97話「地区予選 ~決勝戦だぞ!⑦」
一触即発と、オカマサとカレンは互い火花散らして睨み合い。
チササはどう抑えるかあたふただ。
「どうやら身の程をわきまえない糞餓鬼には厳しい現実を叩き込むしかないようだね」
「せやなっ! 女ごときが熱血漢に意見するとは生意気やね!」
何故かドラゴリラもカッカしているオカマサと一緒に並んで、カレンと対峙する。
相棒を止めるどころか、便乗してケンカ売る構えだ。
「これが神すらビビらせた“タブル熱血睨み”だっ!! ションベンちびれいっ!!」
ギロギロッ!!
ギロギロ────ッ!!!
ギロギロ────────ッ!!!!
ズズイ、と前のめりに必死に睨むオカマサとドラゴリラ。
顔の筋肉をこれでもかとフル動員して、怒りの形相でギギギと歪ませてシワを幾重にも出してゆく。
怖い目つきでカレンを凝視して、恐怖させんと歯軋りしてギリギリ睨みまくる。
「にらめっこ? 下らねーァ……」
「何いッ!? 効かないだとォッ!!?」「ウソやろッ!?」
ジト目で呆れ果てるカレンの様子に、オカマサとドラゴリラは目を丸くして大げさに驚く!
チササも「何がしてぇんだか?」と首を傾げる。全くビビってない。
「そんな虚勢なんかよりも、いくら叩いても不撓不屈で何度でも立ち上がってくるナッセの方がずっと怖ぇえーァ」
普通なら血脈の覚醒者を相手に、一人で堂々と戦おうなんて自殺行為だ。
反則級に強すぎて搦手か集団で攻めないと勝てない。
だからこそ堂々と挑んできて負かしてくる男なんて、生涯現れないと思った。
だが現れたのだ! ナッセという男が!
そんな男を、不覚にも好きになってしまったーァ!
「ナッセはな、テメェが思うよりずっとずっと努力家なんだーァ!」
堂々と力説するカレンに、チササは「うわ~ガチ惚れてるだな~」と頬を赤く染めて口元を両手で覆う。
オオガが「何ッ!? それは許さn……」といきり立って飛び出すが、チササの見向きしない横蹴りで再び壁にドガンとめり込んだ。大の字でグッタリ……。
オカマサはギリギリ歯軋りして悔しがる!
「糞っ!! ならばっ、俺の積み重ねてきた努力パワーを思い知らせてやるかねっ!!」
「せや!! ワイら宇宙最強の力でもって、身の程知らずをいてこますんやーっ!!」
「……身の程知らずはテメェらだろーァ」
ここが観戦席エリアなのに、オカマサとドラゴリラは乱闘する気満々だ!
通報されたか、警備員が二人駆けつけてくるが、オカマサとドラゴリラは「邪魔するな!」と腕を振るってはっ倒す。
横たわる警備員。チササは慌てて介抱すると、気絶しているようだ。
「君はこのくらいでは済まさんよ……」「せやせやせや!」
カレンはギザギザ歯を剥き出しにニヤッと好戦的に笑む。
「さっさと来なーァ!」
「フッ! 後悔してもらおうかね……!」「せやせやせやせや!」
まずはオカマサとドラゴリラの基本威力値は10倶胝0000洛叉0000無量大数ものパワーを誇るとしよう……。(謎前提)
オカマサとドラゴリラが互い手を合わせる『連動』によって20倶胝に倍アップ!
いつものより三倍走る事で60倶胝にアップ!
その状態でいつものより高くバーンとジャンプする事で1200倶胝にアップ!
その高角度からいつものの四十倍(気分)でキリモミ回転する事で4阿庾多8000倶胝にアップ!
更に熱血漢二人自身が情熱的な炎オーラで包む事で1440阿庾多にアップだ────ッ!!
「本来なら宇宙どころか、他の宇宙すら消滅しかねんから控えていたが、舐められたままでは気が済まんっ! 貴様が、9999毘薩羅9999僧羯邏摩9999毘伽婆9999毘攞伽回9999弥伽婆9999阿婆鈐9999禰摩9999普摩9999界分9999多婆羅9999阿婆羅9999摩婆羅9999最勝9999阿伽羅9999矜羯羅9999頻波羅9999那由他9999阿庾多9999倶胝9999洛叉9999無量大数9999不可思議9999那由他9999阿僧祇9999恒河沙9999極9999載9999正9999澗9999溝9999穣9999秭9999垓9999京9999兆9999億9999万9999回、輪廻転生しようが、絶対に逃れえぬ真の恐怖に後悔し震えるがよいわ────────っ!!!」
「せや!! 神に等しいワイらの力を目の辺りにして死ねや────!!!」
燃え盛る灼熱の隕石が如く二つ、カレンへ急降下────ッ!!
しかしカレンは全然恐れず、グッと拳に握って!
「去ねやーァ!」
カレンはアッパーパンチで二発突き上げて、ガガン!
殴られたオカマサとドラゴリラは「おぐあああっ!!!」と目玉をビョ──ンと伸ばし、口をタラコ唇に膨らまし、歯をいくつか飛ばしながら、吹っ飛んで天井をガシャーンとぶち破っていったぞ。
そのまま彼方の空まで飛び去って、キラ────ン!
