91話「地区予選 ~決勝戦だぞ!①」
また優勝候補の強豪校だぞ!
数年前から関西地区を連覇して全国大会にも進出しているほどだぞ!
『エンターコミック学院』
アニメ、漫画、ゲーム等、何らかの創作を戦闘に応用している創作士がひしめく名門学院だ。
独特な空間結界使いが多いぞ。
緊張したままオレたちは神妙に会場の通路を歩いていた。
するとオカマサとドラゴリラが壁に背を付けて待っていて「やぁ」と手を振ってくれる。
なんか不穏な予感……。
「敵は厄介な能力持ちだ。事前に知っておくと有利になるぜ?」
「せや!」
「え? 教えてくれるんか?」
なんと人差し指と薬指を立てて「二でな」と片目を瞑って笑んでくる。
「なんだ二円でいいのかー? じゃあ……」
オレは一円玉を二つ取り出すと、ドラゴリラは「アホンダラ! 二万円や! いてこますぞ! ボケが!」と拳を振り上げて怒鳴ってきた。
オカマサは「教養のない世間知らずは長生きできねぇぜ」と不機嫌そうだ。
しかしフクダリウスからゲンコツをもらい、ゴゴンとアホ二人組は轟沈……。
久しぶりだというのにカッコ悪いのは相変わらずだなぁ。
「応援してくれるだけでもいいのだ! それをお前らは!」
通り過ぎていくと後ろから「応援なんかするか! 糞が! 負けてしまえ!!」「せや! ボロクソに負けたトコ笑ってやらぁ!」とみっともなく喚いてきた。
情熱沸く熱血漢はどこへやら…………?
最初は頼りのある先輩って感じだったのに、小物になりすぎ!
「「「わあああああああああああああああッ!!!」」」
闘技場で活気沸く歓声が大音響。
そんな中、チササとカレンが「間に合った!」と観戦席に駆けつけていた。後からオオガがゆっくりやってきた。
準決勝戦で戦った相手が何故か観戦しに来た?
しかしカレンは何故か可愛らしいワンピースを着てて妙に色気づいている。
チササは逆に大胆に胸の谷間を見せ付ける感じの露出度の高い大人っぽい衣服であまつさえミニスカで太ももを露わにしていて、側のポロシャツ着たオオガは落ち着かない様子で周囲をキョロキョロ睨みを利かせている。
「ナッセ……負けんなーァ!」
「もっと大声で言わねぇとナッセに届かねぇだ!」
「は、恥ずかしいーァ…………」
湯気を出してモジモジする赤面のカレン、準決勝戦の時とは全く雰囲気が違いすぎる。
知らない人が見たら、ただのか弱いロリ美少女としか見えないだろう。
なお実際は凶b……ガン!
「おお!! ワシに惚れたか! ではさっそくチササと3Pとイキま……」
オオガは二ターとだらしない顔に変わって、チューと唇を剥いてモミモミする仕草の手を突き出しながら接近してきた。しかも股間がムクムクと膨れて……。
それにチササとカレンは振り向きながらキッと怒りの形相で睨み据え!
「変態は黙るだ!!」「くたばれーァ!!」
チササとカレンは共に渾身のローリングソバットでオオガを蹴り飛ばし、ドゴンと壁にめり込ませた!
オレたちは五人並んで、向こうの五人と互い対峙し合う。
アニマンガー学院側!!
『武劉フクダリウス』
『小野寺リョーコ』
『創也コハク』
『夕夏ヤマミ』
『城路ナッセ』
エンターコミック学院側!!
『小露戸ロハダ』
『寿絵ヌリエ』
『賀廊コミッコ』
『例吐露ピコヒコ』
『亜仁目イイダロウ』
『では決勝戦、試合開始ですっ!!』
宣言と共に、一斉に仮想世界へ転送する魔法陣が光り出してシュパーン!
最初は住宅地の仮想世界だったが……!?
「『夢の箱庭』へいらっしゃいませ!!」
なんと相手チームの創作士が全員両手を挙げると魔法陣が浮かび上がって、オレたちを分断するようにそれぞれの亜空間へ引きずり込んできたぞ。
そう、向こうにとって有利な属性に特化した空間へ…………。
────『動画監獄』!
