70話「メンバー選定③ ~性癖合戦!?」
エレナはナッセが女に無関心そうだから見向きされないとネガを吐いていた。しかしヤマミは衝撃的事実を暴露した!
「ああ見えてナッセはロリコンよ! 関係ないと思う!」
「はあッ!?」
エレナは驚いた。ヤマミは神妙に頷く。コクッ!
一瞬戸惑ったがストレートパンチを放つ。それをヤマミは杖の刃で受け止める。ギリギリと力比べ。
「彼氏がロリコンって暴露して恥ずかしいと思うけど、もう割り切ってる! 男だし仕方ない」
「あ! それ分かるッ!! 男なら、みんな変な性癖持ってるーッ!」
「性癖……??」
「なんか、特定の何かが好きって属性ッ! 年下が好きとか、年上が好きとか、そんな感じッ!」
エレナはすかさず斜めに斬り上げるような蹴りを放つが、ヤマミは杖で払って軌道を逸らす。
そんな風に激しく一進一退の攻防の応酬を繰り広げ、烈風が煙幕を巻き起こしていく。
「ノーヴェンがふたなり好きだとか、モリッカが魔法少女系好きだとか、ミコトが巨乳好きだとか、鈍い私だって分かる! あれが性癖っていうのね?」
「もう知ってるのねッ! そうそれが性癖なのッ! でもね本当はもっとヤバいのッ! ノーヴェンなんて夜な夜な学校でメガネでアレ擦ってハァハァしたの見てたからねッ! そんなヤバいのリョーコも知ってるッ! 男はみーんな変態なのッ!」
「そうなんだ……」
「そーだよッ!」
ヤマミにとって未知の領域であった……。
ノーヴェンがそういう事してたのには流石にドン引きだけど、怖いもの見たさで気になってきたようだ。
「後で色々聞かせてね」「もちッ!」
激しい格闘を繰り返しながら、意気投合と女子トークは続いていた。
ナッセたちからしてみれば言い争いしてるようにしか見えないだろう。ケンカしてるように見えるだろう。
「でもダーリンって、あんまり性癖見せないからウブかと思ってたけどッ!」
「ウブはウブなんだけどね、でもアニメの女性キャラクターばっか気にしてるの、しかもロリキャラばっか。一緒にいてて分かる!」
「マジのマジッ!? やだー! ロリコンだってーッ!」
「ホントにね!」
回し蹴りと杖の刃が交差! ガッ!!
「ナッセのパソコンにエッチな画像あるからね! ロリキャラ多いから引いてる! 何度も消してやろうと思ったわ!」
「え──!? 勝手に覗いていいのッ!?」
「気になってパスワード解析した!」
「ガチ引くわ……。それストーカーじゃんッ」
女子トークしながら縦横無尽と駆け抜けながら、あちこちで激突の連鎖を展開していく。
共に軽やかな体術でしなやかに腕と足がしなる。
ピンクのベリーショート、黒髪の姫カットが踊り、汗の飛礫が舞う。
「胸丸出しの画像も多いから、ナッセも好きなのかしら?」
「オッパイが好きなの男性共通だけど、やっぱダーリンも例外ではないかーッ!」
「そう! 男ってそういうものよ……全く!」
「でもあたしらも言えた事ではないんだよねッ」
「うん」
一目惚れしたってのは共通。
見た目整ってるし、素直な少年風だから惚れたのは間違いない。そこから入って色々知って、この関係。
それにリョーコもBLを密かに愛好しているから、同じムジナだ。
気にならないと言えば嘘かもしれない。
攻め受けの美青年美少年が絡む物語は読んでみれば意外と奥が深い。
女子の間で歓喜が沸くのも無理ないって分かる。
特に受けの少年が責め立てられてるの見てると、なんか火照ってくるのはヤマミ自身も認めざるを得なかった。
「ヤマミって意外とショタコン……」
「言わないで……。でもあなたも同じムジナでしょう!」
「否定できないッ!」
ヤマミもエレナもそういう自分の性癖をナッセたちには見せていない。
お互い踏み込むべきではない領分ってのがある。
理解しようと努力するのも大事だけど、敢えて知らないフリするのも大事。それにナッセにも知らせていない自分の性癖がヤマミ自身も自覚している。
「……私、可愛い少年を束縛して、めちゃくちゃ陵辱したいって衝動あるし……。怯えていくナッセとかを押し倒して衣服引き剥がしながら、絡むようなキスで攻め立てて骨抜きにして馬乗りになって……(自主規制)」
「それマジ引くッ!」
「うっさい!!」
怯んだエレナの頭上に怒りのチョップを放つ。
それを掴んでヤマミをグルンと背負い投げ、しかし宙返り着地で打ち身をかわされる。すぐさま振り返ってのヤマミの杖とエレナの裏拳がガッと激突。
「でもジャマミの性癖知れたからいっかーッ!」
「だ、誰にも言わないで!」
「むっふふー!」
なんやかんやで終わった後、エレナは肘打ちして「そういう大胆なトークできるなら、これからしよッ!」と耳打ち。ヤマミも「ええ」と妙に意気投合。
事情を知らないナッセは手を差し出し、ヤマミはいつもののようにパンと叩いた。
「やったな!」「ええ!」
パソコンのエッチな画像バレてるの知らないナッセに、ヤマミはにっこり微笑む。
それにエレナも苦笑い。
今度は雲海に囲まれた山岳地帯。草のように低い木々が緑を彩り、見渡しが良いが足場は傾斜。
腰を低く前かがみに、抜刀術の構えでコマエモンは「コオオオ……」と、相手を見据える。斜めの足場だろうが関係ない。
「おおお! それが噂の抜刀術ですかー!」
モリッカは天真爛漫にワクワクしていた。
未だ殺気を潜ませているコマエモンは、まるで獲物を付け狙う猛獣のようだ。迂闊に動くと瞬時に斬られかねん。
「同じ雷魔法の使い手としては相手にとって不足はないですねー! 思い切って殺し合……仕合いましょう! ゴッドヘヴン!!」
すると上空に立ち込める暗雲から巨大な落雷がモリッカへ直撃!
