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殿下のとんでもない事情  作者: 木の葉
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魔獣討伐

 魔獣討伐の最中に、ボーンズが私を庇い毒に侵されてしまった。

 

「おい、おい、ボーンズ、しっかりしろ。すぐに毒を抜いてやる」

 

 毒消しの薬はすぐに飲んだが、体内に回るまでには少し時間がかかる。体内が侵される前に毒消しが効けば良いが、毒の勢いが早いのか顔色が一向に良くならない。

 

 殿下が必死に噛まれた傷口から、自身の口で毒を吸い取っては吐き捨てている。

 

「頑張れ、ボーンズ」

 

 殿下が必死に叫んでいる。

 

 私にできることは、祈ることだけだった。神様、どうかボーンズをお救いください。

 

「うっ、殿下、ありがとうございます。少し楽になってきました」

 

 ボーンズがそう言った途端、私の目からは涙がこぼれ落ちた。

 

「ごめんなさい。私のせいで、本当にごめんなさい、ボーンズ」

 

「ご無事で良かったです」

 

「私はボーンズが死ぬんじゃないかと怖くて仕方がありませんでした」

 

 その時、私は突然ふわりと殿下に抱きしめられた。

 

「大丈夫だ。ボーンズはタフだから大丈夫だ。よしよし、泣くな、もう大丈夫だ」

 

「殿下――子供扱いしないでください」

 

 私が泣きながら訴えると、殿下は「分かった、分かった、もう大丈夫だな」と優しく私の頭を撫でながらつぶやいた。

 

 私はボーンズの代わりに、自分の出来ることでチームの手伝いをした。食事作りは下手ながらも、少しは貢献できたのではないかと思う。

 

「ドヴァーグ侯爵令嬢、私の代わりにそのようなことをさせてしまい申し訳ありません」

 

「ボーンズはゆっくり寝てて頂戴。もうすぐシチューが出来上がるから待ってて」

 

「ありがとうございます」

 

 私は、出来上がったシチューをボーンズのテントに持って行った。

 

「あっ、そういえばやられたのは利き腕だったわね。私が食べさせてあげるわ。はい、アーン」

 

「い、いえ、左手でも食べれますので、お構いなく」

 

「駄目よ、私のせいで怪我をしたんだもの。遠慮などしないで」

 

「そういうわけにはまいりません」

 

「おーい、お前たちは何をしているんだ?」

 

「あっ、殿下、申し訳ありません」

 

「ボーンズは何を謝っているのよ?殿下のことは何も気にしなくて良いのよ」

 

「おい、リン。確かお前は俺の婚約者だったよな?」

 

 あら、そうだったわ。よく考えたら、お邪魔なのは私の方だわ。

 

「殿下、お気遣い出来なくて申し訳ありませんでした。このシチューを殿下がボーンズに食べさせてあげてください」

 

 私はシチューを殿下に手渡した後で言った。

 

「それから殿下、今日はあまり無理をさせてはいけませんよ。では私は失礼します」

 

 テントを出て、私は他の方々と共にシチューを食べてから、一人テントに戻り、眠りの体制に入った。

 

「今日はなんだかとても疲れたわ」

 

 そうつぶやいてから今日のことを思い出していたが、いつの間にか眠っていた。

 

「なあ、ボーンズ。リンの様子が変じゃないか?」

 

「私が思うに、リン様は私と殿下の関係に気付いておられるのではないでしょうか?」

 

「ボーンズもそう思うか。俺もそんな気がするんだ」

 

「私と殿下の関係は複雑です。話された方が良いのではないでしょうか?」

 

「だが、まだ16だぞ。言って納得するだろうか?もし聞いたら、俺のことが嫌いにならないだろうか?」

 

「ですが、このままではリン様の心は掴めませんよ」

 

「だが、俺はリンが嫌がろうが、もう手放すつもりはない」

 

 俺は生まれつき魔力過多だった。膨大な魔力を放出するには、魔力を使って魔獣を倒すか、精力を放出するしか方法がなかった。何年か前までは王族専用の娼婦を相手にしていたが、何度も抱くうちに娼婦が俺を誘惑してくるようになり、しまいには避妊をせずに抱かれようとする者まで現れた。王族の血を受け継ぐ者が外で育てば、後の世に混乱を招きかねないから、絶対に避けなければならなかった。

 

 ボーンズは二年前から俺の相手を何度もしてくれている。

 きっかけは、遠征中にボーンズが別の男としていたのを見たからだった。俺はボーンズなら問題なく抱けると思ったし、ボーンズに相談したらすぐに了解してくれたからだ。

 

 俺はリンを知れば知るほど惹かれていくのが、自分でも分かる。媚びないところも良いし、香水を嫌いなのも好ましい。それに身体強化もできて、ある程度は戦えるから、魔獣討伐にも付き合わせることができる。俺としては嬉しい限りだ。


 それに今日の出来事で俺はますます彼女を思う気持ちが強くなった。

 毒に侵されたボーンズを助けることしか頭になかったが、無事だと分かった瞬間、目の前で泣きじゃくるリンの姿が、俺の「守ってやりたい」という衝動を掻き立てた。

 

 以前の婚約者は小国の王女という身分ではあったが、傲慢でわがまますぎた。リンのように人を思いやる気持ちなど微塵も持ち合わせていない人物だ。だから俺はあの手この手を使い、王女有責で婚約解消ができて本当に助かったと思っている。

 

「殿下は本当に愛する人を見つけられたのですね。私は羨ましいです」

 

「まさかボーンズは焼きもちを焼いているのか?」

 

「うーん、どうでしょうか。少し複雑ですね。二人を見ていると、私も恋をして見たくなりました」

 

「そうか。ボーンズに好きな令嬢ができたら、俺は心から応援するよ」

 

「はい、その時はどうぞよろしくお願いします」

 

 俺はリンのことを考えながら眠りについた。


 

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