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90話「地区予選 ~準決勝戦だぞ!⑧」

 巌穴(ガンケツ)オオガは水を操る魔獣『河童』として猛威を奮っていた!

 変幻自在に体のどこかから噴出口を作り出し、そこから放つ高圧水流の勢いによる荷重を加えた攻撃が可能だぞ!

 体液を噴出しているワケではなく、水魔法(ミズッポ系)を直接噴出しているのだ!


「ぬうん!! スワン翔嵐ッ!!」


 足裏から大地を爆ぜるほどの水鉄砲を噴き、強烈な膝蹴りを放ってフクダリウスを宙に飛ばす!!

 更に高く跳躍して、水鉄砲による加速張り手で突き下ろす!!

 叩き落とされたフクダリウスは遺跡の瓦礫へ突っ込んでバガアァァンと破片を飛び散らせた!



 巌穴(ガンケツ)チササはボイーンと巨乳を揺らすグラマーな女体を誇る『天狗』こと女天狗!!

 色っぽい風貌の割に具現化した竹による高速式伸縮自在の槍を豪腕でもって振り回す攻撃が得意だぞ!

 妖精王ナッセと同様に具現化させているので、人外レベルの魔力だ!


「サイクロン超破竹だぞ────ッ!!」


 高速回転しながら長────く伸ばした穂先を扇風機以上の回転で振り回し続け、旋風が周囲に吹き荒れながら遺跡の破片が粉微塵と吹き飛ばされていく!!


 ババババババババババババババババババッ!!!

「うわあああああああー!! 痛いです痛いですーっ!!」


 モリッカは猛乱打を全身に受け続けてキリキリ舞ってるぞ!

 既に大爆裂魔法を一発放ってしまった為に、満身創痍の体が重くて充分に戦える状態ではなかった!

 巌穴(ガンケツ)兄妹も大爆裂魔法などの大ダメージを受けているにも関わらず、万全に近い状態で思いっきり戦えるので、勝ち目が無いのは火を見るより明らかだった!


「ぬうおおんッ!!」「んだ────ッ!!」


 オオガの張り手がフクダリウスの頬を張っ叩き、チササの穂先がモリッカの頬をぶって、双方ともに吹っ飛ばされて、地面を滑りながら煙幕を立てて瓦礫へ突っ込んで破砕!

 派手に煙幕を噴き上げて破片が四方八方に飛び散る!! ガアアァァン!!


「ぐ……!」「ううっ……!」


 なんとか棺桶化せず、瀕死ながらも気力で立ち上がるフクダリウスとモリッカ。

 血塗れで酷い息切れ、滴る血が地面を濡れる。必死に繋ぎとめないと意識が遠のいてしまいそうな状態……。

 フクダリウスは戦斧を見やる。刃が欠けていて亀裂も入っている。



「くそ……!」


 焦りを覚えるオレは遺跡の影で回復魔法(ナース系)をかけ続けているが、到底間に合わなさそう。

 無理に加勢しても、これでは仲良く棺桶が三つ並ぶだけだ。


「このままじゃやられちまう……! なんか手はねーんか!?」


 そんな折、脳裏に一瞬で弾ける凄まじい閃光が浮かび、そこから『昇天魔法(ラストヘヴン)』が連想された。

 これは命を懸けて誰かを守りたい気持ちでもって、敵と自爆する自己犠牲魔法。

 ……しかし大会では禁止されている。

 いや仮想対戦(バーチャルサバイバル)でも禁じ手として使用不可にされている。この手は使えない。



「まだ大爆裂(アレ)撃てるか?」

「いえ……! あれは一発で限度ですねー。僕はナッさんじゃないので」

「ううむ、そうか…………」


 フクダリウスとモリッカの会話でハッと閃く。

 今まで奥義の方がコスパいいからと、全く触れなくなったけどオレも使えるんだよな! 大爆裂魔法!

 これなら満身創痍でも凄まじい破壊力を出せるだろう……!


「……だが、この状態で使えば!」


 意を決して杖を握り、両前腕を交差して光子を収束させていく。キュインキュイン!

 そうさ! 迷うことねぇ……! これは試合なんだ!!

 本来ならMP(マジックプール)100%全開放すれば確実に死ぬから絶対やらないけど、ここでならッ!!


 収束していく光子によって、大地が地響きを伴っていく。

 それによって全身が引き裂かれそうな痛みが膨れ上がっていく。まだだ、まだ!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


 今ここで、溜まった因子によって無限に増大してきたオレの莫大なMP(マジックプール)を全部ぶちかましてやるッ!!!



