ただ単に人狼やってみただけ
ただ人狼をするだけです。
めっちゃ駄作です…
_人狼。
それは、心理戦。下手したら、今までの友情関係も壊れてしまうかも知れない。しかし、そんなリスクさえ恐れずに、激戦にみをとうじる少女が一人…
「なぁんてね。単純に、3年ぶりに小学校時代の友達たちと人狼やるっていう話だよー。」
宙に向かって、手を振ってニッコリと微笑む少女。彼女は、人狼を愛して止まない、いわば人狼中毒者。いつも、人狼のカードをズボンのポケットに入れ、面白そうな軍団を見つけては、勝負を挑んでいるのだった。
そして、今日は、自宅にて昔から仲が良かったA子、B恵、C美、D女、そしてE音と共に行う。(ゲームマスターはその場にいた母親)
「すみません…私、人狼分からないんです…誰か、ルール教えて欲しいなぁ…」
「あ、うん!良いよ~」
役職のカードを配り終わった後、A子から人狼のルールについて説明を求められ、少女は世間一般でのルールを説明した。
“村人の中にいる人狼を見つけるゲーム”
・昼の時間と夜の時間があり、昼の時間は話し合いを行って、人狼は誰か投票を行う。そして、一番票が多かった人を追放する事が出来る。(その人の役職が何だったのかは霊能力者しか分からない)
・夜の時間になると、人狼は一人だけ村人を殺すことができる。ただ、騎士という役職を持つ人が、狙われた村人を護ることが出来たなら、その人は殺されずに済む。(同じ人を二回連続は護れない)
・夜の時間、占い師は誰か一人を指名して、その人が人狼か村人かを占うことが出来る。
・村人の勝利条件は、人狼の殲滅。一方、人狼は今回の場合、村人陣営が一人のみになった時、勝利。
「っていう感じかな?まあ、やっていけばその内分かるよ。」
少女は、ふふっと笑って配られたカードを手に取る。
「なるほどねぇ…」
ニヤッと一瞬口を動かした後、役職どうだった?と皆に聞く。
「私(A子)、よく分からなかったんだけど、、、まあ、多分?多数側についてる役職だと思う。」
「僕(B恵)は、まあそこそこ重要な役職かな?騎士、出来れば僕を護って欲しい。」
「アタイ(C美)は、役職いったら殺されそうだし、言わないでおくーぅ。まあ、取りあえず、私、村人陣営だがらー」
「あのぉ~。私(D女)、占い師だったんだど…」
辺りには一瞬、沈黙が流れる。
やがて、少女のぽつりとした声が、響いた。
「へぇ~。他に占い師、いない?ちなみに、私はただの市民では“無かった”。」
「な、無かった?って、ソレもう言っちゃっていい奴なのか?D女だって占い師って言っちゃって良いの?」
B恵の言葉に、少女はコクリと頷いた。
「仮に、D女が占い師だったとしよう。こう言っておけば、占いの結果とか、一応怪しまれずビシバシ教えられるじゃん?」
「それに、騎士が護ってくれるかもしれないしねー。まあ、分からないけど」
アハハ…と掌を口の前に掲げ、わざとらしく笑ってみせる。
「ところで、まだE音、役職言ってなかったよね?早く言いなよー」
「あ、はい。私、実は騎士なんですけど…誰を護れば良いですか?」
またもや衝撃発言に、辺りは更にピリつく。
「そーだなー。っていうか、先にバラしといて大丈夫?まあ、私達も人のこと言えないけどさ」
少女は目を細めて、E音を眺める。
「これって自分も護れる奴ですかね?なら、最初は自分護ってみます。」
「まー、確かに?そしたら、殺されずに済むって事かぁー」
頭こんがらがるぅと、様子を見ていたC美はうーん…と唸り始めた。
やがて夜の時間。
初日だったので、投票は特になかった。
