84話「秋季大会編 ~準決勝戦だぞ!②」
ついに準決勝戦だ────!!
あの強敵揃いだと言われる『レキセーンモサ学院』と激突必至────!
オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!
闘技場で活気沸く歓声が大音響。
オレたちは五人並んで、向こうの五人と互い対峙し合う。
アニマンガー学院側!!
『武劉フクダリウス』
『和久モリッカ』
『桃園エレナ』
『金沢コマエモン』
『城路ナッセ』
レキセーンモサ学院側!!
『巌穴オオガ』
『巌穴チササ』
『照美カレン』
『山岡ソウタロウ』
『安堂ジンイチ』
『では準決勝戦、試合開始ですっ!!』
宣言と共に、一斉に仮想世界へ転送する魔法陣が光り出してシュパーン!
戦場となる仮想世界は遺跡が連なる荒野地帯。
古びて崩れかけの石の神殿が遠い昔を思わせる雰囲気を醸し出す。互いの一定距離を元にチームごとにランダムで転移されるので、早急に相手チームを見つけて先制を取るのが定石なのだが……、突然巨人のように大きくなった男がこちらをジロリと見下ろしてきた!
「確か、ヤツは安堂ジンイチか!!」
ナチュラルボサボサの金髪。冷徹な目。そして左側の顔が火傷してて切り傷が痛々しい。自信満々な不敵な笑みを浮かべてきた。手には何故かフライパン!
これではこっちの場所が丸見えだ!! もうあっちにバレた!
「キョキョキョキョーッ!! キサマら弱者どもは特大根性焼きだぁぁぁあッ!! 強者威光強襲ゥゥゥゥッ!!!」
橙に滲んできた熱々なフライパンを振り下ろしてきた!
オレたちは散開して、通り過ぎたフライパンが遺跡ごと地面を穿ち、周囲に波紋状の衝撃波を広げて陥没させていく!
地響きが続き、粉塵が舞い、遺跡やら岩盤やらの破片が四散!
咄嗟に光の刃を投げ、ジンイチの巨大な右手に刺さり「ぐああッ!」とフライパンを取り落とさせた。
するとシュワシュワ縮んでいった。あれ終わり?
今度はデカいハンマーを振りかぶって襲いかかってくる少女が見えた!
「そこのチビぶっ潰してやらーァッ!!」
「えぇ……、あんたに言われたくないぞ……」
「このカレン様のハンマーァで叩き潰してやらーァッ!!」
照美カレン!
好戦的なツンツンした感じの金髪ツインテール少女。血気盛んに開いた口にはギザギザの歯が窺える。
エレナと同じようにロリっぽいが低身長なだけで立派な成人だ。衣服は露出度の高いビキニ水着みたいなもんでスタイルの良さが窺える。
「さーァ潰れなッ!! おしつぶすハンマーァッ!!!」
オレは空中を跳ねて避けると、通り過ぎたカレンのハンマーが大地を強打し、巻き起こった衝撃波で岩盤がグワンッと捲れ上がった!
引き返してきたカレンが「逃がすかーァッ!」と再び襲いかかる!!
咄嗟に太陽の剣をかざすも、稲光散らす巨大なハンマーによって粉々に砕かれオレはぶっ飛ばされる!
「ぐ!」
遺跡へ突っ込んで破片を散らしてドッカァァン!
……しかしオレは難なく立ち上がる。額から血が垂れてる。痛ぇ……。
「後ろへ飛びつつ被弾する所に盾を重ねなかったらやっべぇ!」
カレンは獰猛に巨大なハンマーを豪快に振り回しまくって遺跡をガンガン破壊しつくしながら迫って来る!!
手応えからして、防御不能の高火力ハンマーを捌くのはオレも辛いか!
────こいつ威力値一〇万級の強敵ッ!
緊迫し、光の剣を正眼に構えた!
こういう強敵は初手で沈めるに限る! 全力で行くぞ!! カッ!
「流星進撃!! 二十連星ッ!!!」
背景が天の川横切る星々煌く夜景、オレは流星群のような強烈な二十発の瞬撃をカレンに集約させた!
頭上、首、右肩、左肩、右鎖骨、左鎖骨、鳩尾、腹、右脇、左脇、背中、右腕、左腕、右手、左手、腰、右太腿、左太腿、右足、左足、それぞれ粉砕する勢いで一撃必殺を叩き込む!
「ぐ、ぐぎぎ、があ、があああ、ぎぃ、ぐがあ、ぎああ、ががあああっ!!」
一気に戦闘不能へと追い込まんばかりに連撃音が鳴り響き、カレンは勢いよく吹っ飛んで遺跡へとガンガンガンと貫いて奥行きで粉塵が巻き起こった! ズズン!
よし!! ソッコー倒したッ!!
星屑を散らしながら空中をピョンピョン飛び跳ねて、遺跡の上へ降り立つ。
「んじゃオラもいっくぞー!!」
「エレナちゃんヒールキックッ!!」
無邪気なチササが長い槍を振り回してきて、エレナは金属化したカカト落としで応戦!
