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24話「そういう重要な事は本編でやれよ!」

 月へたどり着いたら、漆黒の魔女に出くわして基地へ連れ込まれました!

 そしてなんと未来が見れる装置と言い出したのだ。


「じ、じゃあ……?」

「もしも魔界オンラインがなかったら、の未来~~」


 アリエルがパチンと指を鳴らすと、何故かオレとヤマミは映画館のシアターの席についていてポップコーンやコーラが備えられていたぞ?

 少し離れた所にヤミロがいた。パリポリと既に食ってた。

「ゆっくりしなさんな」

 すると大きなモニターでロゴが浮かぶと、色々エフェクト走っていってタイトルが浮かんできた。


『暗黒に閉ざされし未来』


 なにこれ? 厨二病全開のタイトル名は……!?


 多くのビルが聳え立つ都市が映し出され、交差点を多くの人々が行き交いしていくシーンから始まった。

 なんか始まった!?


《もしも『魔界オンライン』が無かったら……?》


 ホワイトアウトして、ワンシーンが次々と繰り出されていく。

 数人の悪人が銃火器を持って銀行強盗。マフィアが裏現場で薬の取引。華やかな貴族のような裏でみすぼらしい奴隷や娼婦。不法移民が押し寄せて治安が急激に悪化する国。政府主導による弾圧で捕まえた冤罪の人から内臓摘出。貧富落差が激しい発展途上国。赤い国旗と肖像画を掲げる独裁国家……。

 見るに堪えないであろう悪意と欲が跋扈するシーン。


《今日も悪人は我が物顔で裏から社会を蹂躙し、罪のない人を踏み躙り続けるでしょう》


 今度は血なまぐさい戦争だ。

 砂煙を立てて無数の兵士がライフルを抱えて走り出して、砲撃が所々爆発を巻き起こす。吹っ飛ぶ人々の阿鼻叫喚。

 死屍累々と横たわる死体……。


《悲しくも人間という生き物は闘争社会に生きている》


「うわ……」


 ついオレは顔を歪めた。

 まるで元いた世界と変わらないじゃないか!


《人と人が醜く争う……。それは『大災厄の円環王マリシャス』の望む地獄……》


 下方で燃え上がる禍々しい火炎の上で、魔王のような恐ろしい異形のモノが近づいて来るかのように拡大してくる。たぶんイメージ。

 今度は歴史年表が流れるようなシーン。ある時代に差し掛かると『神話の終わり』と燃え上がって何かが消えていく示唆が出た。


《時代を経て地獄が繰り返され、ネガティブ濃度が深まるにつれて創作士(クリエイター)や魔法などの概念が失われ、ただの神話として闇に葬り去られていく。そして未来の人々はその事を信じなくなり、可能性のない世界が全てと思い込むようになるのです》


 そういえば、オレの元いた世界でも神話みてぇなのがあったな。

 仙人がいて神々がいて魔女もいて、魔術や魔法があると信じられてきた。身近なものだと八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の伝説だろう。

 てっきり大昔過ぎて、誇張されたり大袈裟にされたりしただけと思い込んでいた。


 と思ったら、七つの頭を持つ大蛇と剣を持った戦士が派手に戦い合うシーンが出た。驚いた。

 そして今度は桃太郎が鬼ヶ島で大鬼と決戦する場面にも切り替わった。更に錬金術で赤く輝く『賢者の石』が生成されるシーンと切り替わってくる。


《それは、かつて本当にあったかもしれない昔の事実……》


 思わず食い入って生唾を飲み込む。

 神話の場面が切り替わりながらゆっくりととブラックアウトしていって、しばしの真っ暗……。



 今度は政治でありとあらゆる議員が怒鳴り散らす場面に変わる。

 残虐な国から送られたスパイによって、平和だった国は蝕まれる。そして弱体化を余儀なくされ、しかし広がる差別と大虐殺に世界は騒ぎ立つ。やがて核弾頭が飛び交う戦争の地獄へ成り果てていく。