暴れるような電撃を四方に散らし、地響きを伴って、モリッカはスパークを纏って青く輝く。
何故かバサッと後髪が伸び神々しい姿に変わった。
「これが神の雷を身に宿した化身……。ブルーゴッド・超モリッカ!!」
「言い直さぬとも良い! 元来、侍の斬り合いは殺し合いなのでな!」
「あははー、そうですねー!」
モリッカは音を置き去りに地を蹴った。同時にコマエモンも見開いて地を蹴った。
二つの稲光が一条となって刹那の狭間に駆け抜け、互い火花爆ぜるように激突、そして気付けば二人は入れ替わっていて背中を向き合っていた。
「速ッ……!!」
「うむ!」
緊張感走る沈黙の間……。
コマエモンは鼻血を垂らし始め「恐るべし!」と呟き、ほどなく赤面して鼻血ブシャーっと飛び上がって仰向けで倒れ白目でピクピク……。
モリッカはと言うと見せつけるように本を開いて止まっていた。
「なんと亀甲縛り系のエロ本だ────────っ!!」
「まっ、まさかっ!! コマエモンが亀甲縛りを好きだとは────っ!!」
「あの老け顔でそんな事を────っ!!」
あの刹那の瞬間、モリッカは攻撃を投げ打ってエロ本をコマエモンに見せつけたのだ!
堅物で禁欲しているのもあるが、このような緊張走る激突の最中で張り詰めていた神経にエロが入り込んで、しかもコマエモンの性癖にドツボで炸裂────っ!?
「それで今夜の慰めにするがよい!」
したり顔で、仰向けに倒れているコマエモンの胸にエロ本を乗せた。バサッ!
時計塔の広間。高層ビルが囲い合っている。
「決闘!!」
なんとミコトとドラゴリラがカードを展開してバトルしているぞ!
ドラゴリラはブサイクな顔で笑みに歪ませてカードを決闘盤にセット!
「どや!! ワイ最強のモンスター【クネオネェゴリラ】や!」バン!
【クネオネェゴリラ】
オネェ属性・オネェ族・攻撃力:無敵/守備力:無敵
効果:このカードは攻め属性なので攻撃表示でなければならない。相手プレイヤーが男の場合、このカードは可能な限り直接攻撃する。それが成功した場合、自分は相手プレイヤーを掘る。この効果は無効化されない。
説明:最高のオネェゴリラ。誰も敵わないので男は尻を差し出して掘られるしかない!
「バトルフェイズ!! 行け!! ミコトの尻へダイレクトアタックやー! そんでもってワイも全裸や~!! 男色の素晴らしさを身でもって思い知るんや~!!」
なんと脱皮するように衣服を脱ぎ去るドラゴリラ。うほっ!
「フフ……! やはりセクハラをしかけてきたNA?」
「なんやと!?」
全裸ドラゴリラはドクンと見開いて動揺する。
「この瞬間、罠カードオープン!! 【おまわりさんセクハラです】発動ォ!!」
【おまわりさんセクハラです】罠カード。
セクハラが発動した場合に発動できる。セクハラに該当する効果を含むカードの効果を無効化にし、そのカードを現行犯逮捕して永久除外する。この効果は、無効化されないカードにも強制的に効く。
「ま、まさか!? ワイがセクハラをしかける事を読んだ上で入れとったんかい!」
「YES!!」ドン!
なんとどこからか警察官が二人組で現れて、クネオネェゴリラは手錠をかけられてカードと一緒に異空間へ連れ去られてしまう。
ドラゴリラは「そ、そんな~~!!? ワイの作ったカードが~~!!」と涙目で手を差し伸ばす。
なんだよオリカかよ! 違法じゃねぇか!
その隙にミコトはユニコーンのような美しいツノを持つ白竜を召喚する。
「覚悟はできてるKA!! 【ユニホーン・ホワイトドラゴン】で攻撃だZE!! ホーリーストーム!!!!」
白竜の吐く電撃迸る光線が直撃しドラゴリラに炸裂!!
「くぼばあああああっ!!!!」バゴ────ンッ!
黒コゲになったドラゴリラの側で表示されているライフはゼロになった。
「自分の性癖に他人を巻き込むんじゃねぇZE!!」バン!
ビシッと指差してキメるミコト!
だがそんな彼も巨乳にはめちゃくちゃ弱いので、次の対戦相手であるリョーコのボヨンボヨン揺れる双丘を前に敗れ去ったのだぞ……!
ありがとう……双丘……! オレの大好きな双丘……!
「おいィィィ待てェェェ!! そんな事で安らかに逝くんじゃねェェェ!!!」




