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ネトゲ廃人予備軍  作者: 桃花鴇子
第1章 ネトゲの沼へ
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第1話 ワンダーリスクというネトゲ

現状と理想を詰め込んだオリジナル小説の第1話です。初心者執筆者ですが、どうか読んでくれると嬉しいです!

 私は、鴾羽(ときばね)ハシル。ただのゲーム好きの、割とどこにでもいる普通の学生である。

 ゲームが好きで、最近はよく「ワンリス」というソシャゲをやっている。ネット上の友達がよく布教として語るキャラのゲームがずっと気になってて、そのゲームのタイトルが「ワンダーリスク」…通称「ワンリス」らしいので、先月ワンリスをインストールしてプレイしたばかりだ。

 実は、ワンリスに出てくる「空風(そらかぜ) (あお)」という青い剣士の男の子キャラに恋をしている。そう、私は俗にいう、蒼の夢女子である。彼を見ているだけで毎日ドキドキ。見ていなくても、彼のことを考えてドキドキするのだから完全に恋していることが、恋愛経験皆無な自分でもわかる。故に、無意識に彼との生活を妄想してたり、夢小説を書いていたり…まぁ、一人暮らしをしているからそんな時間なんてあまりないんだけれどね。

 先月始めたばかりだから、ストーリーについて知りたくて暇なときはワンリスをしているけれど…実は今、なかなかクリアできないステージがあるんだよね。どうやったらクリアできるんだろうな。

 こういうのって、ネット上の知識あるゲーマーが個人で作ったウィキとかそこらへんにあるはず。私が今までハマったゲームのほとんどがそうだったから、そうに違いない。

 しかし、私が一つのソシャゲにここまでハマるなんて思いもしなかった。確かに私はゲームが好きだけど、なぜか年を重ねるごとに毎日起動するというのがつらく感じて、いつも数日くらいやれば以降は引退したも同様なくらいログインすらしなくなってしまうんだよね。中学卒業するまではそんなことなかったのに。けれどもこのゲームだけは毎日忘れずにログインして、最低でもデイリークエストをしているくらいなんだ。私としては珍しく感じるくらいハマってしまったみたい。まぁ…毎日ログインしているのも、蒼に恋しているからというのもあるからかもしれないんだけどね。実際、蒼の声を聴くとキュンキュンしちゃうから毎日蒼に会って、蒼の声を聴きたいが故なのかもしれない。

 ちなみにこのゲームは、私が中学生の頃からあるゲームらしくて、今年で七周年を迎えるらしい。ソシャゲにしては結構長寿なものらしいね。大手ゲーム会社が作ったソシャゲと同じくらい愛されてるゲームなんだなと思えるくらいだよ。そんなゲームを知らなかった私がゲーム好きを名乗っていいのかどうかはさておき…


 他のゲームをやっていた時と同じように、ゲームタイトルの略称や正式名称に「ウィキ」もしくは「wiki」をつけ足して検索。これで、あのステージをクリアするための攻略情報とか乗っているはず。とはいえ、wikiにも様々な種類があるから中々どのwikiを参考にすればいいのか悩んじゃうんだよねぇ。まぁこれもまたゲームの醍醐味でもあるんだけれど。そう思い、「ワンリス wiki」「ワンダーリスク wiki」と検索をしてみた。

 検索上位には、ワンリスの攻略情報…ではないが、ワンリスの詳細について書かれているウィキペディアが出てきた。だから何だとは思うだろう。もちろん検索結果に出てくるのはサイト名だけでなく、サイト内に記されている一部の説明文なども出てくるのだが、私はそのワンリスのウィキペディアに記されている説明文の一部が視界に移った時、その説明文に引っかかってしまった。

「MORPGに分類される2D方式の対戦型アクションRPG」

 …MORPG? なんだろう、それ。最初に思ったことはその疑問だけだった。そういえばこのゲーム、ストーリーやキャラに魅入ってゲームの詳細とか知らないんだよね。そんなこんなで、私はワンリスのウィキペディアを閲覧することになった。

 ウィキペディアの内容をよくよく見てみると…私の知っているワンリスと全然違うワンリスの説明ばかりだった。キャラの名前などは同じなのに、キャラの声優が全然違う人だし、よく見ればキャラ名の漢字に誤字がある。蒼の名前なんか「空風蒼」なのに、このウィキペディアでは「空風青」と表記されている。一体だれが書いたんだこのウィキペディアは。

 ゲームの対応機種。スマホじゃなくて、PCの機種…しかもかなり昔のOSであるのだからそこに違和感を感じた。ワンリスは今年で七周年のはずなんだけれども、本当はそんな時代からワンリスがあったのか? それとも、このウィキペディアが私の知らないワンリスを説明しているのか?

 何よりも私が小学生になる前にサービスが終了しているという説明文までも見つけてしまい、私の頭は混乱していた。もしワンリスが、私が小学生になる前にサービス終了しているのなら、もしウィキペディアの内容が正しいのなら、私がプレイしているワンリスは一体なんなのか…?

