281話「復讐王子⑦ 頑張れ!!」
重量任せの突進のみの小回りの利かないトリケラプスことトリ夫をフォローする為に、上空からコンドルが羽毛の矢を飛ばして敵の邪魔を行うハメ技!
さしものキュリアは初戦のダメージに加えて右肩、背中に羽毛の矢が刺さっていて満身創痍。
「はぁはぁ……はぁはぁ……はぁ……」
辛く苦しくて体が鈍ってて、激痛で呻きもする。
滴る血の音が聞こえる。
トリ夫が再び煙幕を巻きながら迫ってくる。ドドドドドッ!!
キュリアにとっては初めての満身創痍。
これまでは夕夏家刻印によって、手下のエネルギーをもらって莫大な力を発揮していた。それを自分の実力と思い込んで自惚れていた。
マイシに半殺しされるまではな……。
今や夕夏家は大幅な改革が行われて、夕夏刻印はヤミザキのみになって、長かった支配体制は終わった。
だが、どのみち夕夏家に甘えず生きていこうとする意志は変わらねぇ!
どれだけ苦難の道を歩もうとも! その決意でキュリアは吠える!
「うおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
ドガガアァッ!!
トリ夫の巨体が重量感たっぷりに突進して、建物の中へと破壊しながら突っ込んだ。破片が飛び散り、煙幕が巻き起こる。
ナーセ、モリオン、オガッサ、ドラゴーラは「ああっ!」と声を上げる。
コンドルに乗っているモーレは勝ちを確信してフッと笑む。
「既に手負いだったんですし、でもよく戦えてましたね。ですが……」
「労ってくれてありがたいぜ!」
上から声がしてモーレは見開いて、見上げる。
なんとキュリアが飛んでいて、剣を振り下ろそうとしている。まさか!?
「俺も飛行スキル持ってんだぜっ!! 終わりだーっ!!」
「なああああっ!!?」
驚愕で見開くモーレへ刀剣波を放ち、道路まで破壊の波が滝のように降り注いだ!
「ぐあ……!」
モーレ爆散して棺桶化。
苦しいながらも降り立ったキュリアは屈む。へへ、と笑う。
かつては空を飛べるスキルで自由に飛び回っていた事があったが、夕夏刻印なき今は僅かな時間のみになっている。それでも充分、今の対戦相手に通じた。
「キュリア! 二人目勝ち抜き!!」
ナーセ、モリオン、オガッサ、ドラゴーラは「うおおおお!!」と大歓声を上げる。
『桜蓮シュレンザ』<ホォォォ~! シュシュシュ!
「二年生の次の選手は────『望海アレックス』!!」
強面で身軽な服装の小太りオッサンだ! ザッ!
満身創痍で息を切らすキュリアと対峙。
「オメーはようやったよ。まぁ勝ち抜き戦なんで覚悟してくれや」
望海アレックス(威力値:1700) VS 夕夏キュリア(威力値:5500)
右手に剣を、左手には逆手に持ったナイフ。
卑しそうに舌を出しながら「ひゃっはー!」と襲いかかる。キュリアは苦い顔ながら剣を振るって刀剣波を扇状に放つ。
ドドドオ────ンッ!!
「ぎえー!」
アレックスは呆気なく吹き飛んで棺桶化。
「キュリア! 三人目勝ち抜き!!」
ショボンとアレックスは退場……。
特徴的な戦い方をするアオやモーレと違って、それなりに戦えるだけの普通のオッサンも同然。
『桜蓮シュレンザ』<ホォォォ~! シュシュシュ!
