六 子供は大人を振り回す
翌日。女はリーダーに纏わりついていた。
「ねーねぇー、フィラ君に聞いたんだけどさー、あの子の名前リーダーが付けたんでしょ?私にも付けてー」
「お前にはれっきとした名があるだろう」
「いーじゃんかー」
「親に決めてもらった名前ぐらい大事にしろ」
「名前辞典から引いて来ただけらしいよ?私五女だもーん」
「……分かった。じゃあクレオメ……クオにする」
「やったーい!」
リーダーは溜息一つ吐くと台所へ向かった。
(男たらしと聞いていたが……少し分かるような気がするな……)
朝食後、フィラが突如いなくなった。
「なんてこった!お前がベタベタ触るからじゃないのか?」
「えー、だって可愛いしー」
「こいつっ……」
「とりあえず探しましょう」
本棚の付近、トイレ、洗面台など思い当たる所を全て探したが、見つから無かった。
「どうす」
ドォォォンと、凄まじい轟音が鳴り響いた。全員は慌てて音の発生地点に向かった。
「ど、どうしたんだ!?」
そこには、立ち昇る煙の中静かにポロポロと涙を落としているフィラがいた。セイは慌てて駆け寄り、フィラと目線を合わせる為しゃがんだ。
「どっか痛いのか?それとも、何かあったのか?」
フィラはふるふると首を横に振るだけだった。
「あれ……?フィラの白耳が……ピンク……?」
「的が壊れています」
「あれ、フィラがやったのか?」
フィラはコクリと頷く。
「…………た」
「た?」
「たり……ない」
「?」
フィラは急に走り出し、中に入って行ってしまった。
「ああっ」
セイは必死で追いかける。
「セイ、変わったな?」
「どこがですか?」
「……お前に言ったのが間違いだったか」
「何故ですか?」
「まぁいい。だが、無理矢理連れて来たあの頃と比べれば流石にお前も分かるだろう」
「暴れなくなりました」
「……」
「?」
「ドラセナとはまた違う感じだしな」
「食べる量の話ですか?」
「……」
「?」
二人の会話は、こんな調子なのである。
「そんなんじゃ駄目じゃない、コナちゃん。もっと考えないと」
「そんな事を言われましても、私は感情や心の機微というものがよく分からないのです」
「大丈夫だ、慣れている」
「へぇ。仲は良さそうだけどねー」
「そうでしょうか?」
「コナちゃんはともかく、リーダーはどうなのよ?」
「別に普通に仲間なんだが?」
「まぁ、良いけどさ」
クオは中へ入って行った。
「でも」
リーダーはコナを見る。
「リーダーと一緒でない私を、想像できないのは確かです」
ちなみに、ドラセナはグースカ寝ていたのだった。