ガッキィィィン!!
ビリビリと全身を突き抜けるほどの衝撃が吹き荒れ、互い反発するように弾けた! そしてモリッカが電撃を纏ってチササへと襲いかかるが、オオガが大柄な体で阻んできた!
「そうはさせぬ!! ぬううんっ! ラッシュ乱嵐ッ!!」
「臨むところですよーっ!!」
モリッカとオオガが拳で攻防の応酬を繰り広げてズドドドドドッと周囲を震撼させるほどの激戦になっていく!
大柄な男にも負けないのは凄い! 本当に魔道士かよ!?
「ふう! 次は大男だったヤツを……」
すると奥行きで大地震わすほどエーテルが噴き上げてきた! ズン!
なんと傷だらけのカレンが稲光迸る凄まじいエーテルを全身から噴き上げながら、不敵に笑んでいる!
「うそ……! あれを喰らって平然と立てんのかよ……!?」
見た目ロリなのに恐ろしいヤツだ。しかも瀕死って感じがしねぇ……。
それにしても、気のせいか体格が大きくなっているよーな……?
しかしフクダリウスが「ぬおおおお!!」とオーラ漲る戦斧を振るって、カレンを叩き潰し大地に埋めてズズーンと噴火のような大規模の粉塵を巻き上げた! うわ手痛いの決まった!!
しかしギギギと戦斧を押しのけて、血塗れのままカレンは立ち上がっていく!
「ぬうッ!?」
「へっへ! ありがとよッ!! いってぇなーァ!! いってぇほどに力を増すぜーェッ!!」
なんとさっきよりも激しくエーテルを爆発的に噴き上げていく!
すると体格がグンと大きく、そして筋肉質に膨らむ!
さっきより更にパワーが……! まさか!? ぞわっ!
「わりぃな!! アタシはいってぇダメージほどパワーが増す『血脈の覚醒者』だーァッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
大地を揺るがすほどの荒ぶるエーテルが稲光を散らしていく!
まさかの『血脈の覚醒者』!!?
ダメージを受ければ受けるほど強さを増していくなんて反則だろ! 手に負えねぇじゃん!!
敵側でくると厄介この上にないなぞ!
って事は最初にオレを狙ったのは……!? 全てこの為ッ!?
「うらあ────ァッ!!」
あの大柄なフクダリウスをすら稲光伴う巨大ハンマーでドカンと殴り飛ばす! そのまま軌道上の遺跡を貫いていって煙幕を噴き上げた! パワーが段違いだ!
隙を突いてエレナが矢のように飛んできて「エレナちゃん三連脚ッ!!」と、カレンの後頭部、延髄、背中を射抜くように連続蹴りを炸裂させた!
しかし「いってぇなー!!」とカレンは更に激しいエーテルを噴き上げた!
更に体格も成人男性並みに大きくなり、筋肉も増す!
そしてエレナとの激しい交戦へ臨んでいった!!
カレンのハンマーとエレナの足が交差して、衝撃波を撒き散らし地響きを誘発!
「隙アリだぞー!!」
チササが槍を振り下ろしてくるのを、オレは振り向きざまに太陽の槍で受け止めた! ガギィンッ!!
その衝撃で地面の岩盤が爆ぜて周囲の遺跡をグワンッと粉微塵に吹き飛ばす!
「槍術ならオレだって負けねぇぞッ!!」
「へっへー!! あんさん、色んな武器創れるんか! おもしれぇなー!!」
長い柄を器用に、オレたちは槍を振り回して凄まじい激突をガンガン繰り返していく!
チササは小柄な癖して剛力なのが窺える。こっちが念力組手で倍加しているのに、力負けしないのは凄い!
「おおおッ!! フォールッ!!」
「なんのーッ! スワロー破竹ッ!!」
高く跳躍したオレが太陽の槍を振り下ろす!
するとチササは槍の切っ先を地面に刺し、引きずるように振り上げていくとすっぽ抜ける反動で上空へ超速の軌跡を描いた!
互い激突してビリビリと痛いほどに全身を衝撃が突き抜けた!
ガン! 衝撃波を散らしながらオレたちは間合いを離れていった!
「ぬう!! ワシのチササをッ!! 貴様ァ許さんぞ──ッ!!」
何故かキレて怒りの形相のオオガがモリッカを跳ね除けて襲いかかろうとするが、フクダリウスが戦斧を振るって阻む! ガアンッ!!
ひゅー! 助かった!
「ここは通さぬッ!!!」
「そこをどけェェェェッ!!!」
巌穴オオガは憤怒の表情でフクダリウスと剛力でぶつかり合い、周囲の遺跡が吹き飛び、地形が荒らされていく。
それでもフクダリウスは巨大戦斧を振り回し、オオガは嵐がごとくの猛攻を奮い、その繰り返す激突で連鎖的に遺跡が瓦解していく。ズズズ……!
やっぱ大柄な者同士の戦いは怪獣決戦みてーだ。