惠梨香さんって、あなた? 」


「は、はい。私よ。レフティ・・・ ちゃん? よろしくね」


惠梨香のとりまき連中(女子)が騒ぎ出す。


「わあ、かわいい! ね、レフティちゃんて、外国生まれなの? 」


「ねね、どうして転校してきたの? 教えて! 」


レフティ、とりまき連中をガン無視して、


「単刀直入に聞くけど、あの栄勝って子と、どういう関係? 」


「え? 栄勝君? 関係っていっても・・・ 幼馴染かしら」


とりまき連中が手のひらを返したように、


「ちょっと、なんで無視すんのよ! 」


「あんた、新参者なんだから、あたいらの言うこと聞きなさいよ。惠梨香ちゃんと直接口きくなんて、10年早いよ! 」


レフティは全く取り合わずに、


「今はどうなの? 話をしたりするの? 」


「いえ、そんなことは・・・ 栄勝君、最近無口になっちゃって・・・ 友達もいないみたいだし」


とりまき連中、ヒートアップして、


「おい! なんで無視すんだよ! 転校生のくせに! 」


「惠梨香ちゃん! だめだよ、こんな女と口きいちゃ! こいつ、きっと栄勝のこと好きなんだよ! 」


レフティ、それは静かに、とりまき連中に顔を向けた。ただ、目が・・・ 真っ赤な縦筋の目になって、なにやらゴゴゴゴゴと音が聞こえてきそうな・・・


とりまき連中、一瞬で黙ってしまった。


「「こ、こわ・・・ 」」





一方、こちらはライト対栄勝戦が始まっていた。


「エーショーくーん! おっぱよーっす。今日からお隣さんだねー! 」


「・・・ 」


「おいら、ライトっていうんだ! よろちくびーー! 」


「・・・ 」


「ねぇねぇ、惠梨香ちゃんってかわいいよね? 」


「・・・ 」 栄勝君、ちょっと動揺したようで、ライトのことにらんでいる。


「君んち、えらくでっかいね。なんかでっかい車もいっぱいあるし。お金持ちだよね」


「おい、なんでそんなこと知ってんだよ。うちに来たことあんのかよ」


ばかっ! ライト、どう切り抜けんのさ。


「え? え、えっと、さっき、惠梨香ちゃんが話してたよ! 栄勝君ち、すげえってさ」


「お前、さっきウチを見てきたようなこと言ったじゃないか! で、いつ惠梨香と話したんだよ! おい、いつだよ! 」


しまった、ライト君、下手なウソで余計に墓穴を掘った。


「・・・ 知りたい? 」


「・・・ 知りたい」


「じゃ、おしえてあげ・・・ ない! 」


「・・・ 」


あ~あ、怒らせちゃった。この日はこの後、栄勝君はライトに一言も口をきかなかった。でも、栄勝君、やっぱり惠梨香ちゃんを気にしているのね。


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