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271話「クリスマス! ~エレナ編」

 二〇〇九年一二月二五日! クリスマス!


 大阪の夜は華やかで、そこかしこにイチャイチャカップルがハートを撒き散らしていたぞ。

 ラボホテルは満室でアンアン喘ぎ声が絶えず、行列ができる始末。

 公園なんかは茂みのあちこちで発情した男女が入り乱れる。


 ああ~んw あんああんw あああ~~んw あんあんw あんああんw


「あちこちリア充発情カーニバルしやがってッ!」


 エレナは一人悶々と歩いていた。むむー!

 そんな彼女の前にザッと二人が阻んだ。

 横幅の広いロリコンAと優男ロリコンBが“ぐへへ顔”“もっこり状態”で現れた!


「ねぇねぇ君、一人であぶないよ? 俺らと遊ばね?」

「そのちっぱいで遊ばせてよ~」


 ドガガン!!


 ロリコン二人、速攻ビルの外壁にめり込んでシュウウ……!


「サッカーボールの方が遊びやすいッ!」




 同じ仲間だと思ったリョーコは斧女子アイドルグループでクリスマス会やってるし、スミレは既に男でブラクロ(♀)と発情合体してるだろうし、クスモさんは小動物にメロメロだし、マイシは戦闘民族だから論外だし、クラスメイトの女性陣は全滅……。


「ジャマミさえ、ダーリンを横取りしなければ~~ッ!!」


 最初に出会って、ぶつかったのエレナだった。

 好みのツボに入ったのが銀髪の少年風のイケメン青年。普段は頼りなさそうな内気だが、いざ戦いとなるとキリッと格好良く臨む。おまけに強いし優しいし……。

 なのに後から来たヤマミに持ってかれた。リョーコもいたのに持ってかれた。


「許されるはずがないッ!!」


 呪詛でもしたい気分だった。

 だがヤマミなら呪詛返ししかねないと思いゲンナリ……。


「あたしのクリスマス寂しすぎッ!」


 マンション一室でエレナは倒れるようにベッドへ寝入った……。



 大阪の都会真っ只中。青空で明るい。


 桃色の髪の毛のベリーショートにポニーテール。いくつかバッジを付けたTシャツにデニムという軽快なファッション。スタイルも良く、胸が目立つように大きい。

 大きくなった状態のエレナは自分の姿を見てビックリ!


「これ夢ッ!?」

「待たせたな」


 ドキッと胸が跳ね上がる。

 なんと背の高いナッセが爽やかな笑顔で手を振ってきたからだ。そうデートの待ち合わせなのだ。

 白銀でキリッとした王子様のような顔。服もオシャレでネックレスとかしてる。


「行こうか」

「え、うんッ!」


 ナッセの腕に組んで密着して歩く。夢のような幸せで感激。

 自分の大きな胸でムニムニしてちゃっかりアプローチ。


 遊園地へ行って、一緒にジェットコースターに乗ったり、コーヒーカップに乗ったり、お化け屋敷でヒエヒエしたり、絶叫マシーンでスリルを味わったり……楽しすぎる時間にエレナご満悦。

 休憩でアイスを二つ持ってきてくれた優しいナッセにじんわり感激。


「美味しいッ!」

「それは良かった」


 一緒に食べるだけで幸せ満腹。

 それなのに食後にナッセが不意に唇を奪ってきて、ドッキューン満腹。


「美味しくいただきました」

「あ、あ、あたしもッ!」


 夕日に薄暗くなった空の下、エレナはデレデレでナッセの腕に組み付いたまま歩道を歩いていく。次第に周りの風景がそれっぽい雰囲気になって気づいた。

 華やかなライトが看板などを照らすラブホテル並ぶ所……。


「あのッ……?」ドキ!

「オレは……どんなスイーツよりも何よりも召し上がりたいものがある」

「ど、どんなッ……??」ドキドキ!

「ふふっ! たべちゃいたいなぁ~! キ・ミ・を!」


 攻めるナッセがギャップあって良き。

 悪魔的な笑み。今まで天使のような優しい笑顔が多かっただけに新鮮すぎる刺激。

 気づけばラブホテルへ連れ込まれ、ドキドキとエレナは心音高鳴らせていた。


 可愛らしい装飾の丸いダブルベッド。

 ナッセは上着を脱いで、スラッとした裸を見せてきてドキドキ昂ぶる。


「初めてかな?」


 エレナはコクコク頷く。

 覆いかぶさってきて押し倒され、互い口を繋げ、味覚器官で絡ませてきて頭が甘い蜜で蕩ける。更に彼の手が服を潜り、体表を這いよってきて敏感な部分をイジめてくる。


「あッ、ああッ……、だめッ……!」


 好きな人に求められ、自らの体を弄られる喜び。

 服を脱がされて自分の裸体を見せてしまう恥ずかしさはあったが、それでもいいと受け入れようと「きてッ」と流し目で誘う。

 甘美的な交わりを繰り返し、いい気持ちがドンドン最高潮へ昇るよう……。



 ゴロゴロドッタン!!


 ベッドから転げ落ちて、エレナは目が覚めた。

 しばし大の字で床で転がっていると、夢の事を思い出す。

 ナッセとデートして最後に恥ずかしいコトしてたけど気持ちが良くて、最高に幸せな……。


「夢から覚めないで欲しかったッ! むしろ夢の世界へ永住したいッ!」


 ぬぐぐ、と涙目で悶えていく。

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