2.初めてのダンジョン探索(1)
スマートフォンのライトをONにして辺りを照らしてみる。
ビジネスバッグを見つけた。
「良かった。契約書は無事なようだ。」
新規契約先との契約が成約した直後だったのだ。
それからスーツを照らすとところどころ破れていた。
「痛い出費だな。それよりここから早く抜け出さないと。」
落下した場所は、何か坑道の行き止まりのような場所で、幸い先に道が続いている。うまくいけば、地上に通じる道があるかもしれない。
落ちた穴を確認しようと坑道の天井を照らしてみたが、穴は塞がっていた。
「取りあえず進むか。」
しばらく坑道を進んでいくと、階段のようなものが見つかった。しかしそれは、下に進む階段だった。
「上に行く階段はなかったよな。」
階段を無視してさらに先に進むとそこは行き止まりであった。
「下にしか行けないのか?」
選択肢は閉ざされたので、不本意ながら、階段まで戻り下の階層まで下りることにした。
階段を下り終えた時、何かがいる気配を感じた。
ライトをその方向に向けると緑色の人型をした生き物を映した。
「ギャ、ギャ」
「ゴブリン!」
まずいと思い、階段に向けダッシュし一気に登りきった。
しばらく階段から登ってこないか確認したが、登ってくる気配はなかった。
スーツから煙草を取り出し、一息つきながらこの状況を整理してみた。
そして一言、「ダンジョン」、そうつぶやいた。
ブラック企業の激務の合間にファンタジー小説も嗜んでいたためそう結論づけた。
とすると、「ステータス」
そう言うと、目の前に半透明なステータス画面が映し出された。
ステータス
-----------------------------------------
名前 :青木大介
年齢 :26
種族 :ハイヒューマン
状態 :空腹
LV :0
EXP(経験値):0
HP(体力) :100/100
MP(魔力) :50/50
ATK(攻撃力):20
DEF(防御力):20
AGI(素早さ):20
INT(知力):20
DEX(器用さ):20
LUK(運):20
武器:なし
防具:なし
スキル:鑑定、アイテムボックス
称号 :人類初のダンジョン入場者(経験値10%アップ)
「あっ、確かに何も食ってない。それと、なぜにハイヒューマン。」
人間をいつのまにか止めていたらしい。これは何かの特典なのか?