 オオガとチササはなおも大地を揺るがす怒涛の猛攻を続けていた!

 フクダリウスとモリッカはなすすべもなく宙を踊って踊って血飛沫を散らし、絶叫が響く!!

 もはやワンサイドゲームで勝負にならない! ボッコボコだ!!


「思い知ったか────ッ!! ウォーター爆嵐ッ!!」


 オオガは両手の穴から水の激流を勢いよくぶっぱなしたぞ!!


「ぐわああああああああああ!!!」

「うわああああああああああ!!!」


 大津波のような激流に押し流されてフクダリウスとモリッカはズダボロに引き裂かれていく!!

 それでもと、二人は震えながら立ち上がる。



「これでうぬらは終わりだああああッ!!!」

「おめぇらすっげぇ強かったぞ────ッ!!」


 トドメを刺さんとオオガは意気込む!!

 オオガは右手を、チササは左手を、後方へ引いていく! 荒ぶるようにエーテルを激しく噴き上げながら、全身全霊の光球が二人の手の間で溜められていく!!

 鋭い眼光で煌めかし、光球を押し出すように手を突き出す!!


双連衝ツイン・オーバードライブッッ!!!!」


 オオガとチササの真ん中から極太光線が迸り、震える大地を割りながら、フクダリウスとモリッカを光の彼方へ消し飛ばさんとする!!

 レキセーンモサ学院の生徒たちは歓喜し、逆にアニマンガー学院は負けを悟った!

 マイシもリョーコも誰もが頭を抱えて絶叫するしかない!


「もうダメだあ────────────ッ!!!!」


 フクダリウスとモリッカも、もはや覆せぬと諦念するしかないッ!!


 だが、そうはさせねぇッッ!! オレが跳ね除けてやる────ッ!!

 喰らえ────ッ!! これがオレのMP(マジックプール)を全開放して放つ!!


 「(とどろ)(うな)れッ!! 9000万パワー大爆雷(だいばくらい)デンガ・テンペストサンダーッッ!!!」


 交差した腕を左右に広げ、ありったけ全てを吐き出し膨大な雷を解き放った!!


 ズガァァァピッシャアアアアアアン!!!!


 地表を抉り尽くして突き進む一条の爆雷が、極太光線を押し退けた!

「な、何いいいいッ!?」

 驚愕に見開くオオガとチササを閃光が覆う!

 そのまま爆雷は放射状に爆ぜて辺りの瓦礫をことごとく打ち貫き、広範囲に渡って莫大な雷が蹂躙(じゅうりん)し、大地を震撼させた!! ズズズズ!

 まさに大魔王級の超絶破壊力が決まった──ッ!!


 フクダリウスとモリッカはポカ────ン!


 シュウウウ……と煙幕が収まり、オオガとチササの棺桶、そしてオレの棺桶が転がっていた!?

 こうして自ら犠牲にして準決勝戦をも勝ち抜けたぞ……!


 フクダリウスとモリッカは唖然とポカ────────ン! 顎が外れそう!



《ゲ────ムセット!! 準決勝戦を勝ち抜いたのはアニマンガー学院だぁぁあ!!!》


 歓声がドッと湧き上がって大音響が会場に響きまくっていく!


「「「ドワアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」」」




 試合終了後、なんかカレンが「コイツ、誘っといて振りやがったーァッ! バカバカーァッ!!」と泣き喚きながら掴みかかろうとしてたけど、オオガに抱きかかえられた。


「責任取って付き合いやがれ────ァ!!!」


 それでも手足をジタバタして泣き喚いていた。

 なんでそうなるか意味分かんない。

 ケンカに付き合えって意味? それとも恋愛の意味で付き合えって事?


「この女たらし!」


 ジト目のヤマミに頭上をチョップされた。


「みんなで異世界へ行こうぜ、ってつもりだったけどなぁ……」

「そーゆーところが勘違いさせるの!」


 ご立腹のヤマミにチョップで何度もペシンペシンされる。返す言葉もない。


 エレナはスミレに口を塞がれて「むぐーむぐー」もがいていた。

 余計な事言って修羅場になりそうだからナイスフォロー!


 羽交い締めするオオガがカレンの胸をどさくさ紛れにムニッと揉む。その気持ちよさに揉み続けてニタ~と鼻下を伸ばして顔が緩む。むひひ!