「確認しとくけど、今回の役職は、人狼・騎士・占い師・霊能力者・村人2人だからね?何もない役職の人は、二人居るって事になるからねー。あと、役職のある人が殺されても、正体バレを防ぐ為に、生きてるって感じで司会するからね。」
ゲームマスターである少女の母親は、先にそう断る。
「では、人狼の人ー。目を開けて下さーい」
人狼が呼ばれ、しばらく。
次に占い師が呼ばれた。
やがて、騎士の番へ
「騎士の人、目を開けて下さい。」
母親の声を聞いた後、少女はムクッと起き上がった。
「誰を護りますか?」
母の問いに、少女は少し考える。
(E音、騎士じゃないのに嘘ついてたよなー。やっぱ一番可能性が高いのは、彼女かな?取りあえず、自称占い師の、D女護っとくか。)
やがて、少女はD女を指差して、再び目を伏せるのだった。
翌朝_
「今回は、A子さんが殺されました。」
目を開けた後、ゲームマスターに言われた言葉に、少女以外の人物達は、動揺した。
「な、なんでA子が…?」
「これ、モブ的配置かも知れない人間から殺してるんじゃね?」
C美は、何かを閃いたのか、明るい声でそう呟いた。
「前日、D女とE音は役職を言っていたでしょ?しかもE音は、騎士として自分を護ると言っていた。だから、殺したくても殺せないと判断したのかなーって。」
「それに、自称占い師のD女を最後まで生かしとけば、もしかしたら皆に怪しまれないために占い師とか自称したんだろ?って疑われて、人狼の代わりに吊られちゃうかもしれないし!」
どう?私の名考察はっ!と鼻息を荒げ、言葉を捲し立てたC美は、やりきったという表情を浮かべ、少女に挑戦的な目線を向ける。
「これには流石に、人狼中毒者さんも尊敬の念を抱くだろー?」
C美の視線を受け取った少女は、穏やかな表情を浮かべた。
「確かにそうかもね。でも、甘いな~。もし、D女やE音が嘘をついていたら、この考察は成立しないよ?」
「そうだけど~!一応、可能性としては有りじゃない?それに、アタイの考察で行くと、人狼はアンタとB恵になるよねっ!それを防ごうとしているの???」
どちらも正しい意見だな…とD女とE音は、感心の眼差しを送る。そんな中、B恵はC美に反論した。
「っ!言っとくけど、僕は人狼じゃないからね!適当な推理して、僕を吊ろうとしているんだったら、その手には乗らないからな!」
自分が疑われてしまったからなのか。
B恵は、やや怒気を含んだ口調でそう言った。それを見て慌てて、ゲームマスターは彼女を宥める。
「あくまで、これはゲームだから。ね?」
「は、はい…すみません、取り乱して…」
少女の母の優しい微笑みに、B恵はそう答える。そして、ゆっくり深呼吸をする。
「もし、僕が怪しいんだったら、最初に吊れば良いさ。そして、ゲームが続いたなら、次は、、、」
少女をチラッと眺める。彼女は、だろうなと運命を受け入れる顔をしていた。
「B恵がシロだったら、次は私をやってみなよ。そして、最後は三人で決めるんだ。」
少女の声に、C美とD女、そしてE音は、ゆっくりと首を縦に振る。
「も、勿論っ…!犠牲にしてしまった命の為にも、頑張ります!」
E音は両手に拳をつくり、胸の前でガッツポーズをするのだった。
そんな中、
「ところでなんだけど…私の占い、聞く?」
残り時間が少ない中、D女は昨夜の占い結果を言った。それは
「一応、自称騎士のE音を占ったら_」
「シロって出たの」
少女は、その言葉を聞いた瞬間、少し目を見開いた。
(シロ…?もし、D女が人狼であったとしても、わざわざシロの人を言う?…もしかして)
少女は、E音の様子をみた。
E音は、自分はシロだと言われているのに、やや動揺しているようだった。
(E音…貴方、嘘はついているけど“シロ”でしょ?)
