67話「デスゲームに参加しちゃった!⑥」
なんと白田マモはスライム女だったぞ!
「あたしに溺れなっ!!!」
癇癪を起こしたスライム女はドバーッと触手を広げてオレに覆いかぶさっていく。
言葉から察するに、全身にまとわりついて体内へ侵入してジワリジワリいたぶって最後には絶望を味わせた上で無残に殺すって事だろう。
確かにこれならどんな脳筋もなすすべがない。
しかし「火炎魔法!」を唱え、全身から爆ぜるように火炎を放つ。
「ぎゃあーっ!!!」
じゅっと大半を蒸発させられ、吹っ飛んだスライム女は地面を転がっていく。
這うような感じで上半身のみのスライム女は表情を歪ませている。ダメージに沿ってかドロドロ崩れているのが窺える。
白田マモは怯えてか、プルプル震えている。
「オレは魔法も得意だ。そして今のが体に魔法を付加させる『形態』だ」
メラメラ炎を纏いながら見下ろす。
「今までやらなかっただけで、その気になれば各属性の『形態』が使えるぞ」
「そん……な……! 剣士如きがそれをっ…………!?」
「そうだな。確かに『形態』は『剣士』では会得は困難かな。上級レベルのスキルだし」
「ま……まさか……、あの超高熱の風呂も……それでっ!?」
「ん、まぁ……。確かに火属性の『形態』なら五右衛門風呂も平気だろうなー」
発動させた魔法を維持させ続ける、付加させ続ける、自分が怪我しないように調和し続ける、を同時に並行して始めて可能な上級向けスキルだ。
更にそれも付け加えて激しく動く戦闘でも維持できるレベルじゃないと実戦には使えない。
永遠のタイマツとしてなら、割と会得者は多いかも知れない。
そもそも『形態』がカンタンにできるんだったら誰だってやってる。オレだって師匠から鍛えられなきゃムリだった。
これは『魔道士』のような魔法専門でなければ、こういう繊細なコントロールは中々できない。
しかも接近戦が得意な『魔道士』は多くない上に『形態』が難しいとなりゃ、使い手は希少なもんさ。
似た感じなら魔法少女に変身する方がまだカンタンかな?
ちょっと長々と説明してスマンな!
「言い残す事はねーか?」
「こ……殺すの?? こんな……か弱い女を……心が痛まないのっ?」
涙を流して怯えているのを見れば、確かに心を痛んで気を緩ませてしまう。
だが、それとは裏腹にドス黒い殺意を潜ませているのが感じられる。
煮え切らない苛立ち、燻る加虐衝動、下卑た欲情……。
「オレを甘いガキだと思ってねーか? このまま見逃せば必ず多くの人を不幸に突き落とす。その残虐性を分かってる。芝居しても無駄だぞ」
「チッ!」
もう通用しないと、舌打ちし邪険に顔を歪ませてきた。
構わず光の短剣をあらぬ方向へ投げつけ、地面に突き刺さって爆破した。
「ぎゃっ!!」
するとスライム女が激痛に悶えた。
コッソリ地中に体の一部を忍ばせて逃れようとしていた所を狙ったのだ。
真上に手をかざし、何本もの光の短剣を『衛星』で浮かせ、それぞれをあちこちに突き刺して爆炎をボンボンボン噴き上げていく。
「ぎゃあああーッ!!」
更に崩れていくスライム女。次第に平べったくなっていく。
「分散して逃げるの見え見えなんだよなぁ」
「や……やめて…………!! お、お願……い…………! 助け……ッ」
「そのセリフ、何度も聞いてるんじゃない? それで見逃した?」
「ヒッ!」
お返しと言わんばかりに鼻で笑う。フッ!
