四 付けられた名前はきっと
二人は食卓にゆっくりと向かう。すると、リーダーが左手に携帯、右手にボールペンを持ちノートに何か書き続けている光景を目にした。セイは全てを理解している様だった。
「どうだ?絞れたか?」
「あと十分で決まる」
「分かった。良かったな!」
急に話しかけられたその者はビクッと跳ねる様に驚く。
「お前の名前が決まるんだ」
「とりあえず、食べましょう」
コナは手際よく朝食を運んで行った。
「コナはコナラだもんな。他の奴らに溶け込める様に省略してるだけで。ドラセナも外ではセナだし。こいつはまたそのままか?」
セイはパンを片手に尋ねる。
「いや、今回は除外した。名前にするにはいささか違和感があるからな」
リーダーは食べもせずに考えていた。一方、当の本人は少食で既に本を読み始めていた。絵本だが。
「もっとたべなよ!」
ドラセナがパンを持って来るも、首を振るだけだった。
「成長期にしっかり食べないと将来困りますよ」
(コナは脅しでもなんでも無く率直に行っちゃうんだよな……)
セイは呆れつつ見ていた。
「決まったぞ」
皆の視線がリーダーに集まる。
「フィラだ」
当の本人以外は拍手をした。フィラは踏み台を持って来ようとしていた。
「フィラ待て!俺が取る!」
「最初に呼ぶのがこんな状況なんて、セイらしいです」
「そうかもしれないな。だが、殴りでもしない限り止まらなかった猪突猛進のセイが教育する日が来るなんてな」
「フィラにはまけんぞ!」
ドラセナも一緒に勉強しに行った。
「ドラセナは四月から学校だもんな!いいぞ、来い!」
「結局、二人で回す事になりましたが」
リーダーはふっと頬を緩ませる。
「コナラはいつも現実的だな」
「自分では分かりません」
そして、夕飯の時。ドラセナは地団駄踏んでいた。
「フィラにまけたー!」
「でも話すのは上だろ?」
「でも、さきにかんじいかれた!」
フィラはもう食べ終わってまた本を読んでいた。
「口に何か入っている状態で話さない」
コナラにそう言われると、二人は途端に静かになった。
「そんなにコナラが怖いのか」
「リーダー、なんで私の事を急にコナラと呼ぶ様になったのですか?」
「久しぶりに呼びたくなってな」
リーダーはご馳走様、と挨拶をして依頼を確認しに行った。
「セイ、二人を戦わせるつもりですか?」
セイは盛大に水を吹き出しむせた。
「ちゃんと拭いて下さい」
セイは拭きながら反論しようとした。
「そんなこと「いいよ!かっこいいもん!」
が、ドラセナに遮られてしまった。