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ネトゲ廃人予備軍  作者: 桃花鴇子
第1章 ネトゲの沼へ
2/11

第2話 いつかは夢見たネトゲ

ネトゲ廃人予備軍第2話です。なんだか、自分の好きなゲームを間接的に布教しているみたいで楽しいです。

 さっそく、WonderRisk Adventureをインストールしようと思いゲーム配信サイトへ飛び検索をした。もちろんWonderRisk Adventureはあった。無料でインストールできるようなので、さっそくインストールボタンを押した。

 インストールまで時間がかかるだろう。それまでの間は、かつての知識ある有志たちが書いたウィキを参考にしてイメージトレーニングをしてみよう。それにしても、見覚えのあるキャラたちが実際に操作キャラとしてプレイできるのはいいね。でも、絵柄がソシャゲの方と少し違うような。かといって、動画で見たやつとも違うように見える。ソシャゲの方と違う理由ならまだわからなくはないけれど、動画で見たやつと違う理由はなんでだろうな。

 ちなみに、私が使う予定のキャラはすでに決めてある。もちろん、私の大好きな蒼だ。彼がいなかったら、あそこまでワンリスにハマるなんてことはなかっただろうし、WonderRisk Adventureを実際にプレイしようと思うなんてこともなかったはず。そういうのもあるから、初めから彼を使うことに決めた。動画でどんな感じなのか見たとはいえ、やっぱり実際にプレイしなきゃわからないところが多い。果たしてプレイする側としてはどんな感じなのだろうか…インストールしているこの瞬間から、ドキドキとわくわくが止まらなかった。こんなにもわくわくが止まらなかった時なんていつぶりなんだろう。こんなにもウィキを熟読したのっていつぶりなんだろう。そう思うほど、夢中になっていた。

「楽しみだなぁ、初めてのネトゲ。初めてのWonderRisk Adventure!」

 …それにしても、ネトゲか。ネトゲと言えば、かつて蒼に恋する前の頃を思い出すな。実は蒼が初恋相手だけれど、蒼に恋する前から夢女子だったのよね。あの頃はとある漫画のキャラに母性本能を刺激されて、そのキャラの世話をしている妄想とかそれっぽい妄想ばかりしていたなぁ。

 そんな私とは別で、そのキャラに恋してた子…いわゆる同担の子とネットで友達になったんだけれど、その子もネトゲをしていたって言ってた記憶があるんだよね。ゲームのタイトルはワンリスと全然違うけど、面白そうだなぁって思っていつかはやってみたいと思った時もあったんだよね。

「──私、ミラフラっていうネトゲの廃人だからさぁ」

「ミラフラ…何それ気になる! 私もやってみたいなぁ」

「ハーちゃんもパソコン持ってたよね。無料でできるよ!」

 そう言われてインストールしたものの、パソコンのスペックが悪くて全然できなかったんだよね。だから、私にとってネトゲをすることが夢のまた夢になっていった気がする。

 …ああ、だからかな。あの動画を見て当時ワンリスをしていた人たちに憧れを抱いていたの。私にとってネトゲは夢のまた夢の世界。ついでにワンリスは私が唯一夢中になったゲームで…

 なんて思っていた時、インストール終了の通知が鳴った。ついにこの時がやってきたのだ。あぁ…私はついに、いつかは夢見たネトゲの世界を目の前で見ることができるのか。うれしさで、楽しみで仕方がなくて心が躍っていた。ドキドキしながら、デスクトップに追加された小さな蒼のアイコン…WonderRisk Adventureのショートカットをダブルクリックしていよいよ起動をした。


 起動中の読み込み画面がしばらく表示された後、流れる音楽とともに表示されたゲームのタイトル画面。あぁ、この曲はソシャゲのワンリスでよく聞いた曲と似ている曲だ! 歌詞の言語は全く違うけれど、メロディーが似ている。うーん、やっぱりこの曲はいいな。あの頃からある曲だと思うと、なんだか感動しちゃう。

 ゲームのタイトル画面で曲をしばらく聞いた後、私は早速サーバーを選んでプレイを始めようとした。まずは…名前を入力するのかな。日本語非対応だから、きっとひらがなやカタカナは使えないはず。なら英字で入力しようか。名前はいつも通りの「ハシル」の英語表記で…「Hasil」っと。

 次は、様々なキャラが表示される画面が出てきた。これから操作するキャラをここで決めるみたい。デフォルトで選択されているキャラは蒼で、説明文を見る限り初心者向けであることがわかる。まぁ、蒼が初心者向けだろうが上級者向けだろうが関係なく使うんだけどね。私は、蒼が選択された状態のまま決定ボタンを押し、プレイを始めた。

