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291話「リベンジクラッシュ編 ⑰冒険開始!」

 夜が更けた頃、キュリアは自分の部屋でロン毛だった髪型をサッパリしたスポーツ刈りに切った。スーツだった服も変えて隊士服みたいなのにした。

 ねっとりした卑しい目つきもキリッと変貌してて、別人かと思うほど!


「……よし! これまでの俺とは決別だ!」


 ナーセ、モリオン、オガッサ、ドラゴーラ、フクダールと共に歩んでいく事を決意。

 復讐ばかり考えていたが、もうそれに(とら)われる必要はない。

 これからは自分の道に真っ直ぐ生きるのだ。


 するとコンコンとドアをノックする音が聞こえた。

 ドアを開けてみるとナーセがモジモジしていた。


「ナーセか? なんの用だ?」

「あの……せっかくだからナーセって名前を変えたいと思って……」

「なにか理由があるのか?」


 ナーセは頷いた。


「ナッセと間違われるくらい紛らわしいかなって……。どうせなら自分らしい名前がいいなって」

「何だそんな事か。別に構わんぞ」

「あ、ありがとうございます!」


 嬉しそうにナーセは顔を(ほころ)ばせる。

 キュリアはそんな息子のような彼の喜びに、どことなく浮き立つ気分を覚えた。


「名前は決めてるのか?」

「うん、オレの名前は──……」




 そしてその翌朝、ナーセはバンダナを頭に巻き銀髪を逆立たせて気を引き締めた。

 ナッセと同じ遺伝子、そして違う心身を持つ者として、心機一転の意味で……。


「今日からオレは城路(ジョウジ)セナだぞ!」


 キュリアたちと一緒に、セナは“新しい道”へ一歩を踏み出した。




 キュリア、セナ、モリオン、フクーダル、オガッサ、ドラゴーラが集い、朝飯を済ませて本拠地を出た。

 森林生い茂る中で獣道を進んでいくと、真っ直ぐ突き立つ岩山が見えてきた。

 その岩壁に、ぽっかりとアーチ型っぽい黒い穴が……?


「これが『洞窟(ダンジョン)』だ」

「「「これが……!?」」」


 セナたち人造人間にとっては初めて見る。

 手本を見せるようにキュリアが穴に入るとズブズブ水面に潜るかのように波紋を立てていく。みんな入っていくと、広大な洞窟(ダンジョン)エリアに移転した。

 見渡せば廃炭鉱みたいな人工的な雰囲気がある。


 左右の岩壁には木の板を張り付けていて、天井には等間隔でランプが灯っている。

 しかし単なる廃炭鉱でない事は一目瞭然(いちもくりょうぜん)


 フロアとフロアで角度が違う上に重力の向きが違うので、踏み入れるたびにガクッとする。

 細長く続く通路でフロア同士を繋げているが、階層もなく分岐している事があり、よけい複雑な迷宮になっていた。

 一応線路があってトロッコがあるが、鉱石などを運搬する為に引いているのではなさそう。

 やはりダンジョンの装飾用。



「気配が! 来る!」


 オガッサがピクッと察知し、キュリアたちは身構えた。

 床に影が浮かび上がって数匹のモンスターが立体化してきた。


 怖いツラした岩の赤ん坊が8匹、岩石のワニが3匹現れた!


【岩小僧】(大地族)

 威力値:800

 岩石の赤ん坊みたいなモンスター。見た目とは裏腹に凶暴。体当りしてくるだけだが硬いので痛い。下級下位種。


【イワニ】(大地族)

 威力値:1100

 岩石のワニモンスター。皮膚が硬いのが厄介。噛み付かれたらもがれるぞ。下級下位種。


 キュリアたちはブッキー(買い揃えた)を抜き放つ。

 フクダールだけは後方でキン○ダムの王騎○軍みたく微笑みながら腕を組んで見守っているぞ。


「まずはオレだぞ!」


 まずはナーセことセナが剣のブッキーを突き出す。

 開幕でシークが機関銃のように光の矢の集中砲火した、あの技!