「……えれぇ弱ぇえだなー」
「所詮、そんなモンだーァ」
ジト目のままカレンはパンパン手で払い合って、チササと一緒に観戦に戻る。
試合はなんか白熱していた。
オレ、リョーコ、ヤマミ、フクダリウスは最後残った箱の映像を見上げるのみ。
コハクが二〇人に分身していて、通常槍ショットが七方向で、小型の槍を左右に撃てるスペックで最終ステージの鬼難易度へ挑んでいた。
一方、ピコヒコも同じようなパワーアップ状態で凄まじい弾幕を敷いて敵キャラを殲滅させていく。
なんかムチャクチャなパワーアップだなぞ……。
とは言え、敵キャラも画面上に数百匹も滝のように流れてくるという、草しか生えない鬼難易度の模様。
敵弾も隙間なくばらまかれてて、1ドットでもズレたらミスるような超絶弾幕。
あのパワーアップで殲滅し続けているのに、こんな感じだ。
分かりやすく言えば、滝と滝がぶつかり合ってるよーなもん。
バリアを張り直したり、ボムでリセットするなどでギリ凌いでいる状態だ。
それほどまでに気が休まらない極限集中の超激難ステージ。気が抜けば即脱落の地獄。見てる側も疲れるほどの究極弾幕応酬。
世界で誇るプロゲーマーですらクリアが不可能とさえ思える。
「ううむ! コハクは天才だからこそ、あそこまで行けるのか……」
唸るフクダリウス。
「オレだったらとっくにゲームオーバーになってたぞ」
「誰だって無理じゃないの……?」
「だよー! ムリムリじゃん!」
オレ、ヤマミ、リョーコもそれぞれ驚いているようだぞ。驚くしかない。
あんな画面埋まるほどの弾幕は絶対死ぬだろって思う。
こんなのがシューティングゲームに増えると敷居高くなってしょうがないぞ。
それでもコハクとピコヒコは必死の形相で鬼難易度のステージを進み続けている。
「負けませんよ!!」
「うぬ! そちらこそ!」
ついに最終ボスがヌ────ッと出てきて緊迫感が増していく。
いかにもでっかくて要塞感がする無数の砲台が戦慄させられる。まさにラスボスの風格。
コハクもピコヒコも固唾を飲んでいる事だろう……。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!
ピッと音が鳴って、途端に全てが停止。なんとモニター画面上部のタイム数字がゼロになっていた。
誰もが唖然とした。オレも「あっ」と声を漏らす。
ヤマミたちも目を点にしてぼーぜん。
《ここでタイムアップだぁ────ッ!! ゲ────ムセットォ!!》
すっかり忘れてた。今はゲーム大会ではなく秋季大会の決勝戦だって事を……。
停止時点でのゲーム内のスコアではピコヒコが勝っていたのだが、大会の規定はそんなの関係なく生き残ったチームの数で勝敗が決まってしまった。
試合終了との事で、お互いのチームが現実空間へ帰還した。
あっちのチームは全敗だと知って気の毒なほど俯いて落ち込みまくっていた。各自で空間で張ってると、お互いの状況が分からないという弱点なら仕方ない。
チートとも思える空間結界も万能ではないのだ。ガックシ!
例吐露ピコヒコと思わしきメガネをかけた優男の青年が、イケメンのコハクと爽やかに笑み合っている。
「できれば、また一緒にやりたいですね」
「まぁ、なかなか楽しめました。休日なら付き合いますよ」
ギュッと、握手を交わし青春してるみたいな清涼感でスッキリ。
《関西地区予選を優勝したのはアニマンガー学院だぁ────っ!!!》
なんか変な事がチラホラあったが、優勝したってのは普通に嬉しいもんな。
これで全国大会へ進出だぞ! やったぜ!
祝福してくれるかのように歓声の大音響が会場に響きまくっていく!
「「「うおわああああああああああああああああっ!!!」」」
なんか観戦席の方でチササとカレンが見えた。カレンが嬉しそうにバンザイ飛び跳ねているけど、まぁ負かした彼らの想いを背負って全国大会行くもんな。
ここからでは聞こえないが、応援してくれているんだ……。
オレは笑いながら手を振る。
「応援ありがとなー! 全国大会でも優勝すっぞー!」
……一方、カレンは「大好きだーァ!! 大好きだーァ!!」とバンザイして手を振っていたのだった。
恋する乙女としてキラキラ目を輝かせて、意中の男の反応にポワポワしていた。
悲しいかな、すれ違っている事を互い知る由しない。
チササはそれを察しているので、ため息……。ヤマミも同じく察していて据わった目でギロッ!
……一方、オカマサとドラゴリラはかなり遠くの山奥の、大木の枝に引っかかって逆さまにぶら下がっていた。
トホホと涙目で落ち込んでいる。
「う、運が悪く足を踏み外して負けたね……」
「飛びかかってんやけど、まぁそれでええわ……」
その夕日の上空でカラスが「アホーアホー」鳴いたのだった……。
無人になった会場で、オオガは壁にめり込んだまま哀愁が漂った……。
誰か気付いてあげて…………。
どうでもいいコソコソ話!
数の単位には実は『那由他』がダブっている。
間違えたのかと思い、いくつか検索したがどれもダブっているみたいなので正式にその単位のようだ。理由は分からない……。
【数の単位】
万
億
兆
京
垓
秭
穣
溝
澗
正
載
極
恒河沙
阿僧祇
那由他 ←その1
不可思議
無量大数 ←ここまではみんなも知ってるはず。
洛叉
倶胝
阿庾多
那由他 ←その2
頻波羅
矜羯羅
阿伽羅
最勝
摩婆羅
阿婆羅
多婆羅
界分
普摩
禰摩
阿婆鈐
弥伽婆
毘攞伽回
毘伽婆
僧羯邏摩
毘薩羅
:
:
:
以降、実は続いてますw 結構長いぞ~w




