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5話「威力値比べ合戦だぁぁあ!!」

「本当にコイツが大魔王倒したのかよ!? じゃあセンターに来い!」


 なんとアッキーがオレへ指差して喧嘩売ってきた!?

 騒々しくなる一同の視線を集めてしまうオレ。コイツのせいで大魔王を倒したという噂が強調されてしまったぞ。

 くっ! これだけは避けねばッ……!!


「……恐縮です。自分めが指名されるのも……」「うるせぇ!! 来い!!」


 スパーンと能書きを吹っ飛ばすのがアッキーだ。だから嫌なんだ!

 タツロウが「コラ!」と叱るが、本人は鼻息をフンフン鳴らしたまま聞かない。



 ちゅーことで今日は大屋敷で寝泊りして、朝一番に城路(ジョウジ)家は総出で富山市の大きな創作士(クリエイター)センターへ向かう事になった。

 色々手続きして貸切してもらった『威力値計測室』に入った。

 ここでは仮想空間(バーチャルルーム)へ飛んでいって、そこで目標の測定装置(なんかの像)へ攻撃を繰り出して威力値を算出する所だ。


 タツロウはハァと俯いてため息を付きつつも、気を取り直してコホンとする。


「本日、急遽な予定を入れて皆のものに申し訳ない。だが、我が息子タツアキの発案で腕に覚えのある者で威力値を競い合う大会を開く事にした」

「そこのチビ! 必ず参加しろ!!」

「タツアキ!!」


 げっ! 不参加に決め込もうとしてたのに~!


 しかしポンと背中を優しく叩かれて振り向くとヤマミが「大丈夫!」と微笑んで頷いてくる。その美しい顔を眺めていると体の中から力が沸いて出てくる。

「チッ!」「チッ!」「チィ!」

 なんか舌打ちが複数聞こえてくるけど気にしない事にしよう……。



 シュパーン! 参加者が仮想空間(バーチャルルーム)へと転送された。


 意外と少なく、総統タツロウ様を筆頭にアッキー、タッちゃん、ツバサ、ヤスシ、ヨシュア、そしてオレの七人だけだったぞ……。

 なんかツバサは無駄に自信満々で全身から燃えるオーラを漲らせている。

 くじ引きで順番を決めると、ツバサ、ヤスシ、タッちゃん、アッキー、タツロウ様、ヨシュア、しんがりとしてオレになった。

 ちなみに不参加者はモニターでこちらの様子を見れる。



「いっくぞぉぉぉぉー!!」


 まずはツバサが買ったばかりの剣を振りかぶって、全力疾走で突進して測定装置へガゴーンと振り下ろした。すると「760」と数値が弾き出された。

 不参加の人たちは「おおっ!」とどよめく。

 創作士(クリエイター)になりたてで七六〇は割と高い方だ。


 ちなみに成人男性が全力でバットをフルスイングした威力値は四五〇。全力パンチなら二〇〇前後か。



「やっしゃああーッ!!!」


 ヤスシも負けじと槍をガガガガっと連続突きしまくって「520」が出た。

 本人は「ちぇー」と項垂れた。何故か勝ち誇るツバサ。いかにも「自分ってもしかして最強かも!」って酔ってそう。



「兄貴、格の違いを思い知らせてやれ!」

「へぇ……そういうつもりじゃないけどね……。へいへい」


 気が進まないとタッちゃんは前に出ると、コオオオ……と腕を踊らせながら呼吸を整えていく。

 なんかビリビリと空気が震えていく……。

 おっとりしていて人が良さそうなのに、一転して緊迫感させられる威圧を放ち始めた。これは強い!


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう!! 龍鳳(りゅうほう)焔之火葬柱(ほむらのかそうばしら)ッ!!!」


 なんとタッちゃんの周囲を燃え盛る大きな火炎龍が周回し、振り下ろされた手に従って測定装置へ飛んでいった。

 炸裂して弾けた爆炎が轟々と獰猛に火柱を高々と噴き上げていく。

 高い威力を物語るように、地響きが足に伝わって来る。そして「13000」と数値が弾き出されて、一同をビビッと竦ませた。


 なにしろイキナリ万単位で出てきたのだから驚くのは当たり前だぞ。

 なんかツバサが目を丸くしてビビって竦み上がってるな。


 しかし上位火魔法ホノバーンを本家の流派に(のっと)った造形付加で昇華した技か。



「今度は俺の番だな!! フウウ…………!」


 血気盛んだったアッキーは落ち着き払って、戦意を漲らせた威圧で大気を震わせていく。腰を低くし剣をかざしたまま構えると瞬足で飛び出す。オーラの尾を引きながら測定装置へ剣を振るうと爆心地から八頭の龍が四方八方へと飛び去って衝撃波を拡げつつ激しい地響きを引き起こした。

 なんと「16000」とタッちゃんに続いて高い数値を弾き出した。


「これが俺の最高の技! 辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう八宝龍爆砕はっぽうりゅうばくさい!!」


 龍の造形付加された大技だが、見栄えだけのものではなく長年洗練された威力として研ぎ澄まされているのだ。

 一撃目を被弾させると八撃に分裂して対象を引き裂く……っぽいな。


「へっ! 俺たちだったら大魔王なんぞ楽勝だ!」


 アッキーが自信満々とこちらへ対抗心をあらわにしていた。

 いやー……、それは無理なんじゃないかな?



「驕るな! これだからまだ未熟だと言うのだ。この私が手本を見せて進ぜよう……」


 タツロウ様は厳かな威圧を裏付けるように全身から研磨されたエーテルを噴き上げていた。

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