「スター・パラージ!!」


 光の矢連射による集中砲火が軌道上にいた岩小僧を数匹粉々に、しかも薙ぎ払うように剣を横へと動かすと他のモンスターも巻き込んで殲滅(せんめつ)してしまう。

 キュリア、モリオン、オガッサ、ドラゴーラは「おお……」と驚く。


「よし! 進もうか」



 いくつかのフロアを潜っていく際に上下左右斜めと分岐とルートが続いていた。

 重力がフロアごとに違うせいもあってか、方向感覚が混乱しそう。

 マッピングでもしなければ確実に迷う。

 それはオガッサがカキカキしてくれたので大丈夫そうだ。


「来る! 恐らく十匹以上」


 モンスター出現に気づくオガッサに、キュリアは役目を見出しつつあった。

 前衛で戦わせるより、補助系創作士(クリエイター)として育てた方が伸びるんじゃないかと……。


 言われた通りスライムが12匹現れた!


【地下スライム】(スライム族)

 威力値:500

 地下水に住むモンスター。水と同じ色なので、水の中から判別は難しい。摂食する際に融解するのだが遅すぎるので、基本的に体当たりがメイン攻撃。下級下位種。


「今度は僕に任せてくださいっ!」


 モリオンが杖のブッキーを振りかざし、胸元の宝石ブローチがキラッと輝いた。

 華やかな背景をバックにクルクル踊り舞って、パッパッパと衣服が変わっていって緑の魔法少女衣装にッ!!


「マジカルピュア☆モリオンですっ!! あなたに魔法をバッキューン!」


 明るく笑顔で決めポーズ!

 キュリア、セナ、オガッサ、ドラゴーラは「えぇ……」とドン引き。

 フクダールは相変わらずキン○ダムの王騎○軍みたく微笑みながら腕を組んで見守っているぞ。


「セイクリッドファイヤー!!」


 名前を変えただけのホノバーンを『衛星(サテライト)』で浮かし、分割して爆撃だ。

 バババババッとスライムどもを撃ち貫いていく。


「ホーリーシャイン!!」


 スライム1匹程度なのに、容赦なく光魔法(レヴ系)による光柱を噴き上げてドーン!

 光柱から波紋のような光の波がパシューッと広がっていく。


「ボクが不浄の悪をキラキラにしちゃいますよー! ふふっ」


 片目ウィンクしながら、決めポーズして勝利宣言。

 キュリア、セナ、フクーダル、オガッサ、ドラゴーラは「…………」と沈黙。

 それでもモリオンは活き活きしてて(さわ)やかな笑顔だ。


「と、ともかくツボにはまると強いってのが分かった……」


 キュリアは汗を垂らしながらも『洞窟(ダンジョン)』に来てよかったと思った。

 経験を積んでいけば色々な事が分かっていくし、戦い方も固まっていく。なぜ最初っからそうしなかったのか、と後悔さえする。

 それは復讐で目が曇っていたんだろうと思い返す。


 次の戦闘ではドラゴーラが恐竜のようなリザードマンになって、凄まじい膂力(りょりょく)でモンスターを叩き潰した。

 ……こうして数回の戦闘をクリアしていったぞ。


RESULT(リザルト)】 テロテロテッタッタ──!


 夕夏(ユウカ)キュリア(威力値:5500→6300)

 城路(ジョウジ)セナ(威力値:4600→6000)

 和木(ワキ)モリオン(威力値:2600→5600)

 博士(ヒロシ)オガッサ(威力値:1950→2700)

 真武(マナブ)ドラゴーラ(威力値:2100→7550)

 武雄(タケオ)フクーダル(威力値:20000)

あとがき


 もうそろそろ『リベンジクラッシュ編』終わります。

 主人公ナッセ全く出てないってのも珍しいシリーズですね。

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