「てめぇ! ()()セクハラしたなーァッ!!!」

「ま、待て!! ワシはロリコンなどではないッ!! シスコンだッ!!」

「弁解ちげーだろッ!! つーか関係ねー!! 変態はブッ潰すッ!!」


 ブチギレたカレンは馬乗りして容赦なくガガガガガガガガンと猛連打し、オオガは「ぐえー」と手足を震わせながら血飛沫を散らしていく。ひえ……!

 チササは冷淡な目で軽蔑。ソウタロウは額に手を当てて溜息をつく。

 その様子からして常習犯のようだ。

 あんな堅物そうなのにムッツリロリコンシスコンとか、見た目によらないなぞ。

 あいつらが揉めてる隙にそそくさと退場……。


 ちなみに強者強者叫んでたジンイチ君は隅っこで蹲ったままブツブツ言いながら落ち込んでいたぞ。




 オレたちはワイワイと談笑しながら地下の駅へ向かって、地下鉄に乗って学院へ戻った後に解散した。

 リョーコも元気よく「まったねー!」と手を振って仮想対戦(バーチャルサバイバル)センターへ向かっていった。

 きっとアクトと、だなぞ。


 夕日の下でヤマミが「おつかれ」とドリンクを渡してきた。サンキュー!


「妖精王の変身は別に禁じられてるワケじゃないでしょうに」

「あの金属のチリが怖かったから、つい……」

「そこビビるトコ!?」


 ヤマミのチョップがオレの胸板にビシッと叩き込まれた。ノリいいなぁ。

 よく考えればカレンの方が何万倍もヤベーのに、よく変身せず戦おうとしたな。

 ……今思えば無謀だった。


「大爆裂撃つ時、9000万パワーってたけど何? MP(マジックプール)の総量?」

「わ、忘れてくれぞ……」


 外部には聞かれないと思って、ノリと勢いで叫んでただけなのに…………!




 レキセーンモサ学院の選手たちも学院で解散した後、チササはトボトボ落ち込みながら帰路についていた。

 包帯巻いているオオガがキリッと真面目な顔でチササの肩に手を置く。


「今回は負けたが、来年の春季大会で借りを返そうぞ!」


 涙目のチササはオオガを見上げる。


「だな……」

「元気を出すのだ我が妹よ! さぁ胸を揉ませてくれ! 決して下心d」

「……寝言は寝て言うだ!」


 据わった目でチササは槍でオオガの勃起(もっこり)状態の股間にドズン突き刺して「バースト破竹!!!」とババババババババンと容赦のない爆裂連鎖を炸裂させた。


「ワシの愚息がぁ、あばばばばばばばばばばば!!」


 オオガはまた厚いコンクリート壁に大の字でめり込んだ。シュウウ……!

 いろいろ紹介!


『レキセーンモサ学院』

 実力者主義の武闘派学院。腕に覚えのあるヤツが更なる修練を臨むべき入学する。

 遠足する比率が多く、行き先は『洞窟(ダンジョン)』。割と死傷者も出る。

 覚悟してないと入れねぇヤバい学院。

 だが、実力は確かで全国大会を何度か優勝している。


 強すぎる巌穴(ガンケツ)兄妹とカレンで充分なので、他は数合わせだった。



巌穴(ガンケツ)オオガ(格闘僧(モンク))』

 恵まれた体格に加え、素早い動きが可能の強者。律儀で丁寧な態度。だが割と好戦的。

 脳筋かと思いきや、拳打に限らず投げ技など柔軟に戦いを変えていける。

 実は『河童』に変身できる魔獣。

 チームのキャプテン。

 重度のシスコン。いつも妹のチササに半殺しされている。

 実はロリコンでもある。よくカレンの胸を揉む常習犯。

ラッシュ乱嵐(鍛え抜かれたゴツい大きな正拳突きを連続で繰り出す)

スワン翔嵐(要するに飛び膝蹴り)

イーグル山嵐(相手を捕まえ高く跳躍した後に思いっきりオーラと前体重を乗せて地面に叩きつける。ほぼこれで決着がつく)

三連イーグル山嵐(怒りのままにイーグル山嵐を三連発する。フクダリウスは耐えた)

ストライク撃嵐(敵の顔面を掴んで大地に叩きつける)

ウォーター爆嵐(河童時のみ使える。両手の穴から水流波を放つ)

マサカリ大断嵐(後方宙返りして大仰に手刀を振りかぶって、今度は前転宙返りして大地すら真っ二つに切り裂く。原理不明)