 はじめに、マップが表示される。どうやらステージを選んで、そのステージに行ってダンジョンを攻略するという感じになっている。最初に行くステージは…試練の森かな。見た感じ、試練の森以外のダンジョンを選ぶことができないから、ステージをクリアするごとに次のステージに行くことができる…という最近のアクションゲームと同じような感じであることがわかった。

 早速、試練の森のダンジョンを攻略しようとしたら、何やら一覧画面らしきものが出てきた。そういえばあの動画で知ったけれど、このゲームは部屋を作ったり部屋に入ってプレイすることができるらしいのよね。この一覧画面はいわゆる部屋選びのものだろうか。この一覧画面には部屋が一つもない。…部屋を作ってプレイしようか。私は、部屋を作って試練の森のダンジョン攻略を始めた。

 最初のダンジョンだからか、当然操作方法としてのチュートリアルが始まった。操作については一応ウィキを熟読していたからわかるけれど…あそこのウィキは昔のワンダーリスクの情報だから、WonderRisk Adventureの操作方法と違う可能性もあったりするんだよね。だから、一応チュートリアル通りに操作をしてみることにした。

 左右の矢印キーを二回押してダッシュ、上の矢印キーでジャンプ、下の矢印キーへ下へ移動といった感じだろうか。上キーを押した後にダッシュで、空中ダッシュ…なるほど、移動関係の操作はこんな感じなのね。割と簡単そうでよかった。

 移動関連の操作をしていたら、敵が目の前に現れた。攻撃をしなければ。そう思った瞬間、ゲーム画面の上に何か表示されていた。

「Zキーで攻撃をしてください」

 …英語で書かれていたのでわからなかったけれど、おそらくそう言っているのだろう。私は、Zキーを一度押した。すると蒼が剣を振り、敵を攻撃した。

「わああっ! 蒼が剣を振った!!」

 蒼の動作に思わず大興奮。やっぱり蒼はかっこいいなぁ…さすがはみんなのリーダー! っと、惚れて興奮している場合じゃない。まだまだ敵がいるのだから、Zキーで敵を斬って斬って倒していこう。迫りくる敵を相手に、Zキーを押しまくってどんどんと敵を斬っていく蒼の姿を見ながら、だんだんとこのゲームについて理解してきた。そんな時だった。また、ゲーム画面の上に何か表示された。

「A、S、D、F、Gキーを押してキャラのスキル技を使用してください」

 たぶん、そう書かれているのだろう。試しに、Aキーを押してみた。その瞬間、MPゲージが消費されたと同時に部屋中に蒼の声が響き渡った。

「アルファスラッシュ!!」

「アルファスラッシュだ! かっこいい~~~」

 ソシャゲでもよく見た蒼の必殺技の一つ、アルファスラッシュ。まさか蒼の声でその単語を聴くことができるなんて、すごく感動してしまう。しかも何より、アルファスラッシュの動きが見やすくなっているのだから、蒼のアルファスラッシュの時の動作がよく見れる。こんなかっこいい動きをしていたのか…

 蒼の動きに見惚れながらステージを進めていたら、ついにステージのボス戦が始まった。…とはいえ、チュートリアルの復習的な感じだろう。私はZキーでボスに攻撃をし、MPがある程度たまったらAキーを押して蒼のアルファスラッシュで攻撃をした。見事に攻撃を喰らわせることができ、ボスのHPが0になって倒れた。

 これでこのステージの攻略が終わった…completeという文字列と同時に勝利のポーズをとる蒼の顔はどこか子供っぽい少年の笑顔で、不意に可愛く感じた。画面の右側にリザルト画面が表示され、そこにはクリア時間や獲得ランクなどが書かれていた。大体2分半くらいで終わったらしく、ランクはというと恐らく最高ランクのSSだった。


 なんだか、すごい体験をしたなぁ。ただ単にチュートリアルをプレイしてクリアしただけなのに、ものすごい満足感。でもまだやりたいような…そう思いながらぼーっとしていたら、いつのまにか部屋の画面になっていた。キャラがレベルアップしたことを知らせる効果音らしきものが聞こえた。味を占めたくて、次から次へと攻略できるステージへ進み、ダンジョンを続けていった。途中で、部屋を作った直後に誰かが来たということもあって、チャットで会話しながらも一緒にダンジョン攻略もしていった。これが、私が夢見たネトゲの世界。これが、私が昨日の夜に憧れを抱いていたワンダーリスク…!

 そうして、気が付いた頃には三時になっていた。さすがにゲームをやりすぎてしまったかな。でも今日は特に何も予定ないし…いったん寝て、また起きた時にプレイしようかな。

 それにしても、WonderRisk Adventureの蒼もかっこよかったなぁ。今でも思い出すとドキドキしちゃうし、あの声も思い出すだけで…私は思わずベッドに置いているクッションを強く抱きしめながら足をバタバタさせてしまった。

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