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6話「分からせてやる! これが奥義だ!!」

 タッちゃん共に高い威力値を出したアッキーが自信満々とこちらへ対抗心をあらわにしていた。

 俺たちだったら大魔王を倒すのは楽勝、と言わんばかりである。


 いやー……、それは無理なんじゃないかな?



「驕るな! これだからまだ未熟だと言うのだ。この私が手本を見せて進ぜよう……」


 なんとタツロウの厳かな叱責でアッキーとタッちゃんはビクッと身を竦ませた。

 と言うのも無理もない、タツロウ様は厳かな威圧をこもれ出していて全身から研磨されたエーテルを噴き上げていたからだ。

 ギヴヴヴヴ……、激しく振動するような不協和音。濃密に練りこまれて研ぎ澄まされたエーテル。これは並大抵の鍛え方では真似できない。


「本家代々伝わる辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう奥義(おうぎ)……! 宝龍天上天下疾駆ほうりゅうてんじょうてんげしっくッッ!!!」


 タツロウは「ハアッ!!」と見開きながら地を蹴ると大地が爆発。まさに龍が地上スレスレを超速で飛行しているかのような獰猛なエーテルの激流を身に纏いながら疾走している。

 測定装置を通り過ぎる際に、音速を超えた一太刀で薙ぎ払った。


 ゴオオオオオオンッッ!!!


 まるでミサイルの爆撃が起きたかのように、広々と衝撃波が弾け散りまくっていた。

 その凄まじい威力と響き渡る地響きに、誰もが思わず縮こまった。


「30000」


 現時点で最高の数値が弾き出された! 思わず身震いしてしまう!


 ゾクゾクッとしてきて血が昂ぶっていくのを自身でも感じる。

 本物のドラゴンの力を有するマイシはもっともっと強ぇーんだよな。オレ負けてられないぞ。



 城路(ジョウジ)ヨシュアは気圧されながらも、今持てる最高の抜刀術を繰り出しズバーンと「9900」と弾き出した。

 おお、これは中々……。

 無駄のない足運びで初速から最高速度に引き上げ、瞬殺とばかりに神速の抜刀術を振るう。相当鍛えこまれた技だ。


「最後はお前だが、びびってるか?」


 アッキーが挑発するようにヘラヘラ笑う。

 もう勝ちが決まったかのような態度で胸を張ってるのがムカつくぞ……。


「おっと! 数値比べだけじゃつまらんだろう? ここは一つ賭けをしようではないか?」

「賭け?」

「お前と弟二人で合わせた数値で俺の父上の数値を上回れなければ、創作士(クリエイター)を辞めろ!」


 オレはザワッと心底憤った。


 創作士(クリエイター)を辞める。つまり、創作士(クリエイター)の扉を閉じて一般人に戻る事だ。

 ここにはそうした処置ができる断罪の装置がある。

 もし一般人になればレベルの概念が消えて、スキルも何もなくなって非力同然になってしまう。もちろん、異世界へ行くという夢も閉ざされてしまう。


「コラ! タツアキッ!」

「父上! 本家を差し置いて分家が英雄などと、それこそ立つ瀬がないでしょう!!」

「そんな事を言っておるのではない!!」


「いいですよ!」


 オレの返答に、タツロウは「な……?」と振り向く。依然ニヤニヤのアッキー。


「その代わり、オレが勝ったら二度とふざけた戯言を言わないでもらいたい!!」

「できるものならなぁ!!」


 ハハハハ、と腕組みして胸を張るアッキー。よしきた!



「よーし!! 特別にお披露目してやるっぞー!!」


 熱血気力満タン!! 杖を包むように太陽の剣(サンライトセイバー)を生み出し「おおおおおおッ!!」と気合を吠えた!

 周囲から無数の(しずく)太陽の剣(サンライトセイバー)へと激流で収束させていくと共に、ゴウッと烈風が吹き荒れていく。全集中で(しずく)を超濃密度に圧縮させ、足元の地面がボコンとクレーター状に陥没。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!


「なっ!? なんなんだ!? これはぁッ!!?」

「まさか分家なのに独学で辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅうをッ!!?」「ヤツは稀代(きだい)の天才か!?」「バカな!?」

「いや待て違う! ……これは辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅうではないッ!!?」


 誰もが驚愕しまくって、驚きのコメントを次々飛ばしていく。


「これが三大奥義が一つ! 『賢者の秘法(アルス・マグナ)』ぞッ!!」


 オレはデカい刀身を伸ばした銀河の剣(ギャラクシィセイバー)を携え、後光のように星々煌く銀河が造形付加としてオレの背後に浮かび上がってきた。

 アッキーは巨大すぎる威圧にゾクッと恐怖に竦み上がっていた。



「おおおッ!! ギャラクシィ・シャインスパァークッ!!」


 ズッドオオオオオオォォォォォン!!!!


 巨大な銀河の剣(ギャラクシィセイバー)による激烈な剣閃で測定装置に叩き付け、轟音と共に天地揺るがすほどの凄まじい衝撃波を噴き上げながら、周囲全てが震撼。

 なんと「99999」のカンスト数字を弾き出す。


 そのあまりの威力値に、本家たちはあんぐり口を開けて魂が抜け出す。

 


 創作士(クリエイター)センターのとある仕事場で職員は「よ、四〇万以上……!?」と汗を垂らして息を飲んだ。


 通常空間へ帰ってきたオレはヤマミと笑顔でパンと手を叩きあった。



「……いやはや、まさか三大奥義を会得しておるとはな。おかげでタツアキにもいい薬になるだろう」


 タツロウはペコリと頭を下げてきた。

 当のアッキーは真っ白になって魂が抜けたように茫然自失していた。ぷすー……。



「うおおお!! お兄さんスッゲー!!」

「こりゃ美人な彼女いるワケだ! さすが俺の兄貴!」


 振り返るとツバサとヤスシが目をキラキラさせていた。現金だなぁ……。

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