自分が他人に疑われないために。
騎士だと言えば、上手ければ数日は人狼から殺されずに逃げることはできる。
「どんだけ死ぬのが恐いのよ…」
独り言のようにボソッと呟き、E音に対し溜息を一つ。
「じゃあ、そろそろ投票の時間よ。」
タイミングを見計らってか、少女が溜息を吐き終わった後すぐ、ゲームマスターは投票を促した。
そして、いっせーのせっ!で人狼だと思う人を指差す。
・B恵に、C美とD女とE音
・C美に、B恵と少女
・D女には誰も入れず
・E音には誰も入れず
_結果的に追放されたのは、B恵だった。
「あのぉ~僕、本当に村人だったんだけど、良かったのかな?追放しちゃって」
もうヤケクソになって、B恵は最後の言葉を言う。
「一つ言おう。僕が終わったところで何も変わらない。人狼はただ続くからな」
そうして、B恵は口を噤むのだった。
二日目の夜_
「騎士の方、目を開けて下さい。誰を護りますか?」
人狼・占い師が呼ばれた後、騎士である少女は目を開けた。
(果たして、どうしたものか…)
もし、これで誰かが殺されたら、次の昼の時間に人狼を追放しないと、確実に負ける。
(E音が一番危険だよな…ったく、なんでシロなのに、騎士なんて面倒な役職名乗るのよ。)
人狼にとっては、初日は騎士E音が自分自身を守ったものだとしているだろう。しかし、二日目の今。今回は、騎士は二回連続同じ人を護れないルールだ。つまり、それを見計らっている人狼によって、今日殺される可能性が一番高い。
(…とりあえず、E音、護っておこ)
E音を指差した後、少女は目を静かに閉じた。
翌朝_
昨晩は、誰も殺されなかった。
「E音、良い働きしているじゃん~!」
C美は、E音の頭をよしよしと撫でる。
しかし、E音の顔は浮かないままだった。
「…ごめんなさいっ!私、実は騎士じゃ無いんです!」
「え?」
居たたまれなくなって、E音ははっきり真実を告げた。
「で、でも、シロって出てたよ!?」
D女は、アワアワした様子で皆を眺める。
私、嘘はついてないよ!そう目線を向けていた。
「…はぁ。そーだよ。E音じゃなく、私が騎士だ。」
「「「!?」」」
少女の衝撃発言に、辺りは驚きすぎて沈黙する。
「…本当に、ごめんなさい。殺されたくなくて、、、!味方なのに、嘘ついてしまいました。」
ショボンとした声。謝罪の念を込めているものだと少女はすぐ気付いた。そして、、、
「別に?これはあくまでゲームだから、別に気にしていないし。ただ、E音のことシロだと判断しただけ。だから、今回貴方を守ったの。」
「守っ…た?」
「ええ。シロだっ!て信じることが出来たからね。」
「!…ありがとう。」
二人の友情が深まったところで、ゴホンとD女が咳払い。
「じゃあ、C美が、人狼ってことで…」
「へ?」
D女の宣言に対し、少女は面白おかしく一声出す。
「え、だってE音は人狼じゃないし、貴方は騎士なん…でしょ?なら、消去法で…」
「は?え?ち、違うからねっ!」
C美の必死な反論を無視して、少女は口を開いた。
「だって、D女は占い師って確定した訳じゃないでしょ?」
「え、だって」
「人狼でも、占いみたいな事は出来るよ。適当な村人のことシロって言ってれば良いんだもん。そして、この感じ…どうやら、A子が本物だったみたいね。」
B恵の行動は、占い師では無さそうだったし。と付け加え、少女は和やかな笑みを浮かべた。
「とりあえず、投票行こか。」
「ま、待ってよっ!?」
D女の声を遮り、投票は始まる。
・D女に対し、少女・C美・E音
・少女に対し、D女のみ
追放されたのは、D女。
そして、、、
「村人側の勝利ーー!!」
少女の母親の大きな声が、ゲーム終了の合図になるのだった。
「いやぁ~、やっぱ人狼中毒者は一味違うなぁ~」
C美の声に、少女はまぁね。と素っ気なく返す。
そして、
「あっという間に終わっちゃったけど、この作品に対してご意見・ご感想があったら、ぜひお待ちしていま~す。」
メタ発言を決めた後、少女はもう一回戦やろうとカードをシャッフルするのだった。