オレは周囲が緑で生い茂るジャングル地帯だ。木々にツタがかかっていて、草木が無作為に生えている。
だがアニメで描かれた美しい風景だ。
まるで二次世界をリアルに具現化したかのような雰囲気だぞ。
「フフフ……そちらは私が相手しましょう。我が名は亜仁目イイダロウ。さて……」
「誰ッ!!?」
試合開始前後とは違う! 緑髪のショートの紳士服を着たキラキラ輝いている美系男子!
なんとこれまたアニメで描かれた長身美形男子だ!
最初はオレよりちょっと背が高いくらいで、緑髪だが小太りのふくよかなメガネ青年だったのに!!
「この真の姿を脳裏に焼き付けて敗北に沈むが良い────」
なんと周囲の生い茂っている木々がザワザワ蠢き出して、ニューニュー伸びてきた赤い触手がオレへ絡み付こうとする。触手プレイかぞ!
「これが私の性癖なんですが、相手が女性じゃないと萎えます……」
「男で悪かったなぞっ!!」
────『玩具監獄』!
フクダリウスはデジタル画のお城や家に囲まれた場所にいた。
向こうで掠れている人影が「フフフ」と笑ってくる。
「悪く思わんでくれよ? 僕は小露戸ロハダだぜ──っ!」
五メートル強のでっかい王様風の三頭身巨大ロボットがニカッと笑ってくる!?
デジタルでコミカルに描かれたデフォルメ王様ロボはどこか小学生の読む漫画っぽい感じだ!
「ぬお……!?」
「はっはっは!! 姿が違う事を許してくれよ! 自ら子供が憧れるロボになりたいと思っててな!」
最初は猫背で暗く沈んだようなメガネの青年。ロン毛で手入れもされてなくて、無精ヒゲも少々。顔立ちも細々として貧相な印象を受けていた。
それが王様ロボとしてハキハキで現れたのだ。
「さぁさぁ! これこそ僕の真の姿!! やってやるぜ────!!」
四方八方から無数のコミカル調の矢が襲い来る。
────『墨画監獄』!
リョーコは襲ってくる水墨画の竜巻を斬り裂く。
しかし周囲を囲むようにうねる竜巻の群れがまだ残っている。風景はカラー付きの水墨画で岩山、雲が描かれている。そして流れるような緑色のロングのお嬢様が高らかに見下ろしている。
水墨画で描かれた超絶美人────!?
最初はタラコ唇で据わった目をしていて小太りの典型的なオタク女子だった。
「前と全然違うっ!!」
「私は寿絵ヌリエ。よろしく。あなたはここで無力を嘆きながら力尽きるのです!」
一斉に無数の竜巻が迫って来る。
────『漫画監獄』!
カラー付き漫画描写の広々とした少女漫画風の住宅地でヤマミは立っていた。すると漫画調の旋風が巻き起こって、中から人影が!
《あたしは魔法少女賀廊コミッコちゃんですぅ!》
なんと声と共に漫画のフキダシが出てきた!?
「あなたは……??」
《えへー! こちらが本当の姿ですっ! 以後よろー!》
漫画で描かれた風の、フリルいっぱいのドレスがピッタリの可愛らしい美少女!
金髪の毛のロングが艶っぽくてハイライトも入ってて、目もクリッと大きく、まさに少女漫画らしい主人公キャラが具現化されている!
……元々は貧相な細い女性で出っ歯が目立つメガネっ子。ジト目のようなパッとしない印象。髪も黒髪だったのに、これじゃ完全に別人だ!
「この空間だけでのみ、理想の自分に満足しているなんて哀れだわ……」
《うっさいなー! さっさとやられちゃってー!》
なんとパンをくわえた美少女軍団が9999人もヤマミを押し潰さんとなだれ込む。
しかもドドドドドドドと言う擬音が具現化されているぞ!
「なに────これ────!!?」
────『芸夢監獄』!
コハクは相手が見当たらぬSFみたいな基地で一人ほうけていた。
ドットのいくつもの要塞が連なっている基地ステージ。その上空をドットの艦隊や飛行機が飛び交っている。
正にレトロゲーム風のドット世界だ。
「……なんですかこれ?」
《これは失礼ぴこ。我は例吐露ピコヒコ。ボクは気が長い方でな、しばらくプレイさせてもらうぴこぴゅー》
なんと相手はシューティングゲームで見かけそうな白いドット戦闘機だ!
なんかピコピコ聞こえる。
「さぁゲームスタートぴこぴこーん!!」
するとドットの飛行物がコハクへ殺到してくる!!