「二年生の次の選手は────『亜蓮バレント』!!」
赤髪を逆立たせていて、炎の模様を着たローブの好戦的な男。
杖型のブッキーを手にニヤリと笑む。
「はっはっはー! 焼いてやんぜーっ!!」
亜蓮バレント(威力値:5200) VS 夕夏キュリア(威力値:5500)
杖ブッキーをかざして、二つの火炎球を『衛星』で浮かす。
「全弾斉射!! ホノビ散弾!!」
火炎球を分割して散弾銃のようにドドドドドドドドドッと斉射。しかしキュリアは扇状に広がる刀剣波を放って対抗。
火炎弾の嵐を吹き飛ばし、バレントへ覆いかぶさる。
見開くバレントは横へ飛んでかわす。
通り過ぎた刀剣波は向こうまで破壊を撒き散らした。ドドーン!
「いいねぇ!! 燃えるわ! ホノビ追尾弾!!」
横へ回り込みながら火炎球の『衛星』を生み出し、分割した火炎弾で斉射。
キュリアは「くっ!」と横へ飛ぶと、火炎弾は軌道を変えて追跡。
いくら方向を変えようが、追いかけてくる!
「ならばっ! こうだあああっ!」
剣を地面に突き刺して刀剣波を撃つ事で、地面から噴き上げる壁が火炎弾を全てボボボボンと誘爆させた。
「その手があったか! じゃあホノバーン炸裂弾!!」
浮かせていた大きな火炎球を、杖で振り降ろす事で発射。
更にあらかじめ別で浮かせていた『衛星』火炎球が時間差で散弾を乱射。
どっちも別角度からの攻撃。刀剣波だとどっちかしか相殺できない。キュリアが飛ぶ事も相手は想定しているので逃げ場はないに等しい。
「く……!」
ドゴアアアアアンッ!!
灼熱の火炎が燃え盛って高々と噴き上げた。
バレントはニッと笑って勝ちを確信。すると細い光線が爆煙から飛び出してバレントの胸を貫通した。ズッ!
「な……!?」
ドドン! キュリアとバレント爆散して、ほぼ同時に棺桶化。
ナーセ、モリオン、オガッサ、ドラゴーラは呆然……。
もう耐えるも躱すも不可。ならばと、相討ち狙いで細く収束した刀剣波でバレントを射抜いたのだ。
「キュリア! 四人目勝ち抜き! が、相討ちの為敗退ー!」
重い足取りでキュリアは「すまん……。あれが精一杯だった」とナーセ、モリオン、オガッサ、ドラゴーラの元へ戻る。
「そんな! 必死に闘うのを見て胸を打たれました!」
「そうだぞ! よく戦ってくれたぞー!」
「あ、ああ……。よく戦った。お疲れ様です」
「せや。よう戦ったわ」
キュリアは労われる嬉しさで感激が胸を満たす。
こいつらと一緒になってよかった、と安堵の笑みを見せる。
『桜蓮シュレンザ』<ホォォォ~! シュシュシュ! ←しつこいw
「大丈夫ですよ! こっちにはオガッサとドラゴーラがいます!」
「ギクッ!」
オガッサは肩を竦めて顔色を青くしていく。
「せや! ワイが全部片付けたるわ~!!」
「おお! ドラゴーラさん頼みますぞ!」
「頼もしいですね!」
士気高揚とドラゴーラは対戦に向かう。
それをキュリアは「…………」と不審に見送っていた。
「始め!!」
中華服を着た、黒髪マッシュヘアの目が細い優男。
それに対するはほぼドラゴリラの容姿をしたタレ目オッサンが自信満々と対峙。
桜蓮シュレンザ(威力値:5400) VS 真武ドラゴーラ(威力値:50000)
「ホオオオオオオオッ!! 頑張弾ッ!!」
シュレンザの左右に高速サイドステップしながらの高速拳ラッシュが、ドラゴーラの頭にガガガガガガガガガガガガガガッとエグいほど叩き込まれた。
ドン! ドラゴーラ何もできず棺桶化。
「シュレンザ! 一人目勝ち抜き!!」
思わぬ結果にナーセ、モリオン、オガッサ、絶句。嘘だろ……。
キュリアは「やっぱりか……」と曇った顔で俯く。ガクッ!




