表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネトゲ廃人予備軍  作者: 桃花鴇子
第1章 ネトゲの沼へ
3/11

第3話 ワンリスを知らぬ者

第3話です。ここで出てくる陽キャギャルのモデル的なやつと言えば、主さんが高校時代になんか積極的に話しかけてくれたあの子かなぁって。陽キャではなさそうだしギャルと言えるかも微妙だったみたいだけど、オタクとは無縁そうなタイプらしいです。

 WonderRisk Adventureをやっていたらいつの間にか日曜日の夜になっていた。あぁ、もうこんな時間か。明日は月曜日、学校だ。正直に言ってまだWonderRisk Adventureをやっていたい。でも私は頭が悪いんだから、学校を休んでいられない。ちゃんと授業を受けなくちゃ。私はパソコンをシャットダウンさせていつも通り晩御飯を作っては食べて皿を洗い、シャワーを浴びて明日に備えて眠りについた。

 どうせ明日からの学校なんて特に何もない、ただ眠気と戦いながら授業を受けるだけの毎日なんだ。同じ話題で話す相手なんていないしつまらないからなぁ。

 周りのオタクはみんな「イヌっ娘」だの「イエローメモリー」だのと流行りのものばかり話題にするし、小学校の頃から一緒だった友達も今は陽キャとして他の子と一緒に流行りのものばかり話しているしさ。そりゃあ、流行りについていけなきゃみんなからは省かれることはしているけれど、でも私はあまり流行りのものが好きじゃない…というか、大好きなものが流行りのもののせいで薄い影になってきてるような気がするからどうしても邪魔だと思ってしまう。だから、仕方がないことだけど私は学校では一人でいることが多い。あの子がいなければ完全に孤立しているも当然だろう。

 あーあ、ワンリスが流行るといいのになぁ。


 朝、スマホのアラームが鳴った。今日は学校だ…私はベッドから降りて弁当を作り、朝食を食べて身支度を整えて家を出た。今日も相変わらず、いい天気だ。良すぎて、歩いているだけでも暑く感じてしまう。もうすぐ夏だから仕方がないか…私以外にも暑さを感じている人が多いのか、中には既に半袖のシャツで歩いている人もいた。うーん、醜き地球温暖化。帰ったらいつも通りエアコンつけてベッドの上でだらけていようかな。

 そう思っていたら、いつの間にか学校についてた。学校はクーラーが効いてて涼しく感じる。生き返った気分だ…私は、朝の授業が始まるまでWonderRisk Adventureについてもっと調べようと思いスマホを取り出した。…というのも、昨日までWonderRisk Adventureをプレイしてて気づいたことなんだけれど日本人プレイヤーが少ない印象があった気がして、実際に日本人プレイヤーはどれくらいいるのか気になったので調べたくなっただけなんだけれどね。

 SNSで「ワンダーリスク」と調べてみて、そこでWonderRisk Adventureについて語っている人がいるかどうか。まぁ、大抵はソシャゲの方のワンリスばかり語っている人が多いだろうけれどそこは仕方がないか。ほとんどの日本人にとって、ワンリスと言えばソシャゲのイメージがあるだろうし、というか実際に日本でプレイされてるワンリスはソシャゲばかりだろうし。私以外で、WonderRisk Adventureについて語っている人はあまり…というかほとんどいない感じかな。そう思いながらぼーっとSNSを眺めていた時だった。

「ハーーーシルっ、おはよ!」

 突如、私の目の前に現れては大きな声で私に話しかける少女が一人。彼女は「倉木(くらき) (さき)」。唯一小学校から今までずっと学校が同じであるだけの子。それ故によくこんな感じで話しかけられることが多く、たまに会話したり、彼女の相談に乗ったりもしている。

 見た目からしてわかる通り、彼女はれっきとした陽キャでギャルだ。陰キャオタクの私とは正反対で、よく私以外の子と話したりどっか行ったりしている。それでも何故か、私の相手をしてくれる時もあるし、何なら遊びに誘う時もある。…今思えば、こんなマイナーオタクな陰キャである私相手に唯一会話してくれる子なんじゃないかなと。

