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殿下のとんでもない事情  作者: 木の葉
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恋バナ

 この辺りの魔獣は強くてもせいぜいウルフなので、私でも問題なさそうだった。とは言っても、私が倒さなくとも周りの騎士たちが倒してくれているのだから、戦っているわけではない。

 

 35名いたメンバーも馬車を持ち帰ったメンバーが10名おり、今は25名だが、次の村で宿泊した後は3手に分かれるそうだ。狭い場所では固まるよりも分散した方が戦いやすいのだろう。

 

 村ではテントをいくつも張り分かれて寝るらしく、私は女性の討伐メンバーの2人と同じテントで寝ることになった。

 

 子爵夫人のメロンナさんと男爵令嬢のイザベルさん。

 

 メロンナさんは大きな胸をしているが、腰は折れそうなぐらい細く、いわゆる女性らしい体型のご夫人で、既に子供もいるそうだ。

 

「メロンナさんのお子様はおいくつなんですか?」

 

「私のことはメロンナと呼んでください。子供は男の子で8歳になります」

 

「ではお若い時に産まれたのですね」

 

「はい、17で結婚してすぐに身籠ったのです」

 

「それは大変でしたね」

 

「主人が40を超えておりましたので、すぐにでも欲しかったのです。幸いにも男の子だったので、私も肩の荷を下ろせました。それもあり、幼い頃から憧れていた女性騎士にもなれたんです」

 

「それはよかったですね」

 

 この国では、跡継ぎは基本的には男になる。娘しかいない場合は、養子を迎えるか婿を取るかのどちらかだろう。だがごく稀ではあるが、娘が一時的に当主になることも場合によっては許される。

 

「でもお子さんもまだ小さいのに、魔獣討伐の遠征に参加されて大丈夫なんですか?」

 

「ここまでの長い期間の遠征は私も初めてだったので、主人に反対されるのではないかと思っていたんですが、意外にも快く賛成してくれました。息子も私が遠征に行くのを友人に自慢しているくらい喜んでくれているので、私も精一杯頑張るつもりです」

 

 もう一人のイザベルさんは、去年貴族学校を卒業されたので私とは一つ違いだ。外見はメロンナが横にいるからだろうが、幼児体型に見える。おそらく私と比べても凹凸がない。知らない人が見たら、私よりも年下に見えるかもしれない。

 

「イザベルさんはどうして女性騎士になられたんですか?」

 

「イザベル」

 

「えっ?」

 

「イザベルでいい」

 

「はい、分かりました」

 

「結婚相手がいなかったから」

 

「女性騎士には前からなりたかったんですか?」

 

 イザベルは首を横に振った。

 

「結婚相手を探す為じゃないかしら?」

 

 メロンナがそう言うと、イザベルは頷いた。

 

「まあ、良い方は見つかりましたか?」

 

 私が聞くと、イザベルは首を横に振った。

 

「私、あまり上手く喋れない」

 

「それなら私が良い人を探してあげるわ」

 

 メロンナが言うと、イザベルは顔を真っ赤にして停止してしまった。

 

 イザベルってなんて可愛いの――。最高じゃない。

 

 同じようにメロンナも思ったみたいで、イザベルに抱きついていたので、私も思わず二人を抱きしめた。

 

 私達3人は夜中まで恋バナで盛り上がり、さすがに寝ないと明日の任務に支障が出ると思い、慌てて眠った。

 

 朝はゆっくりと起きて、昼前に出発をした。

 

 私は殿下とボーンズと同じ班で6人のチームだった。

 

「昨日はあまり寝てないんだろう。眠くなったらおぶってやるから言えよ」

 

「殿下、冗談でもそんなことは言わないで下さい。多少寝不足ですが、健康状態は悪くありませんわ」

 

「ですがドヴァーグ嬢、山道は初めてではないですか?私でよろしければおぶりますので仰ってくださいね」

 

「ありがとうございます。でもボーンズさんより私の方がもしかしたら重いかもしれません」

 

「私はこれでも筋肉質ですよ。それから私のことはボーンズと呼び捨てでお願いします」

 

「分かりました」

 

 昨日同様に出現する魔獣はウルフばかりだったので、何の問題もなく夜営することになった。

 

「どうして、私は殿下と同じテントなんでしょうか?」

 

「婚約者なんだから当然だろう」

 

「でもまだ私は16ですから、問題ですよ。一人で寝れますので、隣のテントでお休みください」

 

 私は殿下をテントから追い出し、隣のテントにいるボーンズの方へ行くように仕向けた。

 

 昨日あまり寝てないせいもあり、睡魔がすぐに襲ってきて、私は深い眠りについた。

 

「あっ、あっ、んん」

 

「あん、あん」

 

 なんだか変な声がして、私は目を覚ましてしまった。

 

 外を見るとまだ真っ暗なようだ。

 

「あっ、んん」

 

 隣のテントからまたまた喘ぎ声が聞こえてくる。

 

 やっぱり二人はそういう仲なんだろう。

 

 ボーンズさんが女性だったら問題なかっただろうに。私は、殿下が少しお気の毒に思った。

 

 それにしても、ここの二つのテントだけは他と離れているから聞こえないだろうけど、他の人達は気付いていないのかしら?

 

「まあ、いいわ。再び眠気がきたから、もう一眠りしましょう」

 

 私は小声でそう言って、再び眠りについたのだった。


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