 長期化する敵対行為と殺戮兵器の応酬。疲れきっていく人々に構わず増幅し続ける憎悪。


 この大きな戦争でいくつかの国も消し飛んだ事だろう。世界地図で爆発のエフェクトがあちこち発生される。

 凄まじく無残で、虚しい戦争。終わるに終われない憎悪まみれの闘争。

 これでもかというほどの地獄のシーンで語られる。


《少数民族となった温厚な人間はやがて滅亡の一途を辿る》


 多く並ぶ優しい顔の青い人間がポツンポツン消えていくシーン。

 そして残虐な赤い人間が覆い尽くして世界を牛耳る示唆。それでも終わらない。暴力の連鎖は繰り返され同胞でさえも争い合い虐殺が繰り返される。


《悪意と欲で人間同士で争うほど無益で愚かな事はない……。それが永劫に繰り返される》


「ひええ……」

 するとヤマミがオレの腕に抱きついてきた。なんか震えている。


 無法地帯になった世界は好きなだけ悪意と欲を撒き散らし、多くのゴミを出して川も海もドロドロに汚れていく。赤き川。七色の海。泡立つ砂浜。浮かぶ大量の魚の死骸。

 美しかった大地と海は黒く汚れきって、森林も枯れ果てて、災害が起きやすくなっていく。


 運悪く生き残った人間は苦痛に苛まされる環境で生きなければならなかった。

 文化も文明も失い、技術の概念が消え去り、増えていくのは憎悪と病気。生きているだけで苦痛。心身共に疲れ果てたまま生きるのが精一杯でゾンビのような人生。

 それでも苦痛が弱い方へと縋る為に、人は愚かにも争い合って自滅していく。


《やがては勝者のいない地獄に、世界は堕ちていくのでしょう…………》


 最後に『大災厄の円環王マリシャス』の黒い影が高笑いを繰り返しながら、ゆっくりとブラックアウトしていく……。

 なんかエンディングが流れていって、果てに『END』と止まって、終わった。


 スゥーッと明るくなっていくシアター。……ちょっと(おぞ)ましいけど、至って真面目な内容だったなー。

 そしたらモニターにアリエルがでかでかと映り出す。


《ご視聴ありがとうございますぅ~! 楽しめたかしらぁ~?》


 艶かしく笑うアリエル。



「……えと、地獄にならないように『魔界オンライン』を?」

《その通りよぉ~!》

「うわわっ!!」


 オレとヤマミはビクッとした。これリアルタイムかよっ!


《善悪を明確に分けて、それぞれに生活圏を与えたわぁ。善人は表の世界でいつもの通り社会を、悪人は魔界オンラインで心ゆくまで闘争を、そんな感じかしらねぇ~》

「じゃあエンカウントは何なんだぞ? 被害出て迷惑してるぞ?」


 アリエルはノンノンと立てた人差し指を揺らす。


《善悪を明確にした上でハッキリとした闘争をさせてるってワケ。善人が悪人を倒し、悪人が善人を殺し、そんな単純な対立で金やアイテムが流通していくわぁ~。なんせ、この世界は異世界と違って魔族やモンスターとかいないからねぇ~》


 だからか……。モンスターを倒すと金袋や宝箱が出てくるのは……。

 まるでゲームのようだが、そこにハッキリとした流通がそこかしこに行われているんだな。


《それにこの方が『大災厄の円環王マリシャス』サマへの嫌がらせになるからねぇ~》


 影を帯びた悪辣な笑顔でアリエルはそう言い切った。



「嫌がらせ?」

《そ! ヤツにとってはぁ~善悪の区別がつかな~いくらい曖昧~な社会で疑心暗鬼になって延々と争わせて、湧いてきた葛藤や罪悪など負の感情で心身共に削っていくのが好きなのよぉ~》

「その邪魔をしてるって事ね? でも悪のエネルギーを集める意味は??」

《おっと! それは企業秘密って事かしらねぇ~》


 アリエルは秘密とでも言うように口元で人差し指を当てた。


「そろそろお帰り願うぜ?」


 ヤミロが立ち上がり、不敵な笑みのまま横目で見やってくる。

 オレは思わず「え? ちょっ待……」と手を差し出すが、パッと景色が変わった。気付けば灰色の月面で、大きな地球が地平線から半分出ている風景だ。

 見渡すと、アリエルと戦った跡がすっかり消えていた。あれだけオレが暴れて破壊しつくしたのに、何事もなかったかのようになってる……。


《それではこぎげんよぅ~~》


 あはははは、と木霊(こだま)するアリエルの笑い声が遠のいていく。



 オレはヤマミと一緒に月を探検していったが、灰色の月面以外になんにもなかった。

 まるで狐につままれたようだ……。

 再び海の洞窟(ダンジョン)へ戻って、地球へ帰って行きました……。


 最初の海パンなくしたままだし、トホホだぞ…………。



 ────後日、ヤマミは自分の時空間の中でニマニマ嬉しそうだ。

 なんとでっかいナッセのぬいぐるみに、()()()()()がはかれていた。

 しがみついた時に脱がしてたのだ。←犯人コイツだった!

 そしてそこらじゅうに大小様々で服装違いと表情違いなどバージョン違いの数多あるナッセのぬいぐるみが段差を伴って並んでいたぞ!


「パラダイス♡」むふっ!


 抱き枕用のナッセに頬擦りして幸せそうだ。

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