 まぁ、ウィキペディアだって所詮はネットの情報。いろんな人に信頼されていたとしても、書かれていることが本当であるとは限らないのだからそんな深く考えるべきではないよね。そう思い、引き続き攻略ウィキを探しまくった。

 …とはいえ、検索結果に出てきた攻略ウィキのほとんどは最新版ではなく更新も全盛期の時点で止まっているような、そんな感じがするからいかにも求めていた攻略情報とは言えないものが多かったけれど。うーん、廃れてるなぁ。長寿ソシャゲとはいえ、日本での人気はあまり無いのかな。SNSでは見かけないとはいえ、ゲーム上のチャットは時間によっては盛り上がっているけどね。

 困ったものだ。とりあえずキャラのレベリング周回をしておこう。ワンリスはオート操作でプレイできるから、それを利用してオート周回させることにした。

 それまでの間は当然、暇である。一応、一人暮らしをしているのだから家事とか…と思ったけれど、別に晩御飯は食べたばかりだし皿洗いも終わってるし、洗濯は二日に一回であるから今日の分はしなくても大丈夫。掃除も土日にするし、風呂は入ったし…しまった、オート周回させてる間も暇だ。私は何をすればいいのだろう。

 夢小説を書くか…でも、今は書きたい気分じゃないんだよね。他ゲームをすると言っても、そんな気分でもないし。読書するにしても教科書くらいしか読む本がないよ。勉強なんてしたくない。

 …そういえば、ワンリスのウィキペディアを見ていろいろと気になったことがある。私の好きな作品があんな風に説明されているのだから、引っかかりまくるんだよね。ウィキペディアで説明されていたワンリスについて、調べてみようかな。私は、パソコンを起動してすぐさまブラウザを起動し、検索ボックスに「ワンダーリスク」と入力して出てきた検索結果のサイトをある程度見つめていた。


 調べていたら、いつの間にか時間は二十二時になっていた。とりあえず、ワンダーリスクというゲームはかつて私が産まれる前から韓国で配信された俗にいうネトゲで、日本でも2年間という短い間であったがサービスされていたことが分かった。私がワンリスのウィキを調べているときに、求めている攻略情報と全く違うものが出てきたのも、そのウィキに載っている情報がネトゲの方のワンリスの攻略情報だったからという…

 そんなワンダーリスクは私が小学生の頃に全世界でのサービスを終了したらしいけれど、今から三年前くらいにゲーム配信サービスで「WonderRisk(ワンダーリスク) Adventure(アドベンチャー)」というタイトルで復活をしたらしく、配信開始した当時の同時接続数はかなり多かったとのこと。レビューでは賛否両論らしいし日本語も非対応らしいけれど、一応私のパソコンのスペックでプレイできるみたいね。最近のゲームはゲーミングパソコンと同じくらいのハイスペックパソコンじゃなきゃプレイできないものが多いから助かるわ。

 とはいえ、私が小学生の頃までサービスされていたワンダーリスクがどんなものなんてわからない。特に、日本でサービスされていた方のワンダーリスクがどんな感じなのかとても気になっている。こういうのって人気があまりなくても大抵は動画投稿サイトに投稿されているはずだから、検索すればあるはず。

 そう思った私は別のタブを開いて動画投稿サイトに行き、「ワンダーリスク」と検索した。当然、WonderRisk Adventureのプレイ動画が多いものの、日本でサービスされていた方のワンダーリスクのプレイ動画も運よく見つけることができた。私はその動画をクリックして、動画を見ることにした。

 基本操作方法は簡単で、敵を倒してレベリングをするごく一般的なゲーム。PvP…いわゆるプレイヤー同士の対戦要素もあるゲームらしいけれど、1対1とかではなく、大人数で対戦することもできることが、このプレイ動画で分かった。

 それだけかと思いきや、画面をよくよく見るとチャットをしている人が何人かいる。そして、今気づいたけれどダンジョンは一人ではなく、二~三人くらいでプレイしている。対戦ならまだしも、ダンジョンさえ他の人とプレイすることができるのか…

 流れている音楽はゲームのものではないけれど、それでも動画を見つめていただけで不思議と当時のことを想像することができた。同時に、当時への憧れを抱くようにもなってきた。

 動画が終わったころには、もっと見ようと思いその動画を投稿した人の他動画も見てみることにした。その人が投稿した動画は、ワンダーリスクの動画がほとんどだった。中には、日本でのサービスが終わった時の動画もあり、その動画を見た時には何も知らないはずなのに私の心はサービス終了する惜しさと悲しさでいっぱいになった。

 サービス終了を惜しむほど、日本でも愛されていたのかと考えるとなんだか一人のワンリスファンとしてプレイしたい、と思うようになってきた。


 それからは、ワンダーリスクの動画をひたすら見ていただけで日付が変わってしまっていた。今日が土曜日でよかったと思いながら、私が決心したことはただ一つ。

「…WonderRisk Adventure、プレイしよう!」

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