275話「リベンジクラッシュ編 ①復讐王子!」
まるで逆鱗に触れられて怒り狂う火炎竜が、アギトを開けて襲いくるかのようだった。
「てめぇ!! ぶっ殺すしッ!!!」
怒りのままにマイシは荒ぶる竜のオーラによる剣でキュリアを滅多打ち。怒り狂う竜のなぶり殺しにも等しいほど、激しい剣戟が荒れ狂う。
繰り返される『炸裂剣』は空で連鎖し続け、鳴り止む事がなかった。
キュリアの腕、足、腰、背中、肩、バキボキと骨を砕かれ、なおも嵐のような剣戟は止まない。
「ぐぎゃあああああああああ!!!!」
夕夏家第八子、夕夏キュリアは飛び起きた。はぁはぁ息を切らしていて、冷や汗で全身が濡れている。
あの時の悪夢をまた見たのだ……。
「あのアマ……!」
煮えくり返る憎悪で歯軋り。ギリィ!
ガション、と床に足を下ろす。機械仕掛けの足。なんと義足だ。
パジャマを脱ぎ去ると両足両腕、右肩、顔の上半分がサイボーグになっていた。
「ふざけんなよ! トラウマ植え付けやがって!」
苛立ち紛れにガシャンとタンスを殴り砕く。
……と完全な後付設定ではあるが、サイボーグ化していると復讐するキャラとして映えるよね。メタァ!
再生設定ガバガバだが気にしないでね。メタァ!
「だからこそ、盟友であるオカマサとドラゴリラが残した遺産を俺様が引き継いだのだ!」
バサッと黒いコートを着て悪の親玉的な風貌で部屋を出る。
無機質な工場みたいな通路を静かに通り、研究室へ入っていく。淡く灯る培養カプセルが並んでいた。
「リベンジクラッシャーズ待たせたな! 俺様が新マスターであるキュリアだ!」
マントのようなコートを片手で靡かせ、培養カプセルの側にあった装置をカチカチ操作する。
すると、プシューといくつかの培養カプセルが開かれていく……。
目を覚ました人造人間たちがザッと足を踏み出して、規律よく並ぶ。そんな彼らにキュリアはニヤッと不敵に笑む。
「ずいぶん長い眠りから覚めたばかりで悪いが、働いてもらうぞ」
「……学院の生徒と入れ替える計画がついに?」
「こちらは既に心の準備は整ってマース」
「が、頑張ります!」
「ひい……、ついに来たかー!」
彼らはアニマンガー学院の生徒を模した人造人間たちだ。
本来ならオカマサとドラゴリラが保護の名目で一人ずつ連れ出して秘密裏に処分してから、彼らに入れ替える手はずだったのだ。鬼畜である。人の心とかないんか?
でも頓挫して本編では出てこれなかった後付けキャラだ……。メタァ!
「そうだ。だが前の計画がなくなったから、新しい計画に切り替えた。では点呼するぞ」
オリジナルの生徒はまだ存命……。
だからこそ、この人造人間の戦闘力で排除するのだ。
「武雄フクーダル!」
「ウス!」
シワを刻んでて唇が強調されたブサイク面。チェック柄のシャツを模したアーマーを着てて、目の奥が見えぬ尖った形状のメガネの大柄な男。
フクダリウスに成り代わる者。
「目金ノーウェン!」
「ミーは知的デース!」
半顔であるもののブサイク。優男半裸で筋肉質。なぜか後ろ向きで背中の筋肉を誇示している。
ノーヴェンに成り代わる者。
「和木モリオン!」
「僕は頑張ってみせます!」
ネズミ顔のブサイクな少年っぽい魔道士。出っ歯が出てる。
モリッカに成り代わる者。
「小路ナーセ!」
「お、オレは懸命に頑張るんだぞ! でも緊張するぞ! ひえええ!」
銀髪でニンジンぽいブサイクヅラ。オドオドしてて臆病さが見て取れるチビ。
ナッセに成り代わる者。
「範馬リューコ!」
「ずっと暗い所でカプセルの中に入ってたもの、さっさと表に出たいわよ!」
金髪オカッパでゴツい体格とブサイク顔のオネェ。
リョーコに成り代わる者。
「柿園エレン!」
「培養カプセルから開放してくれたのは感謝するッ!」
長身スレンダーでムキムキな男。黒髪ボサボサでオッサン。
エレナに成り代わる者。
「龍雅マイガ!」
「へっ! やってやるぜが!」
赤髪ボサボサでヤンキーっぽくてブサイク男。
マイシに成り代わる者。
「草加コマク!」
「僕はイケメンだよ」フッ!
紫ロング。かなりのデブで顔もブクブクですごくブサイク。臭う。
コハクに成り代わる者。
「博士オガッサ!」
「燃え上がるぜ! バーニング!」
男らしいモミアゲでイケメン! 真っ直ぐな青年で自信満々な笑みが耐えない!
オカマサの器になりし者。
「真武ドラゴーラ!」
「おう! やったるわ!」
あごヒゲがナウいイケメン! 長身でキリッとしてて渋い!
ドラゴリラの器になりし者。
オガッサとドラゴーラがキラキラ清涼感あるイケメンに対し、それ以外はブサイクで小悪党っぽいのが否めない。
だがキュリアは事情を知っていた。
イケメン風に仕上げたオガッサとドラゴーラは、元々オカマサとドラゴリラが新しい体として作り上げたクローン。
自分二人だけがイケメンで、残りはブサイクという悪意満載な創作である。
しかしオカマサとドラゴリラがモンスター化して頓挫。後にクラッシュオーガを使って地球をメチャメチャにしようとしたが失敗。四首領ヤミザキが戦争をしかけて大魔王とか現れたりでドタバタして忘れられた。
現在じゃオカマサとドラゴリラは行方知れず……。
だが、キュリアはそれを好機と思った。
威力値が五〇〇〇〇と高めに造られたオガッサとドラゴーラの脅威的な戦闘力を活かさない手はない。
「みなのもの、俺様がマスターだ! これからアニマンガー学院を乗っ取る!! さぁみんなで殺戮劇を楽しもうではないか!」
キュリアは復讐心を滾らせて、拳を突き上げる。
オガッサ、ドラゴーラ、コマク、マイガ、エレン、リューコ、ナーセ、モリオン、ノーウェン、フクーダルも「おおー!!」と一斉に拳を突き上げたぞ。
「マイシーッ! 生徒どもども地獄に突き落としてやるぞーッ!!」
リベンジクラッシャーズを率いてキュリアは昂ぶったッ!!
アニマンガー学院へ、いざ出陣ッ!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!! (臨場感擬音)
二〇一〇年一月十二日の始業式きたる────!