萎縮して顔面真っ青で震えるスライム女。元から青いようなモンだけどな。
刻印でコーティングした、空気はおろか音さえ逃さぬ完全完璧完封ビンの中に、スライム女を詰めて閉じ込めた。
極悪人とはいえ、殺すのは忍びねーから捕獲にしといたぞ。
窮屈で苦しくて悶えているようだけどガマンしてな。
《息が、できなあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ…………!》
キマイラが出てきた方の出入り口を通ると、奥行きの扉がパカンと開けられた。
そしてパンパカパーンとキラキラ紙吹雪が舞い散ってきてスポットライトが照らしてくる。その先にはトランクスーツを乗せた高台がある。
《おめでとうございます!! このデスゲームを生き延びた君には三億円を贈呈しまーす!!》
なんか見覚えのある姫カットの仮面の女がモニターに映る。
「ヤマミだろ?」
《えへ♪》
ヤマミが仮面を外して、おどけるように舌を出す。
これも閲覧者に見せるシーンなのだが、ただの演出の予定。
ヤクザは元々高収入なので受け取る必要はなかった。つまり賞品は囚人やゲストを釣る飾り。
欲をかかせてデスゲームへ積極的に参加させる狙い。
最初っから誰にも渡す事がない三億円である。
それを証拠品として警察に押収させた。
「なんか地味に楽しめたなー」
「突然いなくなったのは驚いたけどね……」
「すぐ助けに来ると思ったんだけど……遅かったな?」
「うん。そうしたかったけど徹底的に潰したかったから!」
オレがいなくなって慌てたが、例のデスゲームと察して夕夏家の情報網に頼って、仮面の男とそれに繋がる裏社会の連中とデスゲーム施設の場所を割り出した。
そして芋づる式に警察へ突き出していった。
残虐な計画性を持つ常習犯として、二度と出られないようにした。
四首領の権力パネェ!
そのためヤマミはすぐに駆けつけられなかったのだ。
全てが終わってから、ついに会いに来れたワケだったとさ……。
「すぐに助けられなくてゴメン。でもあなたなら大丈夫だと思ったから……」
「もういいよ。退屈しのぎにはなったし」
一緒に夕空へ飛んで帰っていったのだった……。←当たり前のように!
ついでに後日談。
数週間後、スライム女を今更思い出したら、ムンクみたいな感じで死んでた。
なんか壮絶な形相だった事を見るに相当苦しかったんだろうな。ごめ!
ヤマミは「死刑になるほどの悪行への報いよ。こんなんでも優しいくらいだけど」と冷淡だった。警察に事情を話して埋葬してもらった。
とりあえず極悪人だけど成仏してくれぞ。合掌チーン!
今回のデスゲーム面白wwwwwwwwwwwww
簡単に泥沼って殺し合うから飽きねぇwwwwwwwwwwwwww
こっち見てるだけやしwwwwwww楽だわwwwwww
仮面のヤツ結局出てこなかったなwwwwwwwww
そりゃ逃げるっしょwwwwwwwwwww
おwwwwww誰か来たwwwwwwwwwwwwww
こっちもwwwwwwwwwww
マジだwwwwwwwwwwwwwww
え嘘wwwwwwwwwwwwww
なにこれwwwww黒いイバラwwwwwおいちょ待t
逃げr
はろぉwww見てるだけじゃ退屈でしょぉwwwみぃんな招待するわぁwww
って事でぇwwww傍観者全員でデスゲーム開幕よぉwwwwwwwwww
ようこそぉwwwwwww魔界オンラインへwwwwwwwwwwww
ブツッ…………!
凶悪創作士紹介!
『白田マモ(暗殺者)』
確認できてるだけでも数え切れない結婚詐欺&保険殺人&毒殺をしてきた。
黒髪メガネのOLの地味っ子っぽいが、計算された風貌と演技。それで多くの男を地獄に突き落としてきた。
性格は残忍で残虐な行為を喜びとする快楽殺人犯。そして死刑囚。
豊満なボディだが、これは軟体化してスライム化できるからである。
性質上、全身をバラバラにされても復活できる。
溺愛の抱擁(全身を覆って体内に侵入して、ジワジワ溶かしていく拷問)
殺意の贈り物(スライムによる弾力で石などを高速で撃ちだす)
愛の逃避行(体の一部を地中などに潜り込ませて逃げる。本体はどっちにもシフトできる)
悲劇の串刺し(スライムボディによるトゲで敵をグッサリ!)
依存の接吻(気に入った男にキスして脳や神経に侵入させて操る。これで奴隷化。ただし操れる距離も広くなく持続性は長くない)
聖夜の搾取(気に入った男を中毒状態にして死ぬまで精力を搾り取る。犠牲者はすごく快感らしい)
威力値:1550(格闘するタイプじゃないので低い)




