231話「インドピース・如来王篇⑤ 反逆ァ!!」
ドゴォォォンッ!!
大地を揺るがす振動と共に、向こうが噴火のように爆煙を噴き上げている!?
オレもヤマミもアクトもその方向へ振り向く!
まずい! 誰かが四首領ダウートとおっぱじめた!
「アクト! 行くぞ!!」
「あァ……!」
リョーコは「ちょっと何なん??」と事情分からず。
するといつの間にか『維持神』がいて《待て!》と呼び止めてきた。オレたちは戸惑いつつ振り向く。
衝撃波で地盤が吹き飛び、烈風で破片が飛び交う!
憤怒するダウートへ飛びかかるはサマァツ! すでに『万覇羅弐』状態ァ!!
ド ン!
「サマァツ!! 気は確かかァ!?」
「それはこっちのセリフだァ!!」
激怒しているサマァツの体は灼熱で橙に輝いている!
逆立った赤髪、肩、手首、腰、足首に火炎がまとわりつき、顔や胸板に赤い紋様が走る!
周囲に白に近い灼熱の炎が踊っている!
「コンドリオンの存在なんて知らずに、俺はのんきに過ごした事になるじゃねーかよォ!! そんなん許せるワケねーだろァ!!」
怒りを乗せた拳でダウートの頬を殴る!! ドン!
しかし憤怒のダウートは歯軋りして堪えない!
「いかに恩義があるマスターといえども、自分の本当の息子を秘匿して傀儡にすべき育ててきたとあっては、私も冷静さを欠く!!」
ウェールザは怒りを堪えきれず、顔に出ている!
彼女もすでに『万覇羅弐』状態! ピンクの煙幕がクリーム状に濃度を増し恥部を覆っている!
そして桃色に艶っぽい肌は更に反射光が煌くほどにツヤツヤに!
更にただでさえ大きな胸がボインと膨らむ! ウェストがキュッと締まる! 尻がドンと増量!
「ウェールザァ!! 事情も知らず歯向かうんじゃねェぞァ!!」
「事情も何も、コンドリオンに対する人の道を外れた言動は流石に看破できぬ!」
ウェールザの周囲を回っていた全ての剣が「夢境嵐総劇!!」とダウートへ殺到!
全身を斬り刻むように剣の乱舞が穿ち続けるァ!!
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!
だが! だが!! それでもダウートは二の足をズンと踏みしめ、耐えた!!
ベゴンと放射状の亀裂を広げ、荒れた大地が窪む!!
「コンドリオンは、俺の愛する妻を殺した悪鬼だァ!!!」
睨み据えるコンドリオンを憤怒で見下ろし、恨みづらみを吐いたァ!!
そこを横から白骨の巨人で包んだ『万覇羅弐』状態のブラァーザが巨大な腕を振るって、ダウートの頬を殴る!! ドッ!
「それが父として、許されざる暴言と分からないのかねェ!!」
踏ん張る巨漢のダウートも地盤をガガガッと削りながら数メートル押し出される!
逆に殴ってきた白骨の巨腕を掴み、片手だけで思いっきり上空へ投げ、そのまま地面へ叩きつけてドゴォン!!
破片を爆ぜて深いクレーターに窪んだァ!!
「がァッ!!」
「黙れ!! 貴様なんぞに妻を奪われた気持ちが分かるかァッ!!」
コンドリオンは『万覇羅弐』状態ァ!! ドン!
前腕とスネが象の大きな足! 頭には王冠をかぶった象の頭をかぶりものに、顔面には紋様が走っている! 背中には象の大きな耳が翼のように広がっているァ!
「昔は内気で臆病で何も言えなかったァ!! だけど、今はインドの戦士としておまえを倒すッ!! 神象ァ“異次元”前足連拳ッ!!!」
両腕の太い象の前足でマシンガン以上にバババババッて連射ァ!!
無数の象前足が弾幕で迫るが、ダウートは真正面から強靭な体で弾く! しかし、今度は四方八方から象前足が殺到!!
あちこちから全身を穿つように打撃の嵐を浴びせたァ!!
ドドドドドドドドドドドドドドッッ!!
「ぬぐァ!?」
ダウートも微かな痛みに呻きながら、必死に攻撃し続けるコンドリオンに目を疑う!
これまで内気で臆病で、少し怒ってやれば萎縮して頭をペコペコ下げるだけの軟弱者! そして価値のねェグズ!
それなのに!!
「僕はァ~~弟の想いを受け継いで、父さんに伝えるんだァ~~!!」
ド ォ ン!!
「!!!!」
昂ぶる想いを乗せたコンドリオンの叫び!
こんな風に怒って大口を開けて歯向かうなど初めてだ! まるで別人だァ!
「これも『怪異の種』による人格変化かァ!?」
「兄としての僕の意志だァ~~! 神象ァ“異次元”双頭突き拳ッ!!!」
両手を上下合わせてのォ象頭拳!! 時空間転移によるゼロ距離の超強力な一撃がダウートの腹にドゴォン!!
「ごボァ……ッ!!」
微かに開いた口元から血をこぼす! ぐらりと体勢を崩す! 効いたァ!!
「さっすがコンドリオンだぜ~~!!」
サマァツはガッツポーズする!
ウェールザもブラァーザも頼もしいと笑む!
……しかしフシュールは神妙な顔で佇むのみ。
「僕は……どっちを信じればいいんだ」