250話「インドピース・最終決戦篇⑬ 大死闘ァ!!」
「アクトァ! いい加減墜ちちまえァ!」
ドォ──────────ンッ!!
なんとダウートを起点に輪状の閃光が拡大化して広がっていった!
キュッと世界の事象全ては遅延し、限りなく時の静止に近づいていく。その中でダウートのみ通常通りの動きで駆け出す!
四方八方から無数の如意棒襲いかかるのを見て、アクトは戦慄ァ!!
「全魂乱舞! 時の限界を超えて暴れ回れ!! 如意金箍棒!!」
「っち! バーロォー!! 墜ちんのはテメェの方だァ!!」
ドォ──────────ンッ!!
しかしアクトも自身を起点に輪状の閃光を広げた!?
な、な、な、なんとォ───!? ダウートのみならずアクトまでも三大奥義が一つ『超越到達の領域』を発動ァ!?
「ぬうァ!! 貴様も三大奥義をァ!?」
アクトが左右に分身し始めてダウートを取り囲んで、一斉に突きの構えを取る!
一ミリもズラす事なく柄を五指で器用に回し続け、刀そのものを超高速回転させてブイイイイイイイイッと振動音を響かせ始めた!
そのまま一斉にダウートへ突進し、回転させた刀を突き出すァ!!
「心剣流・十二身・九十六刀・修極螺旋翔ァ!!」
ダウートの振るう分身打法と、多重影分身アクトの回転刺突が激突ァ!!
その刹那、超高熱プラズマによる発光が全てを覆ァ!! カッ!
ド ン!!!
「!!!!!」
インド大陸の中心から凄まじい衝撃波の超絶大噴火が宇宙にまで及び、更にその衝撃によって土砂を巻き上げた大津波が波紋状に広がっていったァ!
天候さえ狂うほど、超大嵐と超地震が余波として巻き起こった!
それによって原型を留めないほどにインド大陸はバラバラにされ、更に巻き起こった津波の嵐により細かく砕かれてゆく!
隣接していたパキスタンやネパールなども被害を被ったァ!
ヒマラヤ山脈も粉々に吹き飛び、その破片が他の大陸へ流され二次被害ァ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!
オレは「攻撃無効化!」と手をかざして、他に倒れている仲間を守ったぞ!
ちなみにヤマミが時空間魔法で、散らばっていた仲間たちをかき集めて、オレの無効化範囲内に入れてたから無事だぞ!
しかし、吹き荒れてくる大規模の大嵐と、壊滅級の地震にどれだけ長く耐えられるか……?
「ぐぐ……!」
「頑張って! ナッセェ!」
なおも衝撃波の津波が何重も吹き荒れていて、破壊規模が大き過ぎる!
オレはヤマミと『連動』して、満身創痍ながら必死に無効化空間を保って踏ん張るしかねぇ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
それは地球をも揺るがすほど!
二時間と三十分で、ようやく余震と嵐が収まり、煙幕が流れて晴れて……。
オレは力尽きて変身が解けて、へたばってしまう。
「す、すまねぇ……! もうオレは……!」ガクッ!
「体力回復させるから!」
ヤマミが急いで全回復魔法をかけるが、おそらく焼け石に水だろう。
息を切らしながら、辺りを見渡す。
爆心地は大きな穴を空けていて底が見えず真っ暗だ。周辺は粉々に裂けた大陸の破片が『諸島(複数の島がまとまっている)』のようになっているぞ。
なんか向こうでザザザァって聞こえて振り向けば、濁った海水が亀裂を通って流れ込んでくるようだ。
直に、爆心地も海水で満たされる事だろう。
「ひ、ひでぇ……ありさまだなぞ…………」
なんか薄暗いと思ったら、空は暗雲で覆われていたぞ。
普通の暗雲ではない。
黒い霧みてぇなのがモヤモヤしてて、やや視界が悪い。
そこらじゅう灰色的な背景だぞ。
「……インド人生きてっかな?」
「絶滅してる気も……」
こんな大陸が粉々になってるし、前々から嵐とか地震とか起きてたから、お察しかな……?
これが威力値100万オーバー同士の戦いか。
ほぼ人類滅ぶんじゃないかってくらい、被害がデカすぎる。
「ってか、元に戻せるのー?」
リョーコが聞いてくるが、そんなんできるワケないやん。ドラ〇ンボールじゃあるまいし。
するとガッガッガッと鈍い打撃音が聞こえる。
オレは目を凝らすと、向こうの破片の上でボロボロになったダウートとアクトが半裸の姿で殴り合っていた。
お互い変身も解け、通常形態だぞ。
「このクソ若造がァァァァ!!」
「このボケ老害がァァァ!!」
ドゴォッ!
「!!!」
七メートルもある体格のダウートと、普通に人間サイズのアクトが互角に殴り合っているぞ。
激しい息しながらも、必死に殺意を漲らせて、握りしめた拳で相手を殴る!
オレは察した……。
さっきの大激突で大陸とか裂けて嵐とか巻き起こっている最中でも、あいつらは二時間半も殴り合ってたんだ。
痛々しい赤いアザがお互いの半裸に増えていって、血筋が垂れている。
立つのさえ辛いほどの手傷を負いすぎているのが分かる。
「ぬおおおおおおおァ!!」
「があああああああァ!!」
ガッ! ズガッ! ドゴ! バキャ! ガスッ! ボスッ! カブッ!
獣のような叫びを上げながら無骨な格闘を繰り返していた。
オレたちは眺めるしかできねぇ……。
アクトがダウートの腹へガガガガガガガガッとラッシュを叩き込めば、今度は両手を組んだダウートがアクトの頭上へ振り下ろして地面に埋める!
それでも修羅の形相で睨み合いながら、食い殺さんとする勢いで、血にまみれた拳を振るう!
両者とも顔がボコボコに腫れて、血塗れ!
「「うがあああああああああああああああッッ!!!」」
ガ ゴ ンッ!!
アクトとダウートが頭突き合って、白目でフラリと後ろへ仰け反っていく。
しかしグッと堪えて、前屈みに仕切り直し。
ハアッハアッハアッハアッハアッと苦しい息をしながらも、ダウートとアクトの眼光は衰えていない。
「さっさとくたばれァァァァ……!!」
ダウートの大きな腕が踊り、拳がアクトの顔面を殴る!
「テメェこそなァァァァ!!」
お返しと言わんばかりにアクトは飛びかかって、ダウートの顔面に拳をめり込ませる!
それでも倒れない二人は激しい拳の乱打をノーガードで撃ち合う!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!
頬を、腹を、脇を、胸を、足を、あらゆる部位へ殴打、血飛沫が舞う!
完膚なきまでに痛めつけて痛みつけて痛みつけ合う!!
数時間もそれは続いた………!