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第4話 勇者パーティー召喚

 王国軍司令官が目覚めると、三角テントの中で寝かされていた。


「痛むか?」


 頭を起こすと、オーク軍の長だった。


「ここは?」

「我々のキャンプだ。私はンブラ」

「…ベレス」


 ンブラの胸にはドラゴンの爪による三本線の裂傷が走り、緑の血が滲んでいた。


「君も怪我を」

「すぐ治る」

「本当か」

「私はオークだ」


 ベレスは頭を枕に戻した。


「一方的に疑って悪かった」

「いいんだ。それよりあのドラゴンだが」

「早く王に警告しないと」

「その体じゃ動けん」

「私には責務が」

「では我々が送ろう」

「停戦協定で互いの領土には入れん筈だ」

「お前は既に破っているぞ」


 ンブラの指摘にベレスは笑った。


「ハハッ。その通りだ」

「準備する。お前は休んでいろ」

「すまぬ」


 その頃ラグモ城では。


 生き残りの兵士の報告は王達を震撼させた。

 早急に討伐すべく、魔法大臣の進言で、今評判のとある勇者パーティーの召喚が決まった。

 話では転送魔法で直接謁見の間に来るという。


 玉座の前で青く光る縁が現れると、その勇者が現れた。

 見るからに強そうな大剣を背負っている。


「凄い魔法だ」


 王の感想に、勇者は大臣達と並んで立つ生き残りの兵士を一瞥して


「凡人とは違うんでね」

「言葉を慎みたまえ!」


 宰相が語気鋭く咎めたが、勇者は意に介さず


「僕ちゃん、なめろうになりたいの?」

「無礼者…!」

「イキんな雑魚が」


 宰相の怒りが爆発する寸前で、王が手を挙げて制する。


「まあ良い。危急の要件なのだ」


 宰相は頭を下げて


「…仰せのままに」

「勇者よ、名前は?」

「ルー」

「仲間は?」

「酒場で待ってる。俺がリーダーだ」

「なるほど」

「で、要件は?」


 王は頷いた。


「ドラゴンを討伐してほしい」

「ドラゴン?ハ、安いクエストはスルーな」

「村を襲い、我が軍の兵士300名以上を殺めた。今も被害は拡大している筈だ」

「知らねーよ。死んだら自己責任だろ」


 王は辛抱強く説得を続けた。


「魔導兵器も効かなかったというのだ。是非君達に頼みたい」

「え、ここの魔法技術しょぼくね?」

「言い値で構わぬ」


するとルーは腕組みして少し考えると、


「10億ドル」

「は?」

「後で請求すっから。どこにいんの?」

「最後の報告では、東の湖畔だ」

「あっそ。じゃあ行って来るわ」


ルーは馬鹿にする目で周りを見回してから踵を返した。


と、王が呼び止める。


「転生者と聞いたが」

「ああ。前はニートでな」

「ニート?」

「自宅警備員ってやつ」

「転生のきっかけは?」

「生活習慣病。そんじゃ」



続く

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