 オタクに優しいギャルなんて、ファンタジーやメルヘンじゃないんだから存在しない。故に少し警戒はしている。とはいえ、人間関係で問題を起こしたくないからせめて彼女に絡まれたら適当に返事したりしている。

「おはよ、咲。」

「またスマホ見てる。暇なんでしょ~?」

「陰キャはスマホ見てるだけで忙しいんですー。…で、何か用?」

 何となく、予感を感じた私は疑うように咲を見つめた。咲は、バレちゃったかと言いそうな顔で私に話した。

「いやぁ~ちょっと教科書持ってくるの忘れちゃって…お願いハシル、教科書見せて! 放課後奢るから!!!」

 やれやれ、小学生のころから変わらないわね咲は。仕方がないなと思いつつ、教科書を見せることにした。彼女とは席が隣なので、こんな感じで咲が忘れ物をした時は教科書を見せるようにしている。…こういうのもあるからか、私はよく周りの人から優しい人だと思われているらしい。

 そんなこんなで、今日も一日学校が始まった。


「なぁ、昨日のイエメモのアプデ告知配信見た? 水着姿のあの子が実装されるってさ!」

「見たみた。すっげースケベだったよな~萌えたわ」

「ねぇ見て! 私昨日頑張ってこのイヌっ()の育成したんだけど、ランクSR行けた!」

「うおっ、SRだなんてすごい!! おめでとう~!」

「さすが~! この調子で他のイヌっ娘も育成しちゃう?」

「…………」

 休み時間は相変わらず、クラスのオタクみんな流行りのゲームばっか話してる。みんな、流行りのもの以外には興味ないのか? 世の中には、流行っているものよりも素敵で面白い、語るべきゲームがたくさんあるというのに。そう思いながら、流行りのゲームで盛り上がっているオタクたちを尻目にSNSや検索サイトでWonderRisk Adventureについて書かれているものをひたすら見つめていた。

 SNSは大体2~3年前の書き込みばかりで、しかも不評ばかり目立っている気がする。なんだか悲しいなぁ。昔を知らない人か、あるいは昔の方がよかったって人か、そんな人が多いなら仕方がないかもしれないけれど…

 うーん、私としてはワンリス以上の神ゲーは無いと思っているから、どうにかしてワンリスのいいところを布教して多くの人にプレイしてもらって流行ってほしい。けれど、私自身あまりワンリスを知らないからなぁ。あまり知らない人が布教したところで、みんながプレイしてもらえるかどうか…

「…シル。ハ…ル……ハシル!」

「…わっ! なんだ、咲か。どうしたの」

 咲の大きな声に気付き、私はスマホをスリープ状態にさせて咲の方を向いた。いきなり私を呼んで、何かあったのかな?

「なんだか浮かない顔してたから、らしくないなぁって思ってさ。なんかあったの?」

「あはは…ちょっといろいろと考えてて。別に、咲には関係ないことだから安心して」

「そう? 何か困ってたら相談に乗るけど…」

 …咲に相談してもわかるわけがないでしょう。仕方がない、布教したいものはしたいし学校終わって帰ったらすぐワンリスについて色々と調べよう。

「心配してくれてありがとう。大丈夫だよ。それよりも今日は用事ができて、早く帰らなきゃいけないから…」

「え~、一緒にカフェ行こうよー! ハシルが好きそうな新作のもの奢るから~」

「ありがたいけど、用事の方が大事だからそれは明日で!」

 私は、ワンリスを知らぬ者だ。このクラスの中では知っている方だとは思うけれど、完全に知っているわけではない。それでもみんなにワンリスについて教えたいから、まだ知らないことを知り尽くしていきたい。だからワンリスについてもっと調べ、WonderRisk Adventureをもっとたくさんプレイして楽しまなくちゃ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