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第9話 おい坊っちゃま、お返事のお時間ですよ。

前回のあらすじ

坊っちゃま一世一代の告白。リンセ姫の返事は……。


「はぁ……はぁ……やっと、やっと言えた…………」


「坊っちゃま……良かった……これで、これで坊っちゃまは……もう……」


「失礼、わたくしあまりに突然の出来事に理解が追い付かなくて……」


「そっ、そうですよね、ごめんなさい! 急にこんなこと言われてもビックリしちゃいますよね……!」


「まずわたくしは貴方とは初対面なのです。貴方の……いえ、貴方達のことを少しで良いので教えていただきたいですわ」


「わ、わかりました……イキシア、こっちに来てもらえるかな」


「は、はい…………」




✳✳✳✳✳✳✳




「……成程、わたくしに見合う殿方になるべく、そちらのメイドのイキシアさんと二人でそのようなことを……」


「はい。ボクは自分に自信が持てなくて……でも、今までイキシアに支えてもらったおかげで……最後に背中を押してもらえたおかげで、アナタに想いを伝える覚悟ができたんです」


「……よく分かりましたわ。ボンさんと言ったかしら……貴方は本当にお強くて、本当にお優しくて、本当に…………」


「え、えへへ……そんなに褒められると照れ」



「ホンッッットーに…………鈍感大バカ野郎ねアンタはああああああッッ!!!」



「え」


「『え』じゃないわよ!! 一から十まで全部言わないと分かんないワケ!? アンタにお似合いの女性は、ぜえええええったいにアタシじゃないでしょうがあっ!!」


「リ、リンセ姫……いきなりどうし」


「アンタね!! イキシアさんがどんな気持ちで今までアンタと一緒に過ごしてきたのか分かんないの!?」


「え、イキシアはボクのことが大嫌いじゃ……」


「ハアアアアアアアなに言っちゃってんのこの金髪碧眼!? 誰がどう考えても、だいだいだいだいだーーーい好きに決まっとるでしょうが!! アホなんかお前は!? ア・ホ・な・ん・か!?」


「えっ!? だっていつも毒舌ばかりだし、今回だってところどころ協力したくなさそうな様子だったから……ボクのことが心底憎くて、でもメイドだから嫌々手伝ってくれてたのかと」


「ドンドンドン!! もしもーしバカ頭さーん!? 鈍感撲滅自警団ですけどーー!? 脳ミソ入ってんのかおウチの中ちょっとだけ捜査させてもらっていいですかぁーー!? ドンドンドンドンドン!!」


「痛い痛い!! 頭に強めのノックするのやめて!! 鈍感撲滅自警団ってなに!?」


「あっきれた……毒舌は照れ隠し!! 協力的じゃなかったのはアンタが他の女のモノになるのがイヤだったからに決まってんでしょ!! そんな乙女心も分かんない男が恋愛なんて8兆とんで1光年早いわよこのド腐れ青二才が!!」


「え……えっと……あの……」


「あのねえ!! いくらあたしが超カワイイからって、ずっと隣でアンタの事を健気に想い続けてくれてた、超ビジンで! 超超イチズで! 超超超超超ーーーーーサイッコーのメイドさんを差し置いて呑気に告白なんかしてんじゃないわよ!! 恥を知りなさい!!」


「…………はい……」


「冷静になって考えてみなさいよ! アンタのアタシに対するトキメキってのは、イキシアさんのずっとずっと抱え込んできた、辛くて苦しくて今にも張り裂けてしまいそうな胸の痛みよりも価値があるものなの!?」


「っ……それは……」


「もしそうだったら付き合うわよ! アタシだって今まで誰とも恋仲になったことないし、そろそろ相手探さなきゃと焦りに焦ってキャロット占いとかいうワケ分かんないものにまで頼る始末よ! あああああもうアンタが不甲斐ないせいでこんな話したくないことまでブチまけちゃった!! あーあ、リンセちゃんかわいそうだなぁ! 男泣きしちゃおっかなぁ! 姫なのに!!」


「…………す、すみませんでした…………」


「頭を下げる相手はアタシじゃないでしょっ!! ここまで全ての選択肢でハズレ引いてるわよアンタ! いいからさっさとあのメイドさんのとこ行ってきなさい! そんでさっさと恋仲にでも何にでもなってきなさいこの馬鹿者!! 愚か者!! うつけ者!! 狼藉者!!」


「リ、リンセさん……もういいですから……私は大丈夫ですから……坊っちゃまが視認できなくなりそうなほど縮こまってるので、もうその辺りで……」


「イキシアさん、貴女……今まで本当によく頑張ったわね。この鈍感ヤサ男がなかなか貴女の気持ちに気付いてくれなくて、さぞお辛かったでしょう」


「いえ、そんな、私は……」


「お節介だったかもしれないけど、アタシが貴女の恋のキューピットになってあげたわよ! これからもなにか困ったことがあったら何でも相談してね! 応援してるから!」


「リ、リンセ姫……ありがとうございます……私の気持ちをこんなに理解して下さったの、ポニー(チョコ)以外で初めてで……」


「ちょこ? 誰それ? ま、まあいいわ……おら貴族の息子ォッ!! イキシアさんに言うことあるでしょうが! 男だったらヘナヘナしてないでシャキッとせんかい!!」


「あ、はい……イ、イキシア……今まで本当にごめんなさい! キミの気持ちに全く気付かずに『リンセ姫への告白に協力してくれ』だなんて……ボクはバカだ……大バカだ……」


「い、いえ……私の方こそすみませんでした。私がもっと最初から素直に気持ちを伝えていれば良かったんです。ですから……いま言わせてください」


「う、うん……」



「私は……私は坊っちゃまの事を愛しています……強くて優しくて、そしてちょっと鈍感なところも含めて……うっ……世界で……ぐすっ……世界で一番……大好きですっ…………!!」



「……ありがとうイキシア。こんなボクで良ければ────是非、よろしくお願いします」



「くぅううう泣かせるじゃないの!! 絶対に幸せになりなさいよ!! そうと決まればリンセちゃんも早くイイヒト見付けなきゃ!! よっしゃ腕が鳴るぜええええ!!」


「そ、それよりリンセ姫……周りの人がすごいリンセ姫のこと見てるけど、大丈夫……?」


「あぇ? あっ……えっと…………う、うふふ……ではわたくしはピアノのお稽古がありますので、そろそろお(いとま)させていただきますわ。それでは皆様ごきげんよう……しゃらりらしゃらりら……」


「リンセ姫…………ありがとう」


「……頭を下げる相手はアタシじゃないって言ったでしょ。最後の最後に大ハズレよ、バカお坊っちゃま」







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