48話「ナッセの悪役令嬢TS転生編①」
城路ナッセ!
数多の並行世界を飛び越え、数々の強敵と難敵と戦い、世界大戦で大魔王を浄化し倒した男!
その者、数奇な運命を背負い、かつ妖精王として覚醒した猛者!
────そんな彼は、また再び新たな舞台へ!?
同じマンションでヤマミのいる部屋のドアをコンコンしていると「開いてるわ」と返ってきて、開けて入った。
夕夏ヤマミ。一緒に並行世界を渡ってきたオレの彼女。
黒髪の姫カット美少女で普段はクール。厳しく取り締まる生徒会長みたいなイメージが強いぞ。最初オレもそう思っていた。
でも実際は親切で優しくて、苦しい時にいつも支えになってくれたぞ。
そんな彼女は、なんか机に接してノートパソコンに夢中になっているようだ。
「ゆっくりしていいわ」
「ああ、うん」
時々来る事があるのだが、女性の部屋って甘い匂いがしてそうな雰囲気……。
きちんと整理されているので本棚のびっしり並ぶ本、家具などが並び、絨毯も綺麗だ。オレのように本を散らかしたりはしていない。
まるで優等生の部屋へ来たみたいで申し訳ないと思ってしまう。
「飲む?」
「いいの?」
「茶とジュースあるけど?」
パソコンに向かったまま質問してくる。構わず「ジュースかな」と答える。
「オレンジ? ブドウ? ポカリ?」
「ブドウだなー」
すると席を立って、冷蔵庫から紫の液体がたっぷり入ってあるペットボトルを取り出して、近くのキッチンでコップを取り出して注いでいく。トレイに乗せてこちらへ歩み寄る。
側にあったダイニングテーブルにコップとお菓子を乗せていく。
ブドウジュースのコップと、チョコとせんべいとキャンディがいくつか入った皿。
「足りなかったら言ってね。まだあるから……」
そそくさと机へ戻って、再びパソコンへ向かう。
少し飲んで食べてゆったりくつろぐ。しかし段々ヤマミが夢中になっているのを気にし始めていく。
「ゲーム??」
「うん。ごめんね。面白くてつい」
「いいよ。でも珍しいなぁ……」
「リョーコが貸してくれた。なんか恋愛ゲームらしいけど」
「へー」
プレイしながら、友達が貸してくれた乙女ゲーについて話してくれた。
主人公の女の子で複数のイケメンと親密度を上げていって、その中の一人を選んでハッピーエンドへ向かうという女性向けの乙女ゲームだ。
オレには縁がないゲームだなぁ……。
ヤマミも最初は呆れながら借りてたんだけど、いざやってみると面白くてそれぞれのイケメンのルートを次々攻略していってるらしい。
「見る?」
「いいの?」
「隠すものでもないでしょ」
オレももう一つのイスに座ってヤマミと一緒にパソコンへ向かう。
まだ途中らしい。主人公の女の子は金髪のショートヘアで可愛らしい。平民だが魔法力が高くて、特別に偏差値高い魔法学校へ入学できたという設定。
そこでイケメンの王子様を始めとして、あらゆるイケメンが多かった。
イケメンの王子様は黒髪でサッパリした性格で話しやすい。剣士で身なりも高貴な服装だ。
他にもワイルド褐色のイケメン、銀髪ロングのクールイケメン、チビで茶髪の明るい子供っぽいイケメン、オドオドしている灰色ボサボサメガネのイケメン、血気盛んで熱血漢な赤髪のイケメン……。
他にも色々いるがこんな感じだぞ。
しかし女性向けだけあってウィンドウの縁が黄金の複雑な装飾で豪勢だ。
「バトルとかあるの?」
「ない。基本的に会話のみ。できる事は選択肢を選んでフラグを立てていくだけ」
……多分男性向けの恋愛ゲームと同じ感じ?
ミニゲームで戦うとかあるかもしれない程度で、基本的に会話と選択肢でゲームが進むタイプ。
今までそういうのが苦手だから、オレは男性向けの恋愛ゲームすらやらない。
ヤマミが夢中になっているから見れる機会ができたってだけかなぞ。
《おほほほほほほ!! ここまでね!! シンシア!!》
なんか嫌な感じのお嬢様が現れたぞ。
金髪でロールを巻いているロング。高そうな赤いドレスでお高く止まっている。美人だが邪に歪んでいる。
取り巻きも嫌な感じのお嬢様ばかりで薄ら笑みしている。
「エリゼ。上級貴族のお嬢様。ロシュア王子の婚約者。いわゆる悪役令嬢ってヤツね」
見ていると、ロシュア王子が主人公をかばって立ちはだかる。
不機嫌になっていくエリゼ。なんか言い争いになっていく。しかし悪役令嬢って嫌ーなネチネチ罵詈雑言言ってくるんだな。とっちまえ!
《私はあなたとの婚約を解消する!!》
《なっ!?》
なんと王子は手際よく証拠を揃えていたらしく、逆にエリゼは青ざめてしまう。その彼女を兵士が取り囲んで連れ去っていく。
なんか赤い背景で黒いシルエットで斬首。効果音とか怖い……。
「ひょえー……」
「結構犯罪的な事してくるからね。報いよ」
この後も色々なトラブルとかあったりしたが、めでたく対象のイケメンと結ばれてエンディング。流れるようないい音楽が余韻に浸らせてくれる。
…………なんだか眠いな。うと……うと……。
「もうお朝でございます……」
オレはムニャムニャと瞼を擦り、身を起こす。
なんか立派なベッドにメイドが数人。部屋も立派だ。ん? んん???
「え? ここ夕夏家?? いつの間に……!?」
「エリゼ様……。どうかしましたか?」
「ん? オレはナッセだぞ?」
なんか困惑したメイドがオドオドし始めてきた。
厚い毛布をよかして足元を床につけようとすると、メイドがささっとスリッパをはかしてくれる。
夕夏ヤマミの家はすげぇ大金持ちなんだよな。いつの間に連れ去られていた?
ヤマミならやりかねないな。
眠らせて、そそくさと実家へ持ち帰るなど造作もない。
……そんな手間をせず、その場で寝込み襲えばいいのにな。←おい
「ん、ありがと。でも一人でできるぞ」
高そうなスリッパがモフモフ。
で、顔を洗おうと「手洗いは?」と言うとメイドが手を差し出して「あちらでございます」と答えてくれた。
バシャバシャ顔を冷たい水で洗いスッキリして鏡を見る。
金髪美女がそこに映っていた。
「は? はあああああ??」
頭に衝撃が走ったぞ。ガガァァァァ────────ン!
初となる「転生したら悪役令嬢になった」ですw
書いているのが男のオレなので、需要あるのか分からないけど独自の解釈で挑戦してみますw
この『悪役令嬢転生編』に限り、二日ごとに更新していきますw




