表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/36

1974年時点の北朝鮮情勢(この世界線)

■ 1. 政治体制:強化された「軍事社会主義国家」

● 指導体制

• 最高指導者:金日成キム・イルソン(在位:1948〜)

• 史実以上に「民族統一・南解放」を国家理念の中心に据える。

• 韓国の崩壊を目前にしており、

「革命の最終段階(祖国解放戦争第二期)」を公然と語る。

● 党と軍の一体化

• 朝鮮労働党と朝鮮人民軍の融合が進み、

1972年に「軍政指導局」が設置。

→ 軍が政治決定に直接関与する“軍事政治複合体”が完成。

• 金正日はまだ正式な後継者ではないが、

宣伝・思想部門で頭角を現し、**「主体思想体系」**を整備。

● 統治体制

• 完全な警察国家。国家保衛省・社会安全部が国民監視を徹底。

• 住民は「忠誠階級」「動揺階級」「敵対階級」に分類され、

配給・教育・居住地が厳格に制限。

• ただし経済状況はまだ安定しており、

飢餓や極端な崩壊は見られない。

---

■ 2. 経済:軍事優先・自立経済路線

● 「主体経済」の完成期

• 中国・ソ連双方から技術・資金援助を受けつつ、

1960年代後半から工業化が一応成功。

• 鉄鋼・化学・軍需産業が拡大。

• 「清津造船所」「南浦機械総合工場」などが整備され、

軍需生産比率がGDPの30%を超える。

● 1970年代初頭の経済指標(推定)

指標 北朝鮮(推定) 備考

GDP 約250億ドル(名目) 韓国の3倍、日本の1/80

国防費 約10億ドル 比率4〜5%

鉄鋼生産 年400万トン 東アジア第4位

電力生産 年200億kWh 殆ど水力・石炭火力

● 問題点

• 消費財・農業部門が犠牲になり、都市の物資不足が顕著。

• 経済官僚が軍に吸収されつつあり、民生は停滞。

• しかし外部比較では「成功した社会主義国家」と見られており、

アフリカ・中東の左派政権に影響を与えている。

---

■ 3. 軍事力:東アジア最大規模の地上軍国家

● 兵力・組織

分野 内容

総兵力 約80万(うち陸軍65万)

予備役 約200万(民防軍・労農赤衛隊)

主力装備 T-55/62戦車、MiG-21戦闘機、IL-28爆撃機、潜水艦60隻前後

特殊部隊 約3万(斬首・破壊工作・情報収集任務)

• 陸軍中心で、特に38度線南方に**前線兵力の60%**を集中。

• 電撃的南進を想定した「三日統一路線」を完成。

• 日本・米軍の介入を阻止するため、

長距離砲・潜水艦・空挺部隊による撹乱作戦を研究。

● 海空軍

• 海軍は老朽化しているが、沿岸潜水艦・魚雷艇多数。

• 空軍はMiG-21、MiG-19を主力に500機体制。

• 対地支援・制空の訓練が進み、韓国軍に対して圧倒的。

---

■ 4. 外交関係:中ソ両陣営の均衡外交

● ソ連との関係

• 軍事装備供与の主力。1972年にMiG-21、T-62を供与。

• 一方、ソ連は「日本との対立拡大」を望まず、

北に「南進は早い」と釘を刺す立場。

• 北はソ連軍顧問団を平壌に常駐させつつも、

独自行動の余地を確保。

● 中国との関係

• 毛沢東晩年期で、中国は文革の混乱にあり、

対外支援余力は限定的。

• しかし1973年以降、鄧小平復権の兆しとともに

「朝鮮半島安定化」のために経済支援を再開。

• 北は「両大国の狭間外交」で巧みに援助を得る。

● 東側諸国・第三世界

• ベトナム、キューバ、アフリカ左派諸国に軍事顧問団を派遣。

• 「反帝・反日本」を掲げる国際宣伝を強化。

• 日本を「新東亜帝国主義」と非難し、

竹島戦争を“日本の再侵略の象徴”として利用。

---

■ 5. 対南・対日戦略

● 対南方針

1. 南朝鮮政権は崩壊寸前との分析を確立。

2. 1973年に「祖国統一路線・第3段階」へ移行。

3. 「南部の革命勢力との連携」「ゲリラ支援」を活発化。

4. 韓国南部・済州島・釜山周辺に地下組織を形成。

→ 「1975〜77年のうちに南解放戦争を開始」が内部方針。

● 対日本方針

• 日本を「米帝の盾」と位置づけ、

有事の際には対馬・佐渡・新潟・舞鶴を工作対象に指定。

• 特殊部隊がすでに日本海沿岸で偵察活動。

• 日本の対潜・防空能力向上を重大脅威と見なし、

ソ連軍と共同演習を検討。

---

■ 6. 国内社会とプロパガンダ

• 「祖国統一の年は近い」「南の同胞よ蜂起せよ」などのスローガンが連日放送。

• 学校では「南侵勝利の詩」「東京打撃の歌」などが唱和される。

• 日本・韓国の地図は「朝鮮統一後の防衛線」を示す教材として配布。

• 住民には経済困窮よりも「統一の栄光」が心理的支柱となっている。

---

■ 7. 北朝鮮の評価と国際的地位(1974)

評価項目 内容

国際的地位 「安定した軍事国家」ただし孤立的

対外援助 ソ連・中国から継続中

経済状況 まだ安定しており、生活水準は韓国より高い

軍事準備 史実より10年早く「南進準備完了」

国内安定度 高い(反乱や飢餓なし)

→ 1974年時点で北は 「軍事的黄金期」 にあり、

南進の条件がすべて整いつつある。

---

■ 8. 南進へのロードマップ(内部文書想定)

「祖国解放戦争第2段階(1975〜1978)」

• 第1期(1975春〜秋):ゲリラ蜂起・港湾封鎖

• 第2期(1976):首都圏突入・政府壊滅

• 第3期(1977〜78):統一政府樹立、日本の介入阻止

金日成はこの方針を「光明星作戦」と命名。

1974年12月、平壌ではすでに作戦計画の実動演習が始まっている。

---

■ まとめ

項目 状況(1974年)

政治 絶対的独裁体制・軍政化完成

経済 軍需中心・自立体制、まだ安定

外交 中ソ均衡、第三世界で影響力維持

軍事 地上軍80万・南進作戦準備完了

対南 韓国崩壊を前提に蜂起計画推進

対日 米日同盟を主要敵視、情報戦強化

→ 北朝鮮は最盛期の自信と過信の中にあり、

1970年代後半の「第二次朝鮮戦争」へまっしぐらに進む段階。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