8.予兆とダンジョン
東京に戻ってから地震の発生状況を調べた。だが、この1か月のうちに震度3以上の地震が頻繁に発生しているというようなことはなかった。震度5以上の地震は最近では、先日の地震のみであった。先日の地震は東京練馬区の地下が震源で震度5強だったが、特に被害が大きいわけではなかったため、今ではニュースにもなっていない。
そうしていると、ニュース速報が流れた。九州鹿児島で地震が発生したようだ。震度5のようだ。何か、予感めいたものを感じて、鹿児島に向かうことにした。
地震後であったが交通機関に影響はなく、鹿児島空港についてレンタカーを借りる。
震源地は南九州市川辺町付近、錦江台展望公園に向かう。町を一望できる場所だ。ここで検索と念じる。鹿児島湾の方に何か感じる。そのまま海の方向に下っていくと、山の斜面に洞窟のようなものがあった。これが、魔力なのか何か分からないが、この洞窟から異常な気配を感じる。
「間違いなく、ダンジョンだ。」
迷いなく、ダンジョンに入っていく。1階層にはモンスターはいなかった。
お約束の階段を見つけ、下層に下りていく。索敵を使用しながら、探索を続けていると、モンスターの気配と人間の気配を感じる。
グギャ―!
ガンガン!どうだ!
どうやら戦闘中のようだ。近づいていくと、犬の顔をしたモンスターと少年が戦闘をしている。鑑定してみる。
鑑定結果
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名前 :-
年齢 :0
種族 :コボルト
LV :1
状態 :体力低下
LV :1
EXP(経験値):0
HP(体力) :15/60
MP(魔力) :10/10
ATK(攻撃力):15
DEF(防御力):10
AGI(素早さ):15
INT(知力):5
DEX(器用さ):5
LUK(運):5
武器:なし
防具:なし
スキル:なし
称号 :なし
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名前 :遠藤健人
年齢 :16
種族 :ヒューマン
LV :1
状態 :健康
LV :1
EXP(経験値):5
HP(体力) :110/110
MP(魔力) :50/50
ATK(攻撃力):17
DEF(防御力):16
AGI(素早さ):18
INT(知力):18
DEX(器用さ):17
LUK(運):20
武器:金属バット
防具:なし
スキル:鑑定、アイテムボックス
称号 :なし
コボルトはゴブリンより若干ステータスが高いようだ。しかし、相手の少年がすでにレベルアップしてステータス上では優位にある。この戦いを見守ることとした。ものの2,3分で決着がついたので、声を掛けることにした。
「こんにちは。」
「誰だ。」
怪しさ満載で、「怪しい者ではありません。ところで、これはどういう状況ですか?」
さも何の知識がないように問いかけた。
「何か洞窟ができたみたいなので、中に入ってみたらモンスターがいたんだ。」
「なるほど。この洞窟は地震の後にできたものですか?」
「そうみたいだな。地震の前にはなかった。」
「ところで、レベルアップとかいう通知はありました。」
「あぁ~、そう言えば。」
「ステータスは確認しました?」
「えっ、ステータス!?何だこれは!」
そう声を出すと、少年の目の前にステータススクリーンが表示されたようで、驚きの声を上げる。
「ここは危ないので、よかったら、ここから出て話をしませんか?」
そう誘いダンジョンの外に出た。