ウォール岩嵐(全オーラを両腕に集中させて、敵の攻撃を受け止めきる)

アルティメットウォーター爆嵐(奥義。前全身の噴出口から水流を束ねて、極太の水鉄砲を撃つ。山も欠けるほど! 結局披露せず)

双連衝(ツイン・ドライブ)(妹のチササと放つツープラトン。極太光線を放つ)

 威力値:115000(河童230000)


巌穴(ガンケツ)チササ(槍士(ランサー))』

 飄々した明るい少年。兄のオオガと違い、ナッセのように小柄で軽やかにアクロバティックに動き回って槍を振るっていく。

 見た目に反して、オオガとも勝るとも劣らぬ剛力の持ち主。

 槍のひと振りでビルを崩すほどだ。

 実は『天狗』に変身できる魔獣。変身時は二メートルのグラマーな女体になる。

 シスコンの兄貴に対して「さっさと死なねぇかな」と嫌悪してる模様。

サイクロン破竹(竜巻のように槍を振り回して周囲の敵を薙ぎ払う)

スワロー破竹(地面に槍を突き刺し、振り上げてすっぽ抜けた反動で斬る)

バースト破竹(炸裂(バースト)を込めた槍で敵を爆撃)

キツツキ破竹(連続突きを見舞う)

ストーム超破竹(天狗時のみ使える技。穂先を長く伸ばして横薙ぎに斬り払う)

キツツキ超破竹(天狗時飲み使える技。超高速伸縮によって連続突き)

双連衝(ツイン・ドライブ)(兄のオオガと放つツープラトン。極太光線を放つ)

 威力値:129000(天狗258000)


照美(テルミ)カレン(狂戦士(バーサーカー))』

 ギザギザ歯を持つ金髪ツインテール。目付きが鋭く血気盛ん。短気。生意気なメスガキといった感じ。

 小柄な体躯に反して重いハンマーを軽々と振り回す膂力をもつ。

 更に雷魔法(デンガ系)でハンマーに付加させて戦うのを得意とする。

 戦闘中ダメージを受ければ受けるほど、体格が大きくなるにつれて筋肉が増し、際限なく攻撃力を増していく血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)

たたきつぶすハンマーァ(ガンガン連打して押し潰す)

ぶっとばしハンマーァ(横薙ぎに振るって敵を吹っ飛ばす)

おしつぶすハンマーァ(跳躍しての振り下ろしで叩き潰す)

空の彼方へ、いっちまえハンマーァ(対空技。跳躍して遥か上空へ殴り飛ばす)

 威力値:104900(負けるまで約320000)


山岡(ヤマオカ)ソウタロウ(剣士(セイバー))』

 ソードマスター山岡(ヤマオカ)さんと呼ばれている。常に西洋の鎧を纏っている。素顔を見た人はいないらしい。

 無数の鎧を召喚して操作するが、実態は金属の破片を操作して削っていくスタイル。

 大した威力の技を持ってないせいで地味。その為影が薄いが、それが余計厄介。

 火力で押し切るのではなく、サクサク削るタイプの剣士。 ……剣士か?

 数合わせでメンバーに入っていた。

 威力値:7000


安堂(アンドウ)ジンイチ(暗殺者(アサシン))』

 ソォロモォーン777柱の内一人。一話のみ登場した万々(バンバン)ジュウとは同僚関係。

 世間をネガティブに受け取る。強者が権利者となるべきだと極端な思想を持つ。性格は冷徹で非情。

 自己を疑わぬ独善的な面がある。かなりの神経質の為、自分の思想に否定的な人や弱者を憎む。仲間意識や友情や絆など不確かなものを徹底的に嫌う。

 傲慢で一匹狼ではあるが仕事はできる。才能もある為、我流でかなり強くなっていけた。

 左顔の火傷は熱したフライパンで根性焼きしようとしたが返り討ちに遭った為だ。切り傷も同じく。

 普段から侮っているせいか、よく返り討ちに遭う。でもその結果から目を背けている。

 数合わせでメンバーに入っていた。

強者戦慄襲撃(無数のナイフを全方位に放ち、全てが対象に向かう追尾弾(ホーミングブレッド)

強者侵略毒撃(神経毒を含ませた攻撃でジワジワいたぶる)

強者威光強襲(自分を巨大化してパワーをアップさせて叩き潰す)

強者至上猛攻(キレると激情家になって敵を徹底的に追い詰めていく)

 威力値:43000

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